#16.なでしこ日和【曲紹介・感想】
─────ふと、思い出す季節。
天使ロスからただいま!ぐりーんです。下書きが貯まっているのに新しくnoteを書いてしまいました。
久しぶりのボカロ曲感想で取り上げるのは、昨年に「猛独が襲う」がヒット、先月には昨年の投稿曲である「花が落ちたので、」が再評価され、それぞれ殿堂入りを達成した一二三さんが現在の名義に変えて最初の楽曲となる一作、「なでしこ日和」です。
余談ですが、2017/3/4時点で過去の名義で発表した楽曲はニコニコにおいてその全てが非公開になっています。
もうすぐ春ですね、
早いもので今年も3月ですか…。今改めて、昨年末の自分のnoteの投稿頻度を見ていると震撼します。そして「尊敬」と「お前は暇なの?」って感情に同時に襲われます。あの密度を毎日は今の僕には無理です。
曲の話を。まずですが、一二三さんは和風ロックに傾倒した曲を作られるクリエイターさんです。これが意外と過去にも今にもいない貴重な存在ではないかと思います。千本桜を筆頭に和風ロックはその強さを長きに渡って発揮していますが、その和風ロックを専門に扱い、かつ琴や三味線のサウンドを用いるクリエイターというのはなかなかいないものです。氏の奏でる音楽はそれらが心地よく調和しています。
一片の花弁さえも
「なでしこ日和」は和ロッククリエイターとしての一二三さんの音楽のスタイルが凝縮されている作品だと思います。まさに原点。今回はそれを列挙してお話しして終わりですね。
◯琴とギターの調和
まず真っ先にこれが挙げられます。「花が落ちたので、」でも全く同じように度肝を抜かれましたが、琴の旋律からギターリフへの移行が滑らかなんだけどしっかり抑揚が付けられていて感動します。正直これがただのギターロックだと、音が軽すぎるようにも感じるかもしれません。しかし、ギターが和楽器の中に入ることで見事な調和が取られています。さらに、和風のコンセプトをしっかりと活かすカッコいいリフのセンス。エモエモのエモです。
◯主張の強くない旋律
脳裏に焼き付く非常にインパクトのあるリフに対して、メロディーはキャッチーでありながらぶっ飛んではいない印象が強いです。覚えやすく歌いやすい、みたいな。これは激しめに音がアップダウンするギターリフとは対照的で、お互いがお互いを引き立て合うように作られています。盛り上げ方も丁寧です。
◯多用される七五調
これは特にサビの歌詞についての話です。サビの頭を五字の単語「春うらら」「なごり雪」といった情景を一発で想起させてくれる単語にすることで視聴者をその美しい世界観にグッと引き込んでくれます。続く歌詞も大半が五文字と七文字、それから五文字の字余りという体での六文字などの一定のパターンにハマる歌詞展開になっており、お陰で内容がスッと入ってきやすく、特に我々日本人にとってはこの上なく美しく感じられるのではないでしょうか。
◯曲に合わせた独特な調教
一二三さんの曲が評価される理由の一つには、上記の他に、個性的な「ミクの歌声」が挙げられます。氏の曲中でボーカルを務めている初音ミクの歌声は細めで女性的、そして小刻みに震えています。このような早めのテンポの楽曲で細い声を使っているということと、震えた、今にも泣きそうな歌声が楽曲をより切なく映し出しているような印象です。
◯オーソドックスな転調
キャッチーさを損なわずにラスサビを盛り上げる手法の一つが、ラスサビ転調です。変に複雑な展開ではないというのがミソです。「なでしこ日和」の場合はテーマが和風曲には比較的多い「春曲」そして「失恋ソング」で、その気持ちには「移ろい」や「決意」があるわけではないので、ストレートな展開が一番グサッと刺さるように思います。もちろん途中で拍子を変えたり、技巧的な転調を挟むことがより効果的に作用するケースもあります。和風曲であれば僕が昨年の10選にも選んだ「撫子色ハート」などがまさにそれです。あの曲は「儚い青春」と「決意」が描かれているからこそクライマックスのような大胆な展開が映えるのだ、という考えです。
総括と近況報告(?)
というわけで、今回はかなり短くまとまった気がしています!なぜ不意にこの曲のnoteを書いたのかというと、まずはなにより一二三さんの魅力が伝えたかったこと、残したかったことに尽きます。それからもうひとつ、思い立ったら即行動のスタンスが維持できないと僕はこのままvocanoteを書かなくなってしまうという自分への警鐘が聞こえたからです(笑)
別に義務感で書くものではない。分かっています。vocanoteを書くこと、が目的になってしまえば本末転倒である。よく理解しています。けれど、最近「好き」を「好き」だけで終わらせてしまうことが多くて、そんな自分に「もったいねえよ」って語り掛けてくるもう一人の自分を感じて。それが結果として義務感のような、何かとして僕を掻き立てた…というわけですね!
自分語りが過ぎますが、なにより僕はvocanoteを通してみなさんと繋がることが出来たことを嬉しく思っています!そんなvocanoteにも感謝しているので、僕が書くことで誰かが読んで、「いい曲じゃん!」ってなってくれればそれは本懐ですし「私も好きを伝えたい!noteを書こう!」ってなってくれたら優勝なわけです。
とまあこんなところで今回は終わりです!溜め込んでいる下書きについては気長にお待ちください!下書きが残ってるうちは大丈夫です!いつか書き上げます!