「負けヒロインが多すぎる!」がとても良い。
どうも、石田橅です。
ひっさびさに一つのアニメにドはまりしています。
その名は「負けヒロインが多すぎる!」という、ラノベ原作・コミカライズもされてるラブコメ?群像劇。
取り敢えず、公式HPとか貼っておきます。
あと、各公式ツイッター。
原作者の雨森たきび氏。
この作品の登場キャラはこちらより。
では、個人的なこの作品の魅力をば。
ここが良い
ただのラブじゃない、「別れ(負け)を受け入れる」人間関係
普通のラブコメ作品って、数奇なめぐり逢いから主人公カップルが成立して、基本的にニコイチながら時に濃く、時に冷え、最後は永遠に強固な繋がりとなってハッピーエンドみたいな(偏見)、「持ちつ持たれつずっとラブラブ」という前提一辺倒で進む印象を持ってます。
だから個人的にラブコメ作品ってあんまり興味を持てなかったんですよね。
けど「負けヒロインが多すぎる!」(以降本作)は、確かに高校生の恋愛模様周りを描いているものの、恋愛というよりは人付き合いの儚さと脆さ、純愛とは違った人間関係の煌めきを、丁寧に表現している作品だなぁと感じました。恋愛そのものというより失恋が物語の分点で、『出会いと分かれを繰り返す普遍的な人付き合い』が主軸。学生時代恋愛とは縁が無かった私でも、無意識に琴線に触れるのかツーンとくるようなほろ苦さすら覚えます。
特にアニメ11話、終盤に温水君(男主人公)がナレーションする、達観したような言葉は中々響きます。
そもそも負けヒロインとは
とあり、残酷に言ってしまえば「じゃない方」。
でもよく考えれば、人間生きてきて「負け」「選ばれなかった」経験の方が豊富ではないでしょうか。誰もが大谷翔平や藤井聡太にはなれないし、寧ろそういった勝者は、数多の敗者があってこそ輝くモノ。世界は「その他多数」で成り立っていると言っても良いでしょう。
本作はそんな「その他多数」なりの泣きを見た者同士の物語。
ただ単に傷をなめ合うのではなく、「じゃあどうしたら良い?」を自分なりに見出し、それでも無理だったら一度挫折し、そんなときに手を差し伸べ合う、とでも言えばいいのでしょうか。
スポ根漫画が「練習」で強くなり「試合で勝つ」ことで「成長」を描くのなら、本作は「経験」を経て「自分なりの価値観を見出す」ことで「変化」を描く___________そんな繊細な群像劇です。
もどかしさが生々しい
世の中陽キャ陰キャと分類されます。私は陰キャです。
色んな見分け方があるとされますが、個人的には人と関わる際に、自分から動くか否か、動けるか否かという精神的な部分がその中心だと勝手に思ってます。
「こう思ってるけど、発言したら嫌われるんじゃないか…」
「実際こう思ってるし、ため込んで引きずるよりは真っ向から話したい」
なーんて迷った経験は誰しもあるハズです。
そこからどう動けるかが、個人のキャラを印象付けますよね。
どちらが正解だとは思いませんが、世の中は割と「動いたもん勝ち」でしょう。
個人的には「動けない側」の心情に共感できる部分が多く、故に作中のキャラが語る後悔や本心も割と納得すできるんですよね。
本作のキャラたちは「言葉にできない曖昧な、二度と再現できないような不安定て一時的な人間関係に感じる心地よさ・安定・安心に不変を求めている」節があるんじゃないかって。
本作ヒロインたちにとっては友人以上恋人未満、約束をしなくても顔を合わせる機会がある、双方動き出さない限り人間関係が良くも悪くもならない、常にソワソワするようなくすぐったさが「心地よさ」なんだろうなって思うんです。
逆に言えば、それを壊すようなアクション(作中なら「告白」)を恐れている。
その様子はまるでジェンガで、ピースが抜かれる前の不安定さに、特定の一人ならず、経験も本心も異にする何人もが無自覚に縋っている中、若さゆえに「告白を我慢できず」、未練ゆえに「負けを断ち切れず」あれよあれよと状況が変化してしまいます。ジェンガで下の段を思いっきり引っ張ってしまい、全体が大きくぐらつくような感じ。
残ったピースは、無残に散るだけなのか、それとも形を残すのか、残ったとして、それぞれどんな形を保つのか。本作は、そんな脆く苦いすれ違いを、真正面に描いています。
舞台が良い
本作の舞台は愛知県豊橋市。原作者の出身地だそうです。
個人的に静岡県出身なのも相まって、勝手に親近感を覚えたのがこの作品との出会いでした。
正直豊橋へこれといった思い入れはなく、18切符旅でよく乗り換える駅というレベルでしか認識してなかったのですが、とにかく背景が綺麗。
(下記、実際の市中写真とアニメでの背景を紹介してます)
JR東海も沿線が舞台ということで特別コラボ(注:2024年末まで)を実施しているそうなので、便乗しようか検討中です。
(それにしてもJR東海って最近コンテンツコラボほんとに増えましたね…ちょっと前まで日本一"お堅い"会社というイメージだったので尚更)
実際の町があると、なんか「すぐそこにいるんじゃないか」みたいな、不思議な感覚になります。
劇伴が美しい
こればっかりはアニメ見てください()
特に、合唱曲のイントロのようなピアノから始まる(個人的にメインテーマ)曲がお気に入りです。
結論
なんとも舌足らずというか感性貧乏な感想でしたが、とにかくここまで「ジワ~」っとくる作品は新鮮でした。あったかいスープが喉を通って心がほっかりするような感覚。
キャラ一人一人に魅力があり、欠点があり、価値観があり、そんな自分を見つめながら毎日を生きていくある種の「ライブ感」が、作品の魅力を引き出しています。
是非皆さんも見てみてください。
あとがき
キービジュアル的に一番の主人公は『八奈見杏菜』(青髪の子)ですが、個人的に"負けイン"という作品を象徴するのは『小鞠知花』(紫がかった髪、小柄で内気な子)じゃないかと思うのです。若干ネタバレですが
・一番しっかり失恋してる
・人一倍「別れ」「孤独」を恐れている
→恐れているが故に「別れ」なくていい「孤独(現状維持)」を選ぶ
・一人でこなすことが「正しい強さ」だと考えている
・でも一人は寂しい
と、先述の「動けないもどかしさ」という、自分に一番響くタイプの苦しさを地で行くキャラだもんで…私が「静か」「ショートヘア」の子が好きってものあるけど
因みにヱヴァなら綾波派です
というわけで、書きたい事つらつら書いて締まりがよく分からくなりましたんで、この辺で。橅でした。