ベトナムは何故、コロナを完全に防御できたのか?
2020年7月23日時点で、ベトナムの新型コロナウイルスによる累計感染者数は僅か412名、死者はなんと未だにゼロである。ここ最近の新規感染者数は1桁台である。
人口9700万人を抱え、人口密度も非常に高いこの国で何故ここまで感染拡大を抑えることができたのか。今、全世界中が注目している。今回は、感染拡大の抑制に繋がった要因を分析してみよう。
結論から言うと、大きな要因となったのは、①徹底した隔離政策、②対応の早さ、③政府に対する信頼度の高さ の3点である。
①徹底した隔離政策
ベトナム政府は3月中旬には新型コロナウイルス感染症のすべて流行地域へのビザの発給を停止し、3月下旬には外国人の入国を禁じ、事実上の鎖国状態に入った。
そして4月1日からは全国規模の社会隔離を実施し、すべての公共交通機関をストップさせ、商業施設も不要不急の施設はすべて営業停止とした。尚、この社会隔離政策は4月22日まで継続された。
またベトナム政府は、感染者に関する情報を細かく公表し、接触した者、接触した可能性のある者を徹底的に追跡し、隔離と健康状態の把握に努めた。感染者の出た村やマンションの封鎖などもあり、一時期ベトナム全土で8万人が隔離されていたとも言われている。
上述した通り、例えばあるマンションで一人でも陽性者が確認されたとしよう。日本では考えれないことだが、ベトナムではそのマンションが丸ごと2週間封鎖されるのである。
民主主義かつそれを許す憲法・法制度になっていない日本ではそのような人権上問題が有りそうな政策を実行することはほぼ不可能だが、今回ベトナムでこういった徹底的な外出禁止政策が実現できたのは、やはり共産党一党独裁政権であるからである。
先日の中国政府による武漢完全封鎖でも感じたことだが、今回のパンデミックを早期に封じ込めるという意味では、共産党一党独裁という政治体制がとても優位に働くということが明らかになった。
②対応の早さ
中国が昨年末にWHOに新種のウイルスを報告したことを受けて、1月21日にベトナム保険省が感染防止と検疫のガイダンスを公表した。
そして1月末までにベトナム政府は組織横断的な感染対応体制を整えていた。これは日本でのダイヤモンドプリンセス号の集団発生や欧州での感染拡大の前の段階である。
今回早い段階で村・集落単位で閉鎖したり、マスク着用義務付けや店舗、集合住宅への出入りは必ず検温が有ったり、薬局で風邪薬を購入したものは情報が管理されていたりとかなりの徹底ぶりであった。
③政府に対する信頼度の高さ
実はベトナムでは数年前にSARSが流行った際にも政府による徹底した管理体制、活動指示が成功した経緯もあり、国民の政府への信頼度は非常に高い。
国が示した方針に国民が素直に従ったことは感染拡大を抑え込んだ大きな要因と言えるだろう。
アメリカではびっくりするような新規感染者数(なんと毎日6万人のペース)が出ているにも関わらず若者によるコロナパーティーが至る所で開催され、日本ではいまだにパチンコ、キャバクラ、ホストクラブ等、三密なりやすい環境での営業が継続されている。
最後に
以上、普段は世界からあまり注目されることの少ないベトナムだが、今回のコロナ対応については先進国も参考にし今後起こり得るパンデミック対応方針として参考にすべきだと思う。今回の記事が少しでも皆様の参考になれば幸いである。
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