ボイトレと不思議そしてメモリー2(エレイン・ペイジ)
数日前、ボイトレに行ってきた。
今回は、どうも喉の調子がいまいちで、掠れるような感じがして、ちょっと焦る。
トレーナーさんが、高音を出すときに、息を吐きすぎていると指摘してくれた。
物心ついた時分から、ずっと歌うことは簡単、楽だと思ってきたのが、ボイトレを始めるようになって、実は歌うことは、本当は難しいということがわかった。
もともと天性の賦を持っている人ならば簡単、初めから習わなくてもできているのだろうが、私には天性の賦はない。
練習して、練習して、練習して覚えるよりほかない。
舌の位置や動き、筋肉の使い方、喉や口蓋などを広げて歌う声の出し方を教えてもらって変わった。
前回のレッスン後から、カ行と「ダデダデ」を、繰り返し繰り返し練習して臨んだところ、トレーナーさんも驚くほどしっかりと発音することができた。
やはり練習すれば、それなりに成果は出るということなのだろうか、いつもより発声練習を早めに切り上げ「不思議」を歌ってみることに。
ずいぶんと、歌い方にムラがなくなったと言ってもらい、一箇所だけ修正するように指摘を受けて終了。
最近は、特にどうやって歌うかに加え、どうやって聴かせるかも重要な要素として、一音にこだわった声の出し方を教えてもらうことが多くなってきたように思う。
不思議を歌った後は、前回、話が出たメモリーを歌うことになった。
メモリーのカラオケは、YouTubeでもあまり上がっていない。
数少ないなか、劇団四季バージョンのカラオケが見つかったので、それを使うことに。ただ、実際に使ってみると、歌詞が出てくるのがとても遅い。
覚えていると思っていたが、実際歌ってみると、結構、歌詞を忘れている。
暇さえあれば歌っていた時から、もう20年以上が経っていては、忘れるのも当たり前。
これは、次回までに歌詞を覚えておかないとマズイことになるぞと、ちょっと焦った。
むかし、むかし10代の頃は、数回聴いただけで覚えられたのになぁと、年齢による記憶の衰えを痛感。歌詞をプリントして覚えることにした。
劇団四季の歌い方は、クラシカルなので…とトレーナーさん。
以前、ゴスペルが好きと言っていたトレーナーさんは、朗々と歌い上げるクラシカルな歌い方よりは、感情表現豊かなミュージカルの歌い方がおすすめのようで、エレイン・ペイジを知っていますかと訊かれた。
海外のアーティストさんで、その人のメモリーが素晴らしいから是非聴いてみてと、早速、YouTubeを検索して探し出し、観せてくれた。
前回、私がボイトレの目標として、メモリーを歌いたいと思っていたと話したところ、「私も一番好きな曲」と言っていたトレーナーさんは、エイレン・ペイジの歌う「メモリー」を聴いて、歌の道を志したのだそう。
歌い出しから違っていた。
心を鷲掴みにされ、決まって泣く「お願い 私に触って」のフレーズのずっと前のところで込み上げてきてしまった。
歌詞の内容がわからなくても、声に感情が乗ってびんびん伝わってくる。
それほどエレインペイジさんのメモリーは、心が震えた。
素晴らしく、気品ある歌に魅了されてしまった。
泣いているところを見られるのが、ちょっと恥ずかしく我慢したけれど、もし、ひとりだったら、号泣していたかもしれない。
トレーナーさんも、初めてエレインさんのメモリーを聴いた時は、泣いてしまったと話してくれた。
ひとつ気づいたことがあった。
歌詞が比較的、聴きやすい。
後で調べてみたら、イギリスのミュージカル女優、歌手だった。
ずっとアメリカ英語が、一般的、広く使われているけれど、私にはどうもイギリス英語の方が聞きやすく感じる。中学で英語の授業で習った頃からずっとそうだった。今もそう。
エレインさんのメモリーを聴いた後、四季バージョンのメモリーをカラオケで歌ってみることに…
「声は出ていますね。基本のキーでいけますね」と言われてホッとした。
出なくなった高音が出るように、そしていつかメモリーを歌えるようになるのが目標で通い始めたボイトレ。
トレーナーさんから裏声で歌っていると指摘されたときは、本当に驚いた。
自分の歌声が裏声だったとはまったく気づかず、逆に、比較的綺麗な声と言われ続けて、これでいいんだとずっと思い込んでいたこと、地声で歌うことを知らずに今まできたこともショックだった。
地声で歌う練習が始まってからは、正直、苦しかった。練習が始まってからは「汚くてもいいから地声で歌って」と言われ、今まで出したことのない汚い声を出し続け、発声練習に時間をかけて、自宅での自主練も欠かさずしてきた。
なのに成果はなかなか表れず、焦りを感じていたときに、喉の掠れがよくなればと、ボイスクリニックを受診。そこで声帯が痩せてることを指摘され、声帯を太くする注射があると聞き打ってもらった。だからと言って、すぐに声がよくなったわけではない、そこからまた声を出す練習を繰り返しして、やっと高音が出るようになった。
思い切って注射をしてよかったと、つくづく思った。
もし、注射が怖くて、決断しなかったら、多分今も、声は出ないままだったろう。
エイレン・ペイジは、クラシカルな歌い方はしていなくて、感情をメロディに乗せて歌うのは、さすがミュージカル女優。もっと一つ一つの言葉に意識を向けて歌ってみましょうと、まずは、トレーナーさんが、歌い方を教えてくれた。
クラシカルな歌い方だと、感情を歌詞に乗せるというよりは、同じテンションで正確に歌うことに意識が向けられているように感じる。
トレーナーさんが教えてくれた歌い方は、言葉の意味をよく捉えて、次の言葉が自然に出てくるような意識、気持ちで歌う方法。
ワンフレーズごとに、出だしの音を強めに出すようにと言われ、そこを意識して歌ってみた。なるほど確かに…普通に歌っているときよりも、はるかに伝わり度合いが強くなる。これには驚いた。これが使えると使えないとでは、格段に差が出る。
ちょっとしたことでもこんなにも違うんだと、歌を歌うときに、意識を声に乗せていくことの大切さを教えてもらった気がした。
帰ってきてから、早速、YouTubeでメモリーを検索。
英文の歌詞が字幕になっているものを探して、ちょっとだけ歌ってみた。
学校を卒業して数十年。
すっかり忘れているようで、簡単な単語やフレーズは、一応読めることを確認。
正確なフレーズやき意味は、辞書で調べないといけないが、意外に覚えているのが不思議だ。
実は、トレーナーさん、どうやら英語版で歌うことを想定していたらしい。
ところが、私が劇団四季版のメモリーを歌うつもりでいたので、トレーナーさんはすぐに劇団四季版に切り替えてくれた。
ただ、せっかくのチャンスを逃したような気もする。
なので、最初から英語で歌うのは無理としても、いつか英語バージョンにも挑戦できたらいいなぁと思っている。
できるかどうかわからないけれど、挑戦する気持ちは持ち続けていたい。
たまに息切れしたとしても…