社会の時間に聞いた、コーヒーの楽しみ方とは
中学生の時だったと思う。
ある日、先生が黒板に大きなコーヒーカップの絵を描き始めた。
コーヒーが八分目注がれている絵を描き終わると、おもむろに、コーヒーの楽しみ方について話し始めた。
ホームルームとか、特別な時間ではなく【社会】の授業中に、だ。
「1口目はそのまま飲む」
そう言って、先生は黒板のコーヒー部分の上から数センチのところにゆっくりと横線を引いた。
私たちのほうに向きなおった先生は、教卓の両端をつかみながら、ゆっくりと話した。
「2口目は砂糖を入れて混ぜずに飲む」
さっき引いた線より数センチ下に今度は斜線の帯をゆっくり入れた。
それから、今度は教壇から降りて自分の描いた絵を満足そうに眺めた。そうしてゆっくりと教壇にあがり、また教卓の両端をつかんで話した。
「3口目はスプーンで混ぜてから飲む」
さっき引いた斜線の上に、今度は向きを変えて斜線を入れた。
(次は、ミルクだな、私は思った)
「3口目はミルクを入れて飲む」
「円を描くように回しながらきれいに注ぐ」
「混ぜずに飲む」
コーヒーの最下層部に新たな、横線で構成された帯を描き入れた。
ゆっくり丁寧に何本もの横線が書き込まれた。
「4口目はスプーンで混ぜてから飲む」
そう言うと、先生はチョークを横倒しにして、コーヒーを白く塗りつぶした。
(それで?--- 私は, 先生の次の言葉を待った。)
「こうやって、コーヒーを飲むと一杯のコーヒーを何倍にも楽しく味わうことができるんですよねー。」
と、先生はさも凄いことを言ったかのように私たちに視線を配った。
♢
コーヒーを温かいうちに、ブラックで飲むのが好きなのは、あの日の先生の話のせいだろうか。
先生、あれは・・・
♢
同じく、授業をする身となって振り返ってみると、あの日の先生は
■授業の準備をしていなかった
■授業をする気分ではなかった
■単元が早く進みすぎて時間調整をしたかった
■脱線したら止まらなくなった
■眠気覚ましの話題提供をしたかった
どれだ?
そして、あの日の授業内容は一つも残っていない。
おはようございます。
いつもは深夜に記事を更新するのに、珍しく朝から記事を書いています。
先週は、#なんのはなしですか を書きませんでした。
昨夜、書こうかと思いましたが日曜深夜に投稿するのは、コニシ木の子さんの首に巻かれている蛇が全力で締めつけ力をあげるようなものだと思い、そっと下書きに戻しました。
月曜日の朝のプレゼント(「なんのはなしです課」通信)通知がないのは、こんなにも寂しいとは思いませんでした。先週はゴミ出しを忘れるほど夢中で読みました。多すぎて、全部は無理でしたが。
というわけで、今週も頑張っていきましょう。
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