見出し画像

第1062回「豊田英司の"今日のベトナムニュース解説"」利益率の高い成長: ウィンコマースの戦略的焦点

本日の記事:
「利益率の高い成長: ウィンコマースの戦略的焦点」
原題:
" Profitable growth: The strategic focus of WinCommerce "

記事リンク:https://tuoitrenews.vn/news/business/20240827/profitable-growth-the-strategic-focus-of-wincommerce/81657.html


(写真:スーパーマーケット「WinMart」 の店舗外観)


【本日のポイント】

(1)ベトナム最大の店舗数を誇るコンビニ「ウィンマート」などを運営するウィンコマースは、効果的なコスト管理と新規店舗の増加により、2024年第2四半期に売上を大幅に増加させ、黒字を維持している。

(2)自社の物流庫会社であるスープラ社の効率的な物流システムにより、ウィンコマースはコストを11%削減し、全国に迅速な商品配送を実現している。

(3)WiNメンバーシップ・プログラムは1,000万人の会員を獲得し、顧客ロイヤルティを高め、売上に貢献している。

=====================
【解説】

アジアゲートベトナム代表の豊田です。

さて、今日の記事について。

ベトナム有数のスーパーマーケットである「WinMart+(ウィンマート)」やコンビニの「WinMart+」(ウィンマートプラス)を運営するWinCommerce(ウィンコマース)社の業績が好調とのことです。


WinCommerce(ウィンコマース)社は、ベトナムにおける小売業の大手企業の一つです。

元々「VinCommerce」として知られていましたが、2021年にMasan Groupによって買収された後、名前が変更されました。以下は、WinCommerce社に関する主要な情報です。

元々、この会社はベトナム最大の民間企業であるビングループが経営していた「VinCommerce」を大手食品メーカーであるMasan Groupが2021年に買収したものです。

その際に、「VinCommerce」の最初の「V」の文字を二つ並べて「WinCommerce」というほとんど同じような社名にリブランドし、
スーパーマーケットチェーンの「VinMart」は「WinMart」に、コンビニエンスストアチェーン「VinMart+」は「WinMart+」という、これまたほとんど同じ店舗名に変えるという荒技?に出て、世間を驚かせました。

(Winmartで買い物をする女性)

私、ビングループの運営するアパートに住んでますので、日常的に旧「VinMart」や旧「VinMart+」を利用していたので、旧に頭の文字が「V」か「W」になったので、「ん?台風かなんかでVの文字が飛んで、新しいVをくっつけてるのかな?」とか本気で思ってました。

で、店舗のカラーとかも全くいじってないので、ニュースとかをしっかり見てない人は、あまり変化に気づかなかったと思います。

まぁ、これはすでにベトナム全土に数千店もあった店舗を買収するにあたって、極力、移行コストを抑える意味合いと、ブランドチェンジによるブランド価値低下を最小限に抑えようということだったんだと思います。

でも、まぁ、やっぱり、Vにもう一個V足してWにするとか、やっぱり、ちょっとギャグというか安っぽい感じもして「大丈夫かいな」と思ってましたが、業績好調なようで何よりです。

しかし、ベトナムのスーパーマーケット、コンビニともに市場は内資、外資含めて激化しており、イオングループもイオンモールやマックスバリュー、ミニストップなどで着実に店舗網を広げております。

ちなみに私の父はマックスバリューでずっと働いてましたので、とっても応援しております!笑

まぁ、しかし、ベトナム地場企業の物流とか顧客管理システムとかどんなもんなんだろうと思ってましたが、今日の記事を読むと思った以上にしっかりしてるみたいですね。

我々、ベトナムに住む消費者としては、競争と効率化によって、新鮮で良い商品がリーズナブルに手に入ることは大歓迎ですね

++++++++++++++++++++++
【記事の日本語訳】
利益率の高い成長: ウィンコマースの戦略的焦点マサン傘下になって4年以上が経過し、WinCommerceはマサンの消費者向け流通のエコシステムの他の構成要素との相乗効果を高め、持続可能で収益性の高い成長を目指している。
WinCommerceは消費者向け流通プラットフォームとの相乗効果で利益を上げている。
マサンは最近、WinMart/WinMart+/WiN小売チェーンを運営するウィンコマースの2024年第2四半期の売上高が7兆8,400億VND(約3億1,432万米ドル)を超え、6月以降黒字を維持していると発表した。
6月の9.7%増の成長は、店舗数の増加と効果的なコスト管理によるものだ。
6月現在、ウィンコマースは約3700の販売拠点を運営しており、2023年12月以降、40の新規店舗をオープンしている。同社の多様な小売モデルには、ウィンマート・スーパーマーケットやウィンマート+/WiN店舗が含まれ、都市部から農村部まであらゆる消費者層に対応している。
ベトナムでは、ウィンコマースは、マサンの子会社であるマサン・コンシューマーとその物流会社であるスープラの消費財製造の強みに支えられ、POS規模の優位性を持つ唯一の近代的小売業者として際立っている。
これにより、ウィンコマースはベトナムの小売市場シェアを独占する上で有利な立場にある。消費財メーカーとしてスタートしたマサンは、製品の研究開発、ブランド構築、消費者動向の把握といった強みを活かしてきた。
2023年末までに、マサン・コンシューマーは、CHIN-SU、Omachi、Kokomi、Nam Ngu、Wakeup 247を含む、売上高2兆ドン(8,018万ドル)を超える5つのブランドを所有している。
マサンは「ラブ・ブランド」、つまり消費者の心に深く響くブランドを構築するために、市場のニーズを徹底的に理解することを優先している。
2023年6月、マサンはコンシューマー・イノベーション・センター(CIC)を設立し、ベトナム全土に5つのCICを設立する計画だ。これらのセンターでは、実際の家庭環境をシミュレートし、消費者が製品を体験してフィードバックを提供できるようにしている。
この実体験は、センターにおける消費者理解の研究活動の基盤および大規模なデータベースとして機能し、「正確性」「スピード」「安全性」「コストの最適化」という4つの重要な基準の達成に役立っている。このアプローチは、市場に投入される前の新ブランドの成功率を高めている。WinEco野菜やMEATDeliチルド肉といったマサンの強力なブランドは、ウィンコマースの小売システムに顧客を引き付けている。
WiNメンバーシップ・プログラムは、WinMart/WinMart+/WiNのロイヤル顧客に、これらの商品を20%割引で提供する。
マサンのR&Dとブランド構築の専門知識を活用し、ウィンコマースは競合製品より10~20%安い価格のプライベートブランドも開発した。
これには、Ngoc Nuong Rice、O'lala eggs、WinMart Good dry food、WinMart Home personal care and household productsなどがある。
スープラの効率性でウィンコマースは11%のコスト削減を実現約3,700のスーパーマーケットと店舗のネットワークで毎月3,200万人の買い物客にサービスを提供し、ベトナム全土の63省・市のうち62省・市に何千もの商品を迅速に輸送する必要があるため、ウィンコマースにとって物流は極めて重要な要素となっている。
2022年初頭、マサンはスープラを設立し、グループのエコシステムをサポートし、消費者とパートナーのコスト削減を支援する目的で、国内物流サービスに参入した。スープラ・ディストリビューション・センター(DC)システムは、6つの保管倉庫と4つの冷蔵倉庫を含む10の倉庫クラスターで構成されている。
スープラDCシステムを通じて配送される商品は、ウィンコマースの総生産量の約60%を占めている。
大量の商品を効率的に管理するため、スープラ社は倉庫と輸送の両業務に先進技術を雇用している。その中には、サプライチェーン全体の追跡、在庫管理、ロジスティクスを監督するオンラインとオフラインの包括的な倉庫管理システムが含まれる。記録管理、車両管理、ルート計画、注文追跡など、輸送管理の最適化にもテクノロジーが活用されている。
マサンの試算によると、スープラはウィンコマースのコスト削減に11%貢献している。ウィンコマースのグエン・ティ・フォン最高経営責任者(CEO)は、2024年の年次株主総会で、小売チェーンは最適な小売モデルを確定し、今後は収益性の高い成長に注力し、1日平均1店舗の新規出店と年末までに4,000店舗の達成を目指すと発表した。
WiNの会員数 会員数1,000万人ウィンコマースのWiNメンバーシップ・プログラムは、開始から1年で、会員数が1,000万人に達した。
このプログラムは顧客獲得コストゼロを誇り、会員のショッピングカートの価値は非会員の2倍である。会員は平均して月に4回買い物をしており、顧客エンゲージメントとロイヤリティを促進するプログラムの成功が浮き彫りになっている。
ウィンコマースは、こうした要素を備え、ベトナム市場で成功する態勢を整えている。
ーーーーーーーー
++++++++++++++++++++++

以上 豊田英司
=====================

(補足記事)

今日の記事はベトナムの大手コンビニ&スーパーの「ウィンコマース」の記事でしたので、現在のベトナムのコンビニについてのレポートも併せて読んでみました。

Convenience store 2023 - Which brand is dominating the market?


こうして見てると、内資、外資含めて様々なコンビニが出てますが、ホーチミン市にしかなくてハノイにはないコンビニブランドが結構あり、逆のパターンはないので、あらためて消費市場としてのホーチミン市の圧倒的な強さを感じます。



そして店舗数を見ると、これは今日の記事にある「ウィンマート+」を筆頭に上位3社はベトナム企業で外資を圧倒してますね。



私がベトナムに来た2011年頃では考えられないほどコンビニが増えて、ベトナムの生活は本当に便利になりました。

このレポートを読む限り、今後、地方展開も含めて益々コンビニはベトナムで増えていきそうですね。

(アジアゲートベトナム代表 豊田英司)

====================


「アジアゲートベトナム 」はベトナムにおける人事・ 労務のアドバイスに特化して、あらゆるご相談を承っております。
まずはお気軽にご相談ください。


(主なサービス内容)
(1) ベトナムにおける人事、労務、法務のご相談、調査、 セカンドオピニオン提供

(2) 就業規則、賃金テーブル、雇用契約書などの作成サポート

(3) 人事評価制度作成サポート

(4) ビザ・就労許可証(WP)、一時滞在許可証(TRC)の取得代行

(5) 会社設立ライセンスの新規・追加手続き代行

(6) ベトナム市場調査、ベトナムローカル企業の与信調査

(7) その他、ベトナムでの事業運営に関わる各種相談対応
============================== ==============

ASIA GATE VIETNAM CO., LTD
(ウェブサイト)
https://www.asiagate-vietnam.com/

Managing Director /代表
豊田英司(Toyoda Eiji)
TEL : +84(0)94 653 2425
Email: toyoda@asiagatevn.com

【会社所在地(Office Location)】
ハノイ本社(Hanoi Head Office)
4 Floor, B220 Vinhomes Gardenia, Ham Nghi, Cau Dien, Nam Tu Liem, Hanoi, Vietnam

ホーチミン支店(HCMC Office)
1F - Somerset Chancellor Court,
No. 21-23 - Nguyen Thi Minh Khai street, Dist. 1 Ho Chi Minh city ,Vietnam

ハイフォン出張所:(Hai Phong office)
No.12/116 Vinh Cat str, Vinh Niem ward, Le Chan Dist,Hai Phong, Vietnam

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?