#10.【DECO*27】「んなわけないけど」【ナナヲアカリ】
こんにちは!ぐりーんです!記念すべき(?)10曲目の感想記事、見ての通りボカロ曲じゃないです。いや待って!ブラウザバックしないで!
僕がゴーストルールが好きだって話は色んなところでしてきたので、既にある程度浸透してると思っているのですが、あと3曲。ゴーストルール以降のDECOさんの曲で3曲、特にハマった曲があります。(極論全部ハマってるんですけど終わりが見えなくなるので割愛!!)
まず「リバーシブル・キャンペーン」。アルバムGHOSTにおいてゴーストルールの次を務めた偉大な曲です。ミリオンも達成していてご存知の人も多いと思います。
次に「散散駄目調子」。GHOSTの中で一際明るく光り輝くパンクロックですね。めちゃくちゃ元気もらえる曲です。特に同好会各位になんですけど、聴いてカラオケ会で合いの手打てる準備しといてください。っていうのをさすがに強要はできないけどやったら絶対楽しいです(笑)
そしてこの「んなわけないけど」。ゴーストルールみたいなサムネしてんな、と思ったらバリバリPV付きで上みたいなことになっててカオスが極まってる。
最初にも言ったけどこれだけボカロ曲じゃないです。ボーカルは癖になる毒っ気ある歌声で人々を魅了するソロアーティストにして大天使、ナナヲアカリちゃんです。舞台FGOでマシュを演じたりもしてたらしいですね。
「んなわけないけど」は彼女の2ndインディーズミニアルバム、「ネクラロイドのあいしかた」のリード曲です。ちなみにこのミニアルバム、全6曲すべてボカロPによる書き下ろし曲で構成されているんですけど、DECOさん以外にピノキオピー、バルーン、有機酸、こんにちは谷田さん、ナユタン星人とメンバーが超豪華。1stアルバムは1stアルバムでNeruやくらげP、梨本ういにはるまきごはんと言ったこれまた錚々たるメンバーが曲を書き下ろしており、元はこんだけ豪華なメンバーが曲を書き下ろすようなシンガーなら一度聴いてみようと思ったのがきっかけでした。
さてここまでがナナヲアカリというシンガーと、曲の概略。これは長くなりそうだ。
DECO*27 × ナナヲアカリ
とは言ったけど別にコードの話する気もそんなにないし、今回は何よりも純粋に知ってほしいっていう感情と、その自分の気持ちを記録したいっていう感情で書いてます。この曲についても、二人の関係についても僕から多くを語る必要は皆無でしょう。その代わり、これを読んでください。
ナナヲアカリ×DECO*27 初音ミク10周年、世代の違う二人が語る
DECOさんは結構色んな人との対談インタビューに応じているので、それを一通り読むとめちゃくちゃ面白い。Neruさんとのやつと、wowakaさんとのやつは必見です。
まず、インタビュー記事開いて上にも載せた画像見て、アカリちゃんの「神様」発言に目を引かれます。「あなたは僕か!」ってなりました。ただまあ僕にしてみればアカリちゃんも「天使」なのでこの対談は「神様と天使の対談」なんです。我ながら何言ってんだ。
そしてアカリちゃんが初めて衝撃を受けた曲としてあげてる「ゆるふわ樹海ガール」。さすがに初めて、ではなかったけどぐりーんもこの曲こよなく愛してるんでここでも画面に向かって頷きまくりました。
で、ボーカロイドを聴き始めてDECO*27を知って、二息歩行やモザイクロール、愛迷エレジー(リンクはミク版)を聴いてって、歌詞すげえってなって、その後愛言葉みたいなのも書いてるってことを知るっていうこの流れ。「あなたは僕(ry」。
んなわけないけど。
そして、本題に話が突入していきます。この曲は随所に"新たなDECO*27"を感じられます。それは曲を書く相手が生身の人間だからこそ見られたものだと思います。DECOさんは歌詞の参考にするためにアカリちゃんに「愚痴リストをください」ってお願いするわけですが、ミクさんはそんなもの書いてくれませんから、こういう双方向の価値観のやりとりで化学反応が起こるというのはあると。現に、
DECO*27:自分ですごく気に入ってるのが、<流れ込む善意に胸焼け もう結構です>というフレーズで。愚痴リストに「その優しさは優しさじゃないから」と書いてあって、「俺もそう感じることあるな」って思ったんですよね。向こうは優しくしてるつもりでも、余計なお世話っていうことあるよなって。
だから、ちょっとシンクロする部分もあったんです。「アカリちゃんになり切って書く」じゃなくて、ネクラロイドと27ロイドがちょうど半分ずつなんじゃないかって思いますね(笑)。
こういう感想がご本人からも出てるのはその際たる証拠じゃないかな。ただ同時に、この曲の魅力は二人の繋がりがニコニコ動画のボーカロイド文化を通じて出来たからこそのものであることも言っておかなければなりません。二人も言ってるけど、ニコニコだからいいんです。他に変えられない良さが今なおあるからこそ、僕はボカロをニコニコで聴き続けてるんです。断じて惰性ではなく。
ここまではインタビューをなぞってきたので、そろそろ僕の好きなフレーズやメロディを列挙するアレをやっていきます。"新たなDECO*27"を感じてください。
今回は長くなるので箇条書きじゃなくてイントロから順を追って話をします。
イントロ
のっけから僕の知ってるDECO*27のサウンドじゃない。いかにも電波って感じのキーボサウンドから入って、0:05〜でギターがユニゾン(キーボと同じメロ)で入ってきます。そしてそっからサウンドは更に切迫感を増していきます。0:07〜からのギターと裏で鳴ってるピコピコサウンドはまるで目覚まし時計のような、あるいは時限爆弾のようなものを想起させます。
そしてそれが爆発した後はバッキングギターも入ってきて、わけわかんない情報量になります。この目まぐるしさに初見時の僕はボカロ曲よりもボカロ曲っぽいイントロという印象を受けました。既に複雑に絡み合った心内状況が察される気がします。
そしてどんな展開になっていくのかさらにワクワクさせられるわけです。
1番Aメロ前半
カオスなイントロが止むと同時にアカリちゃんの声が被ってきます。でもそれは歌というよりラップのような…むしろ独白のような何かです。いきなり気怠げで毒気溢れたアカリちゃんのクセが前面に出てきます。
歌詞の内容は、先に触れたアカリちゃんの「愚痴リスト」を元にDECOさんが押韻なども混ぜつつ昇華したものになってますね。初っ端の初っ端から「常に最悪」って。噛み締めてるうちに鬱になっちゃいそうだけど、しっかり咀嚼します。
咀嚼するとわかるんだけど内容一つ一つ言い回しこそ独特だけど言ってることめちゃくちゃ共感できる。インタビューでDECOさんも言ってたけど「だからこの善意に胸焼け もう結構です」なんて多分みんな似た感情持ったことありませんか?小さな親切大きなお世話ってね。
1番Aメロ後半
ここで歌にハッキリとしたメロディが乗ります。心地の良い押韻と共感できる愚痴の要素はそのまま残しつつ、DECO*27らしさが主旋律とコーラスを駆使してる様に表れてきます。
1番Bメロ
ボーカルとギター、ハイハット以外の音がフェードアウトし、再びメロディもなくなります。そして今度こそラップではなく、独白と言い切っていいでしょう。歌詞にも「」が付けられており、ここでの感情は内なるものじゃなくて、言葉になって外に溢れでてるものだと解釈できるからです。
そして極め付けに「おかしくなっちゃうよ」と。この歌詞に呼応するかのように、オケの方にもDECO*27の曲でとても多く使われてる直感的なパワーコードのバッキングが入ってきます。パワーコードって何?という人もいるかもしれませんが、明らかに今までと違う音色のシンプルなギターの演奏があると思うのでそれを探してください。それです。「ブーン」って入ってくるやつ。
そして、このパワーコードに合わせてバスドラも鳴り始めて一気に重厚感が溢れていきます。サビ直前の「ドコドコドコドコ」ってめっちゃ早いあれはツーバスっていうんですかね?あれもめっちゃ好きなんです。
さて、おかしくなっちゃう準備はできましたか?サビに進みます!
1番サビ
まず内容、「僕らは一人じゃない それほど不幸じゃない」めっちゃ前向きですやん!?挙句「頑張れ 頑張れ」ってこれ本当にアカリちゃんの歌か!?ってなるんだけど、ラストにタイトル回収してしっかりどん底に突き落としてくれますよね。最高。
歌詞だけじゃないです。サビではあざといくらいにBメロまでと対照的な様相を表現してきます。PVを見てください。一番最初の方に対照的な二つのスクショがあったと思います。あれです。絵師はりゅうせーさんなんですけど、脱法ロックとかなしみのなみにおぼれるくらい雰囲気を変えてきます。ちょっと盛りました。そしてサビの歌詞のフォントも見て。これナユタンが使うやつです。底抜けに明るいだけで妙な話なのに、そりゃあ違和感しかないわけだ。最高。
そして(say wow wow!)のとこ!DECOさんの合いの手だ、思わず一緒に言いたくなっちゃうというか言わせる気でしょってやつ。最高。
「今日も明日も〜」のところのコード進行もたまらない。シンセの音階が徐々に上がっていくのはよく聴けば気付くと思うんだけど、サビ自体がこういう上昇進行っぽい体をなしてて、これも明るさの秘訣になってます。こんだけ上げてくれるからこそ「んなわけないけど」の落差に鳥肌立つんですよね。最高だ。
オケの方も最高。これゴーストルールとか散散駄目調子とかもっと遡ればモザイクロールとか二息歩行もそうなんだけど、DECOさんの曲のサビのギターってびっくりするくらいシンプルで、さっきも言ったパワーコードってやつを鳴らしてます。弾きやすいからこそ弾き方にこだわりやすくて、様々なリズムに対応できるし、名前の通りパワーを持っててリスナーの耳にすっと馴染むんです。ああああ。最高ですね!!
2番Aメロ
大方1番で語ったのでテンポを上げていきます。アカリちゃん(PV)、ボコボコにされてますね。おかしくなっちゃったからですかね…(雑)
最初はキーボの音だけですね。2番は1番に増してオケにメリハリが付くので是非聴き比べてみてください。
少し小洒落たベースはゲスの極み乙女。感あるとか、韻を踏んだラップのような何かはUVERworld感あるとかコメントでは言われてましたが、とにかくいつものDECO*27じゃない。のに、どこかにDECO*27らしいという様相も残ってるんです。だからDECO*27の曲って言われてもそんなに不思議な感じは個人的にはなくて。
2番Bメロ
エモーショナルですね。アカリちゃんの喋り方はもちろん、ギターもリフじゃなくてブリッジミュートになってます。そしてそのギターを一旦止め、パワーコードの代わりに静かなピアノに差し替えられてますね。それに伴ってバスドラのドコドコも回数増えて長くなってます。どんどん盛り上がっていく1番に対して、2番は浮き沈みをするという感じがします。
2番サビ
ここは1サビとほぼ一緒。歌詞変えなかったのは印象付けの観点からして完璧だと思います。何様だよって口調ですね、すみません。
あとはアカリちゃんの「んなわけないけど」の言い方。「んなわけないけど?」って感じになってますね。1番では建前だったこのサビの歌詞内容が、実は自分の本音なのかもしれないと気付き始めてるような、そんな感じがします。
間奏
2サビ直後にそのまま突入していきます。ここはイントロやサビのカオスな雰囲気を保っていきます。ここの細かい感情の移り変わりだなんだはPVが表現してくれてる部分も多いです。
ポジティブな自分とネガティブな自分がせめぎ合ってるこの感じ、りゅうせーの絵柄だからっていうのもあるけど脱法ロックの落ちサビと同じ空気を感じます。あれはポジティブ VS ネガティブではない気がするけど。
ラスサビ
この覚醒して悟ってる感も脱法ロックっぽい。3回目となるこのラスサビも、歌詞はほぼ一緒。増えたのは「あーだこーだ怒ってたって なんだかんだ夢を見てる」の部分ですね。僕は「あ、本音でこうやって(サビの歌詞内容)思えたんだな」って。「葛藤の結果、自分は一人じゃないし不幸じゃない、頑張ろう。やれば出来るんだって。」こういう結論に行き着いたんだなって思えたんです。
そして最後の最後。ハッピーエンドに安堵しているのとは正反対に、心の何処かで期待していたもう一つの結末がありました。そしてその期待をを掻っ攫ってってくれました。そう。全てをひっくり返す曲のタイトル、「んなわけないけど」。期待していたとは言いつつも来るだろうって確信もあって、心中も複雑な感じだったんですけど、最後の「んなわけないけど」を聴いたらそういう感情の全てが吹っ飛んでチキンスキンになりましたね。あの最高にエモくて感動的なラスサビを自ら嘲笑するかのようなアカリちゃんの声に、まるで夢から覚めたときのようなポカーンって状態にさせられました。あっけにとられた。開いた口が塞がらないってこういうことだって思いましたね。
とまあ、こんな感じでした。絶対読む側なら長すぎでノックアウトされてると思います。だからここまで読みきってくれた人たちに心からありがとうございました。折角なのでもう少しお付き合いください!
「ヒバナ」の裏話!ほえー!ヤバい!
「んなわけないけど」の発表に先立ってDECOさんが発表していたのが「ヒバナ」。今でもぼからんに毎週出てくるような、次世代の門番級の曲になってますね。まさかここでその話題まで振ってくれるとは。インタビュアーさんGJの極みです。
僕はこれを読むまで、「ヒバナ」をお祝いソングとして解釈しようなんて思っていなくて、むしろ大真面目に考えてすらいなかったんです。「ゴーストルール」の対なのかな?くらいに思ってました。
で、ちょっと外れた「おめでとう」の話とか、タイトルの由来になってる「He burned out」の話とか聴いたときの感想はアカリちゃんが完全に代弁してくれています。「あなたはぼk(ry」。改めてヒバナを聴いてもっと深々と考察を加えたら楽しいんだろうなと思うので、何か見えてきたらそのうち字に起こすかもしれません。
未完成だって何度でも言うんだ
さて、ヒバナの話にも触れることができたので#vocanoteタグも付けられますね。僕がヒバナの中で最も好きな一節が「未完成だって何度でも言うんだ」ってこれ。音楽やボカロ関連に限った話じゃなくて、何事においてもこういう気持ちは大切にしていかなきゃなってよく思います。
長々話をしたけれど、結局言いたかったことはDECO*27は神様、アカリちゃんは天使ってことです(違う気もする)。今まで聴いてなかった人がいたら是非一度ナナヲアカリというシンガーに触れてみてください!正直万人ウケするだろうとは思ってないです。癖も強いので好みは割れる気はしますが、一度聴いてみて損することはないと思います。
どうでしたか!今回は思わず熱くなっちゃいました。文字通りの超大作になりましたね。個人的には話したいことぜんっぶ話せたので大満足です。でもまだこのnoteだって穴があります。きっと未完成です。何度でも言います。そして僕自身、より多くの好きを形にして伝えられるようにこれからもnoteを書き続けたいと思っています。
きっと永遠に未完成なんだけど、ちょっとでも完成に近付けるようなものを残せるように。聴き続け、語り続け、書き続け、読み続け、いろんな価値観に触れてより自分の「好き」をより明確で緻密なニュアンスで伝えられるように。