帝王切開でした 4
緊急入院したわたしでしたが
PCR検査結果待ちで
陣痛室に一時居る事になりました。
丸い大きなメガネが可愛い
明るい看護師さんがついてくれて
検査結果が出るまでここにいてねー
とにっこり笑ってくれました
わたしは家族と離れてしまったら
それはそれで諦めがついて
スマホを見ながら
時々来る痛みと
検査を受けながら待っていました。
ですが
わたしが居たのは陣痛室
目の前は分娩室
よそのお部屋から唸り声がしてきたり
はい!いきんで!!と
分娩室からも声が聞こえてきてる
と思ったら
おめでとうございますと
あっという間に誕生したらしい声を聞いたり
バースプランを渡したり
お祝い膳は和食にするか洋食にするか聞かれたり
窓も何もない場所で何時間居たのか覚えていないのですが
時々来るドクターが
何か説明をしては、出て行く時に毎回
「元気な赤ちゃんを産みましょうね」
と言って去って行くのが印象的でした。
入院時の説明では
明日朝イチで無痛分娩の予定。
今日お産が進めば普通分娩とのことでしたが
そのドクターは場合によっては帝王切開も視野に入れて
様子を診て行きましょう。と。
ここで初めて帝王切開と聞いた気がします。
お昼ご飯が出て食べた時は
割と平気だったのですが
夜ご飯を食べる前辺りから不安になって
涙が溢れてきたり
ドクターにハリ止めの点滴をして
明日の朝一で無痛分娩出来るようにしましょう
と言われて
少し安心したのですが
次に看護師さんが来た時には
やっぱり帝王切開でだしましょうって
話になってる、と言われました。
でもさっきハリ止めの点滴をするって
お医者様がおっしゃってたけど
と訊いたら
お産が進んでるのは自然な事だから
無理に止めないでって
さっき話し合っていたよ、と。
そんな!
と、ここで自分が帝王切開になる可能性を
初めて認識しました。
それからはもう周りもバタバタ
手術ですので夫の同意も必要とのことで
確認取れ次第オペにしましょう、と
ドクター。
お腹がはるたびに赤ちゃんが苦しいよって
合図を出してるので
まだいまなら赤ちゃんが元気ですから
今のうちに出してしまいましょう。
元気な赤ちゃんを産みましょうね。
と、去って行ったドクター。
精神科のお医者様が来た時に
怖いから逃げたいと言ったら
いま逃げちゃうともっと怖い事になるから
と言われた事、
看護師さんたちに
怖いどうしようと言った事、
その辺りぼんやりと覚えているのですが
一番この待ってる間で怖かったのが、
研修医さんがしてくれた手術説明の中で
術中に赤ちゃんが怪我をする場合もある、
との文言でした。
それだけはやめて!!!
お腹の中の人に
いい?
怪我する可能性もあるらしいから
下の方に隠れてるんだよ!!
あばれちゃダメだよ。
と言ったものの怖い怖い。
そんな中、
丸い眼鏡の可愛い看護師さんが
交代の時間だけど心配で、と
会いに来てくれました。
怖いの、
みんなそうだから大丈夫よ。
付き添いの看護師がいるから
手を握っててくれるよ。
胎動は今しか経験できないから、
それは皆が体験できるわけでもないの。
残り少ない胎動を楽しんで。
そう言って手を握ってくれました。
ストレッチャーでガラガラと廊下を進んで
やけに大きな時計が二つかかっている
手術室に着くと
すごい数の人が居ました。
怖いと泣く私の手をずっと握っていてくれた看護師さん。
すごく細い華奢な手だったな、とか
麻酔科の先生なのかな?若いドクターに
夕ご飯何食べました?って訊かれて
えーっとと必死に思い出して答えたら
結構食べましたねー!って言われたり
断片的に覚えています。
と、ここで
急に消毒綿を取り出して
そのドクターが首元、足の方と交互に触って
感じ方どうですかー?と訊いてきます。
両方感じます、と答えると
冷たさどうですか?と訊かれました。
えっと、足の方はあんまりって言うと
麻酔効いてきましたねー、と。
えええええ
あの、まだ感じるんですけど、って慌てて言ったら、
感覚はあるんですよ。
でも冷たくなければ麻酔効いてます、って
えええええええええええええええええ
旦那さん、お電話で同意取れて会社から向かってるそうです。
誰かがそう言って
じゃあ始めましょうと・・・
えええええええええええええええええええええええええええ
こわいこわいこわいこわいいいいい
と泣いて看護師さんの手をぎゅーぎゅー握る私と
あ、この後開けるのに衝撃が来ますからねーと
教えてくれる誰か・・・
衝撃って何???
って思っていると、
お腹にがんがんがんって衝撃が・・・
もはや恐怖のあまりどうしてたかも思い出せないのですが、
急にドクターが時間を言って
おめでとうございます、と。
他の方達にもおめでとうございます、と言われて
なんなの???と思っていたら
産まれましたよーと看護師さん。
なんで声がしないの?
なんで声がしないの?
必死に訊いたら、その内ふにゃんっと泣き声がしたのですが
え、嘘でしょ?私の声に似てる???
と思いました。
これすごく意外でした。
おー目がぱっちりしてて可愛いじゃない。
とドクター。
大丈夫ですよー。
あかちゃん羊水を飲んじゃってて
ちょっと声が出なかっただけです。
と看護師さん。
あの!
男の子ですか?女の子ですか?
と、確認する私に驚く看護師さん。
女の子ですよ。可愛いです。
そうして
産科から付いてきてくれていた看護師さんが
見たことも無い赤ちゃんを見せてくれました。
え?誰に似てるの???
これが私の最初の感想です。
あ、かみのけある。
辛うじて言ったら
んー少ない方かな?と苦笑する看護師さん。
手を触って、
じゃあ、計測とかあるので先に連れて行きますねーと
看護師さんは手術室を出て行き、
はい胎盤取り出して縫合しますよー、と言われたのに
なぜだかもう怖くありませんでした。
手術は終わっていないのに
子供が無事に出て行って恐怖はどこかへ。
そのあとは
自分やります、とお腹の方で声がして
「あそこの病院行ってるの?」
「あそこのやり方ってどんな?」
とか、ドクターの雑談を聞きつつ
あの中から出てきた人は
誰に似てるんだろう??と
ぼやーんと考えていました。
第一子、しかも女の子ならば
主人に似ていると思っていたのに
似てる、とも言えなかった。
まあ初めて顔見たんだし
知らない人だわね、と思った辺りから
また記憶があやふやで
少しここで麻酔が冷めるまで休んでいきますねー
と連れて行かれたカーテンで仕切られた場所。
学校の保健室のベッドみたいでした。
動けずにただただ天井を見上げて、
そういえば祖父も死ぬ前動けずに
天井を見ていたなあ。
何を考えてるんだろうってずっと思ってたなあとか、
そんな事を考えていたら
ゆらーっとカーテンが動いている気がするのに
やっぱり動いていないような????
寒く無いですか?
と訊かれて
大丈夫ですと答えたような?
このあと部屋に戻ったはずですが
戻る途中で夫に会って、
大丈夫?寝てないでしょ?と訊いた気がします。
あの頃はまだ仲良かったのねーと
笑ってしまう三年後です。
ちなみに、帝王切開した友達も
お腹がんがんって開かれた時に血の気が引いて
血圧下がってます!!!って周りが慌ててた
と話してました。
でも、びっくりするけど
痛くも無いわけで、
事前に知ってたら良かったかもね、と
思いました。
いや、でも怖いとは思うけど。
そんな訳で
泣いて手を握って貰っていたら
子供を取り出してもらえた、
そんな次第なのでした。
まだつづこうかな。
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