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【ベトナムでの内部通報制度の”落とし穴”】

【ベトナムでの内部通報制度の”落とし穴”】

ベトナム人事労務コンサルティングのアジアゲートベトナム代表の豊田英司です

今、日本の某県で「公益通報者保護法」や「内部通報」のあり方について議論がされていますね。

ベトナムにおいても不正防止のために「社内の通報制度を作りたい」という相談を受けることは頻繁にあります。

そこで一番問題になるのが、やはり、

「通報者が誰か?が特定されないという安心感をいかに提供できるか?」

これに尽きると思います。

そして、この話題の時に日本人の駐在社長が「完全に」見落としているポイントがあります。

これは面白いくらい、みなさん、見落としています。

それは「日本人の駐在社長自身も完全には信用されていない」

という事実です。

「は?何で俺がベトナムで不正なんかするのよ?そんなわけないじゃん」

とみなさんは思っているかもしれませんが、それは、「一従業員」には計り知れないことです。

これは日本人の駐在員にはビックリの意見だと思いますが、数百人、数千人の会社になれば、日本人社長と総務マネジャーなどは「雲の上の人」ですから。

実際にあった例を、多少、脚色してお話しすると、ベトナムの北部にある日系企業の工場で「給食業者からのキックバック」が行われていました。

総務マネジャーが親戚の給食業者を使っているせいで品質も悪くほとんどの従業員は不満を溜めていました。

その会社様では、食堂に鍵のかかった「目安箱」を設置して、日本人社長が設置する際に

「この箱の鍵は私しか持っていません。手紙の翻訳も外部にお願いしますので、安心してベトナム語で投稿してください」

と伝えました。

しかし、この件については、結局、誰も内部告発しませんでした。

後日、偶然、その会社様のスタッフと弊社のスタッフが友人関係なので、どうして誰も目安箱に入れないの?と聞いたところ、こう言ったそうです。

「だって、総務マネジャーが日本人の社長にお金を渡しているかもしれないじゃない。グルかもしれないじゃない。」


そして、残念ながら、実際、ここ数年、それなりの日系企業において、購買担当の日本人駐在員が部下の不正を見逃す代わりにキックバックの一部を受け取っていたことが発覚して、強制帰国になった話も聞いております。

内部告発制度を作る前提として、この

「日本人駐在員も不正している可能性があるという懸念は持たれる可能性がある」

という観点が「スポッ」と抜けてしまっている企業様は結構あります。


じゃあ、どうしたらいいの?といえば、これは、もう、何度も、何度も

「自分は絶対に不正はしない。むしろ、それによって、企業収益が下がる方が自分にとっては困るのだ!」

という価値観を熱意を持って伝えるしかないと思います。

「考えすぎでは?」

と思う方もいらっしゃるでしょうが、日本の公的機関ですら、内部告発者に対して

「誰だ!告発者を見つけだせ!」

とトップが言っているという疑惑が出るわけですから、ベトナム人的な感覚の方が案外、正しいのではないかとすら思います。

以上、少しでもお役に立てば幸いです
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(アジアゲートベトナム代表  豊田英司 )

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