【10月のAudible読書メモ④】
『スロウハイツの神様(上)(下)』辻村深月
先週読んだ『島はぼくらと』とリンクしているとの情報から読み始めた。読む順番はこちらの作品が先のほうがよいようだ。
正直に言うと物語が動き出すまで、延々と状況説明が続いているようで、伏線が続いているのだとわかっていながらも、上巻の後半に差し掛かるまでは読み進めるのが、大変だった。下巻に入って怒涛の展開。
恋愛ものとして読むこともできるが、私はクリエイターへのリスペクト、愛、売り出し方、ファンに支えられているクリエイター、クリエイターを支えるファン心理など、クリエイターにまつわる諸々を知るのが面白かった。
『自分の〈ことば〉をつくる あなたにしか語れないことを表現する技術』細川 英雄
巻末にある、「エピソード 自分のことばで語るときまでー千葉くんの挑戦」がとても興味深い内容だった。
千葉くんという高校生が選択科目の授業で「○○と私」というタイトルで原稿用紙20~30枚のレポートを書く活動をする。
自分で決めたテーマについて、自分の考えに基づきメモをつくる。そしてそのメモの内容について、仲間との話し合いや自分に投げかけられる質問に答えることで、自分のメモを書き直していく。また、一人の友達との対話を通してテーマについての考えを深め自分のことばで表現していく。その変容の様を見ていくのは実に刺激的だった。
千葉くんのように時間をかけた活動ではなかったが、仲間からの質問を受けて自分の表現にヒントをもらう活動については、少し似たようなワークショップに参加したことがあり、その効果を実感できたので千葉君が受けた授業のようなものが、日本語教育の授業でも取り入れられたらと思いながら読み進めた。
『春のこわいもの』川上未映子
2020年の前半は、自分の生活が、世の中がどうなっていくかわからない中で、鬱々とした気持ちになった。その時の気持ちを思い出すような話。あるいは、時代に関係なく多かれ少なかれ、程度の差こそあれ、自分の中にある醜い部分を言語化されたような話。ヒリヒリした気持ちになったり、どよーんとしたり。ぞわぞわっとして読了した。ナレーターさんの声のトーンや読みがとても内容にあっていて、閉塞感が伝わってきた。
『鋼の自己肯定感 ~「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された“二度と下がらない”方法』宮崎直子
読後、できなかったことに目を向けがちな私が、できたことに目を向けるという考え方にシフトできるようになったのが一番大きな変化だと思う。情報量が多いので、少しずつ繰り返し読みたいと思う。
聴く読書をすればするほど、読みたい、文字で確認したいという気持ちが強まる。
おそらく、スピードの調節が都度できないというか、しないのも少々ストレスになる原因かもしれない。
活字を追っているときはその内容によってゆっくり読んだり早めたり、または少し戻ったりしながら読んでいるからだと思う。Audibleでいちいち内容によってスピードを変えるかというと、そこまではしない。
とはいえ、ドライアイやら老眼で読書をあきらめていた私が月に何冊も本を楽しむことができるのだから、やはりありがたいツールだ。
11月もたくさん聴きたいと思う。
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