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ラヴェル:ラ・ヴァルス

M.ラヴェル
♪ラ・ヴァルス
1919-1920年にかけて独奏ピアノ版、2台ピアノ版、管弦楽版を完成。 
「渦巻く雲の切れ目から、ワルツ(円舞曲)を踊るカップルたちの姿がときおり垣間見える。雲は少しずつ晴れてくる。輪を描きながら踊る人々であふれかえる広間が見える。光景は徐々に明るくなっていく。シャンデリアの光はフォルティッシモで燦然と輝く。1855年頃の皇帝の宮殿。」この一文はラヴェル自らが楽譜の冒頭に載せた言葉である。ここから皆さんはどんな情景が目に浮かぶだろうか。自伝素描によればこの作品は≪スペイン狂詩曲≫より前(1906年)にウィンナ・ワルツへの一種の礼讃として最初の着想を得たという。他にもフランス風ワルツ、スペイン風素材、そして時を知らせる音楽時計のような節が、次々とテンポや拍を変化させながら現れる。旋回、旋回、旋回・・・ラヴェルはこの逃れようのない旋回に何を感じたのだろうか。1917年にラヴェルは母を亡くし、深い悲しみに暮れていた。そして1919年に終息した第一次世界大戦(ラヴェルはトラック輸送兵として入隊しているのである)はそれまでの生活を一変させた。狂乱の内に終わるこの曲の終結部は、これらに対する思いを音楽に昇華させたものといえる。

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