シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44
R.シューマン(1810-1856) ドイツ
♪ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44
1842年はシューマンにとって「室内楽の年」と呼ばれている。以前リストに「室内楽の分野を書く事は、経済的にも成功する」と勧められていたこと、そして何よりもベートーヴェンの後期作品から続く、ドイツ音楽の伝統を誇る室内楽作品の領域に自ら足を踏み入れる時が来た、と感じた事が室内楽作曲の動機となった。彼はこの年、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を研究した後、自身も弦楽四重奏曲、そしてこのピアノ五重奏曲に着手した。この作品はロマン派室内楽の最高傑作といわれている。
第1楽章(Allegro brillante)7度の跳躍を伴う第1主題は力強く華やかである。その後この旋律は柔和に変化し、新たな旋律が導き出される。
第2楽章(In modo d’una Marcia Un poco Largamente)葬送行進曲風の楽章で、優美な第1トリオと、激しいアジタートの第2トリオを持つ。
第3楽章(Scherzo Molto vivace)音階風の旋律が上昇下降する活発な楽章である。第1トリオはクララ・シューマンに関連がある旋律を持つ抒情的なもの、第2トリオは対照的に常動的でめまぐるしく転調する。
第4楽章(Allegro, ma non troppo)力強い和音で始まり、刻みの上に愁いを含んだ旋律が奏される。第1楽章の第1主題が、最後のコーダでフーガとして再帰することにより、全体に統一感をもたらしている。
① この記事は2015年の解説です。