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第1066回「豊田英司の"今日のベトナムニュース解説"」ベトナム、格差の中で出生率が低下

本日の記事:
「ベトナム、格差の中で出生率が低下」
原題:
"Vietnam's birth rate declines amidst disparity "

記事リンク:https://vir.com.vn/vietnams-birth-rate-declines-amidst-disparity-114095.html


【本日のポイント】

(1)ベトナムでは教育水準や経済格差により出生率が低下しており、特に裕福で教育水準の高い層の出生率が低い。

(2)都市部の女性は農村部に比べて出産年齢が遅く、出生率も低い。特にホーチミン市の出生率は全国で最も低い。

(3)男児を好むジェンダー・バイアスや出生前性別選択技術の利用により、男女比の不均衡が広がっている。

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【解説】

アジアゲートベトナム代表の豊田です。

さて、今日の記事について。

日本ではいまだに「ベトナム」というと、「いくらでも若い人がいる国」という印象を持っている人が多いですが、もう、そうでもないよ、という記事です。

合計特殊出生率(*)について言えば、日本は2023年に1.20でしたが、ベトナムは全体で1.96、そして、最も低いホーチミン市では1.32と日本に近い状況に急速に進んでいます。

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(*)ある年次における15 歳から49 歳までの女子の年齢別出生率を合計したもの。1 人の女子が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に子供を生むとしたときの子供の数に相当
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まぁ、経済的に豊かで高学歴であるほど出生率が低いというのも、まぁ、日本と同じような傾向かと思います。

人口減少局面に入るには、まだ30年ほどかかるみたいですので、すでに人口減少が始まって20年弱が経過している日本から比べれば、まだまだ若い人が多い国であることに変わりはないのですが、このままだと日本と同じ道を辿ることになるだろうという記事内容になっています。


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【記事の日本語訳】

ベトナム、格差の中で出生率が低下

人口総局によると、教育レベルが低い人、特に小学校以下の人ほど子どもを持つ傾向があり、高校以上の教育を受けている人の平均が1.98人であるのに対し、2.35人。
また、裕福な家庭ほど、貧しい家庭よりも子供が少ない傾向にあります。

人口局のファム・ブー・ホアン副局長は、学歴と経済状況が出生率に大きく影響すると強調。

2023年の統計によると、裕福な家庭の子供の平均数は2人で、貧しい家庭の子供の平均数は2.4人。
ゆとりのある中間所得層の出生率は2.03人から2.07人。
ただし、報告書では富裕層の分類基準は明記されていません。

経済格差に加え、都市部の女性は農村部の女性に比べて出産が遅く、数も少ない傾向があります。
都市部で出生率が最も高いのは25~29歳の女性で、1,000人当たり127人。

「20年以上にわたり、都市部の出生率は代替水準を下回っており、ホーチミン市は現在、女性1人当たり1.32人で、全国で最も低い出生率です」とホアン氏。

ホアン氏は、教育水準の向上、生活環境の改善、ライフスタイルの楽しみの嗜好が都市部での出生率の低下につながっていると指摘。

さらに2019年のデータによると、裕福で教育水準の高いベトナム人は、娘よりも息子を多く産む傾向があるとのこと。
出生時の男女比は、読み書きのできない母親の間で最も低く、女児100人あたり男児107人で、学歴が高くなるにつれて増加し、大卒以上の母親では女児100人あたり男児114人に達します。
富裕層では女児100人当たり男児112人であるのに対し、貧困層では女児100人当たり男児105人。

この不均衡の主な原因はジェンダー・バイアスであり、ベトナムにおける出生時の男女比の偏りの根本的な原因は男児を好むことです。
さらに、出生前性別選択のための先端技術の利用が増加していることも、この傾向に寄与しています。
裕福で教育を受けた人ほど、そのような方法を利用できるのです」。

レ・タイン・ズン(Le Thanh Dung)人口局長は、ベトナムは2006年に女性1人当たりの合計特殊出生率が2.09で、置き換えレベルの出生率を達成したと指摘。
しかし、その後、国の出生率はこの水準を下回り、2023年には女性1人当たり1.96人という歴史的な低水準に達し、今後数年間でさらなる減少が予想されています。

「この傾向は社会経済が発展した都市部で顕著で、63の市と県のうち21の市と県が、主に経済的に活気のある南部地域で出生率が低いと報告しています」とズン氏。

専門家は、少子化が続けば、世界で最も高齢化が進んでいる日本が直面しているような、人口統計学上の重大な課題につながる可能性があると警告しています。
高齢化は社会・医療・福祉コストを増加させ、労働力不足を悪化させ、社会経済的資源を減少させます。

ベトナムがこのままの道を歩めば、今後35年以内に人口はマイナス成長になると予測されています。
2069年には、子ども2人に対して60歳以上の高齢者が3人になる可能性があります。

こうした課題に対し、専門家は出産を奨励する持続可能な開発政策の必要性を提言。
少子化を推進する現在の政策をやめ、2人の子どもを持つ家庭を支援し、子育てを支援する政策をとるべきだと提唱しています。

第15代国会議員のグエン・ティエン・ニャン教授は、最低賃金政策から4人家族で十分な生活賃金政策への転換を提案。
また、労働時間(1日8時間、週40時間)を短縮し、家庭生活や子育て、個人的な趣味の時間を確保することを提案。
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以上 豊田英司
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