推しは推せるときに推せ
今日のボクらの時代。出演していたのは、近々、舞台「阿修羅のごとく」で共演する、三人の女優さんたち、木野花さん、小泉今日子さん、安藤玉恵さん(木野花さんは、演出家として参加している)
子供のときは、どんな子どもだったかとか、親との関係などを話していたなかで、木野花さんと小泉今日子さんが、韓流ドラマに熱中していたという話が出た。安藤さんは聞き役で、どうして熱中できるのか、自分は役者として観てしまうので、熱中する気持ちがよくわからないと話すと、木野花さんいわく、観ているときは相手役を自分にして没頭するそう。
なるほど、そういう観かたもあるんだなと、目から鱗。
私は舞台などで、登場人物のひとりに感情移入というよりも、憑依してしまう質なので、相手役になって(恋人など)没頭したことはないけれど、それは楽しいだろうな…
ドラマの観かたも人それそれで、あくまでも視聴者、第三者的な視点で観察しながら観る人もいれば、登場人物のひとりに感情移入して、一喜一憂する人もいる。過去の自分と重ねて観る人もいるだろうし、脚本の良し悪しをいちいちチェックしながら観る人、伏線や伏線の回収に何があるかに集中しながら観る人もいて、Twitterなどで、ドラマの感想、批評を読むのも、なかなか面白い。
小泉今日子さんが、韓流ドラマに熱中したことで新たな発見があったという興味深い話をしていた。
ドラマに熱中すれば、自ずと出演者の誰かが好きになり、夢中になったり、はまったりする。10代の頃から、演じる側だけで生きてきた彼女、それまでファンというものになったことがなく、熱中して、初めてファンの心理というものを知ったそうだ。きっと面白い発見があっただろうし、相手を理解する(ファン)のに役立ったのではないだろうか。
今、私自身、国内では星野源さん、海外アーティストでは、ThailandのMewSuppasitさんのいわゆる「推し」だ。
星野源さんは、ミュージシャンとしては、SUNの頃から意識し出して、逃げ恥と恋の大ヒットの頃にファンとなり6、7年が経つ。初期の頃のCDやレコードを買い集めたり、映画やドラマに出演した後、発売されるBlu-rayを買ってみたり。もちろん何度かライブにも行った。
ファンになったことで、私自身も変わった。
札幌に住んでいた頃は、ピアノがあり、毎日弾いていたのが、東京に移り住む際、家が狭くなった(一戸建てからマンション)との理由で手放してしまい。それ以降、ピアノに触れる機会がなくなっていたのが、彼の「ここにいないあなたへ」を聴いて、急にまたピアノを弾きたくなって、一年後、母に電子ピアノを買ってもらうという、私にとっては青天の霹靂のようなことが起こった。
そのきっかけをくれたのは、やはり星野源さん。
彼のファンにならなかったら、楽曲に出会わなかったら、きっと20年ぶりにピアノを弾くことはなかっただろう。
そして今、ThailandのアーティストのMew Suppasitさんにもはまっている。
たまたま観たドラマの挿入歌を歌っていた主役の彼の歌声と歌の上手さに、たちまち魅了され、メルカリでCDをすべて購入するほど熱中して聴いた。さらにひょんなことから、タイの公式ファンクラブの存在を知り、即、入会を決め、慣れない英語と格闘しながら手続きを終えたところで、レコードもあることを知り、直接申し込むという、周りの人たちには驚かれたが、生来の性格が、当たって砕けろだめで元々の気質なことから、今までもそれでやってきたところがある。
ここまでは、ありがちなこと。
次にトライしたのが、配信。
タイの放送局は、配信が多い。常にどこかでライブ配信をしている。
俳優さんたちも、スポンサーが企画するイベントに、積極的に出演する。
今、私がよく観ているのが、Mewさんと、gulfさん。
以前、二人でドラマをしていたことから、馴染みやすいということもあって、観ているのだが、とにかく配信する日が多い。一人でも月に数回出ているので、ふたりを見るとなると、結構な時間を取られる。
先日、同じく彼らのファンだという人と、会って話す機会が会った時、やはり話していたのが、時間がないと言うことだった。
情報を漏らさずキャッチし、配信も欠かさず観るとなると、本当に一日があっという間に過ぎてしまう。タイ語がわからないのに、どこが楽しいのか、面白いのかと言われそうだが、彼の姿を観て、声を聞くだけでいいという気になる。それは、星野源さんと同じで。彼が出演するドラマ、音楽番組はもちろん、CMまで録画している。熱中するとはこういうことなのだ。
しかし、ただ、熱中するだけでは終わらない。
星野源さんの場合は、ピアノだったが、Mewさんの場合は、タイ語に意識が向いた。彼が話すタイ語を聴き取りたい、出来ればカタコトでもタイ語を話せるようになりたい。そんな気持ちが、むくむくと湧き上がり、勉強を始めることにした。
しかし、タイ語は、タイ文字が難関。
何が何だかわからない文字の羅列に、見ただけでめげそうになる。書くとなると、尚更。ということで、とりあえずは、発音と聞き取りの勉強からスタートすることにした。
実際初めて見て、えっ、おかしいな10代、20代の頃はヒアリングが得意だったのに、全然聞き取れない…あたり前よ、あの頃からどれくらい歳月が経ったと思っているの?と耳の奥からそんな声が聞こえてくる。
ああ、もっと早く始めるんだなぁと思ったところで、今年、Mewさんを知ったばかり。仕方がない、これがタイミングなのだと思うことにしよう。
で、これだけでは終わらない、実は、タイのテレビ局で放送する番組を観るための、VPNをインストールした。
普段は、何もしなくても、Facebookにあるチャンネルにアクセスすると観られるのだが、テレビ局、番組の内容によっては、これがないと観ることはできない。
人に聞いたり、調べたりして先日、契約。インストールして、早速、ドラマを観ている。(推しが出るドラマ)
結局、私の当たって砕けろは、自分の欲望を満たすためのものだということが、書きながらわかった。好きなものは好き、それを満たすためには、どんな努力も惜しまない。ということなのだ。
誰かが言っていた、推しは推せるときに推せ。
確かにそうだなと思う。
いつどうなるかわからない。
年齢的なこともあれば、体力的なこともある、経済的なこともある
相手も然り、どんな風になるかわからない。
その変化を見届けたいという気持ち、変化していく様を見続けていきたいというのもある。
同時にそれを見ている自分自身の変化を感じ取っていくのも楽しい。
今日は、14時半からタイの番組を観る予定。
Mewさんの家族、愛犬も出演して話を聞くのだとか。
それにしても、まさかこんな風に、配信を利用して海外と繋がるようになるとは、数ヶ月前までは夢にも思わなかった。
忙しいけれど、推し二人が、今の私に元気をくれていることは、間違いない。つくづく出会えてよかった。