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ライブチケットの本人確認、甘く見てると逮捕されてしまうかも!

【ゆるめ2枠目】ボカロリスナー presents Advent Calendar 2024 の参加記事です。

マジミラで法的に危ないことをしてる人が散見されたので、注意喚起を目的に書きました。結論を先に述べます。

正規のリセールサービスを利用せず、利益を得る目的で、本来のチケット価格より1円でも高い価格で他人に販売(不正転売)した場合、犯罪になりえます。

また、不正転売でなくとも、正規のリセールサービスを利用せず譲り受けたチケットを使用し、チケットに記載されている本人ではない人が入場した場合も、詐欺罪などの犯罪になりえます。

いずれも逮捕の可能性があります!

それでは、以下で詳細について述べていきます。

「特定興行入場券」として保護されている

マジミラなどのチケットは、「特定興行入場券」に該当します。

「特定興行入場券」とは、音楽コンサートやスポーツイベント、演劇、公演など、特定の興行に対して主催者が正規販売した入場券のうち、入場時に身分確認が求められるなどの一定条件を満たしたものを指します。2019年に施行された「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」により、こうしたチケットの高額転売や、高額転売を目的としたチケットの譲り受けが規制されるようになりました。

この法律で規制されている行為は、以下の通りです。

第二章 特定興行入場券の不正転売等の禁止

(特定興行入場券の不正転売の禁止)
第三条 何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない。
(特定興行入場券の不正転売を目的とする特定興行入場券の譲受けの禁止)
第四条 何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けてはならない。

特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律

また、「不正転売」は以下のように定義されています。

この法律において「特定興行入場券の不正転売」とは、興行主の事前の同意を得ない特定興行入場券の業として行う有償譲渡であって、興行主等の当該特定興行入場券の販売価格を超える価格をその販売価格とするものをいう。

特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律

違反した人は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金が科せられます。刑事罰ですので、逮捕の可能性も十分にあります。

実際、不正転売に関しては既に多くの逮捕者が出ており、犯罪であるという認識も広まりつつあります。

主催者の意向に沿わないチケット使用もNG

「チケット不正転売禁止法」で問題となるのは主にチケットを売った側ですが、チケットを買った側・譲り受けた側にも注意すべきことがあります。

それは、非公式な方法で入手したチケットは使用NGということです。

マジミラの公式サイトには以下のような記述があります。

『初音ミク「マジカルミライ」』では以前より高額転売への対策として、リセールサービスの運用を実施してまいりました。しかしながら、ご案内しているリセールサービス以外でのチケットの転売行為が見受けられます。また、このような状況から、入場時に「本人確認」の実施を要望されるお声も多数いただいております。これらの状況を鑑み、このたび、全会場でライブご入場の際にランダムでの「本人確認」を実施する運びとなりました。皆さま、ご理解・ご協力くださいますようお願い申し上げます。

注意事項|初音ミク「マジカルミライ 2024」

すなわち、公式リセールサービス以外でチケットを入手したとしても、サービス(ライブへの参加)を受ける権利はないのですから、本人確認をすり抜けて不正にサービスを受けようとする行為は、詐欺罪などの犯罪にあたる可能性があるわけです。

それでは、非公式で入手したチケットで入場を試みた場合に成立しうる犯罪を見ていきましょう。

詐欺罪
チケットに記載されている本人以外が入場する行為は、イベント主催側を騙し、ライブへの参加という財産上の利益を取得している点で、詐欺罪が成立する可能性があります。また、入場を試みただけでも、詐欺未遂罪が成立する可能性があります。

実際、不正入場に対して詐欺罪等での通報を警告しているイベントもあります。

今のところ、他人名義のチケットで入場を試みたことのみで、逮捕まで至った事例は見当たりませんが、他人の身分証を借りて入場した場合などは、悪質だとして逮捕される可能性は十分にあると思います。

偽計業務妨害罪
本人確認に関してスタッフに不要な対応をさせ、業務を妨害した場合は、偽計業務妨害罪などが成立する可能性があります。

これまで、某アイドルのコンサートで本人確認を拒み、開演時刻を遅らせた女性が警察に連行されたという事例があるようです。彼女がどういった処分となったのかは不明ですが、業務妨害罪に問われる可能性のある行為であることは間違いないでしょう。

有印公文書(私文書)偽造罪・同行使罪
本人確認書類を偽造して入場した場合には、有印公文書(私文書)偽造罪や行使罪にも問われる可能性があります。

実際に、社員証を偽造して入場した女性が、有印私文書偽造、行使の容疑で書類送検されています。

Q & A

Q. 今回のマジミラはチケット販売後に本人確認のアナウンスがあったから仕方ないのでは?
A. チケット販売開始時から以下のアナウンスがされていました。

特定興行入場券

本公演のチケットは「特定興行入場券」となり、「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」が適用されます。
転売その他の有償譲渡が禁止されており、違反や転売その他の有償譲渡をした場合には、処罰される場合があります。
チケット申し込み時に購入者(入場資格者)の氏名及び連絡先を確認させていただき、入場時に本人確認をさせていただく場合があります。

「チケット不正転売禁止法」について(文化庁 WEBサイト)

[TOKYO]チケット|初音ミク「マジカルミライ 2024」

2024/3/15時点の Wayback Machine アーカイブを記載しておきます。

Q. ライブで本人確認に引っかかったけど、注意されただけだったよ。
A. 見逃されただけの可能性が高いです。警察への通報は手間がかかりますし、チケット関連で検挙者がでると、そのイベントの印象悪化につながるので、多くの場合はその場の注意で終わるでしょう。だからといって、犯罪をしていい理由にはなりませんし、被害者(イベント主催者)がその気になれば事件化できます。

Q. 本人しか入場できないとは知らなかったと言い訳すればいいのでは?
A. 確かに、原則として故意がなければ犯罪は成立しません。しかし、故意があったかどうかは、本人の主張だけでなく、様々な証拠をもとに判断されます。特に、マジミラの場合、事前に公式からのアナウンスがありましたし、入場時の待機列でも本人確認の件をスタッフさんが案内していたはずですので、全く知らなかったというのは厳しいでしょう。


まとめ

チケットに関する不正行為は、逮捕される可能性も十分にある犯罪行為です。リスクをしっかり認識したうえで、周りもやっているからと、流されてしまわないようにしましょう。

来春には、初音ミクJPツアーが開催されますが、このライブのチケットも特定興行入場券です。どうしてもライブに参加したい気持ちは痛いほどわかりますが、抽選に外れた場合はリセールサービスを狙うか、素直に諦めるようにしましょう。

おまけ

この記事では「逮捕」を強調していましたが、逮捕されただけで犯罪者と確定するわけではありません。逮捕報道があった時点で、その人を犯人視することは、有名な「袴田事件」のような冤罪事件の発生に加担する可能性のある行為です。

以下のように、逮捕の正確な捉え方を解説している記事がありますので、ぜひ一度学んでみましょう。


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