【読書】「住友を破壊した男 伊庭貞剛伝」(江上剛 著) 満足度(8点/10点中)


【どんな本かを一言で言うと?】

・住友中興の祖、伊庭貞剛の自伝。

【読もうと思った理由は?】

・住友Gで働いていた頃にしり、特に「会社を謝らせるのは若者の過失より老人の跳梁跋扈」と言う言葉で実際にご自身も57歳の権力の絶頂期にサッと引退し、その後、隠棲を守り切った潔さに感銘を受け、以前から尊敬しているが、ふと、また読みたくなってので。

【読後の感想を一言で言うと?】

あの時代に「環境問題」についてキチンと考え、そして莫大な予算を使って銅山の煙で死滅した森林を植林によって復活をさせた、というのは、やはり、経済合理性を超えた、幕末の志士、侍としての「心の強さ」がなせる技なのであろうかと考えさせられる。おそらく、当時の住友財閥がこのような行動をしたことは少なからぬ周囲の企業に良い影響を与えたことと思う。

【読後、行動のstart, stop, keep, changeへの影響は?】

・環境問題への対応など短期利益に直結しないが、企業の存在意義として「社会をよくする」活動を進められる「自分の哲学を持った、心の強い経営者」を目指し、自分も小さな社会貢献を何か始めたいと思う。

【メモ】

伊庭貞剛は現在の住友G各社の基礎を作った「住友中興の祖」であり、元祖SDGsの実行者であり、それこそ渋沢栄一のように著名でも良いと思うのだが。。。

「事業の進歩発達に最も害するものは青年の過失ではなくて老人の跋扈である」という名言を自分の行動で示した点も永遠に実業界で語り継がれる価値のある人物と思われるのに、どうしてこんなにマイナーなのだろうか、、、青年期、幕末の志士として、若すぎるが故に自分が思うような活躍ができず、また司法の道でも思うような活躍ができなかった前半生、そして住友に入社してからの別子銅山での奮闘、煙害対応と森林復興の決断、自分を取り立ててくれた実の叔父、広瀬宰平が暴君化し、自ら引導を渡す場面など、大河ドラマに十分なる波瀾万丈の人生と思うのだが、、

住友Gの広報さん、頑張ってください!

以上

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