見出し画像

税理士資格科目免除ルートの簡単な解説

 税理士資格取得への道には、①税理士試験5科目合格、②一部科目合格+科目免除、の2つの方法があります。私は②の方法を選択しましたが、この科目免除のルートを選ぶ人の数が多くなっているにも関わらず、分かりやすい説明が広まっていないように感じています(少なくとも私が大学院を探すときはそうでした)。そこで、あくまで私の経験をもとにした話になりますが、科目免除ルートの流れや注意点を書いていこうと思います。

マイナビ税理士「試験合格者は少数派!?税理士試験の試験免除制度とは」(https://zeirishi.mynavi-agent.jp/helpful_mt/2021/09/661.html)

税法科目に落ちたら科目免除ルートが良いかも

 私は社会人9年目から税理士試験の勉強を始めて、1年目に簿記論・財務諸表論に合格し、2年目に消費税法に合格しました。その後、法人税に2度不合格となり、数年の間が空いた後、大学院に入って科目免除を狙うことに決めました。数年の間が空いたのは仕事が忙しかったことが理由ですが、実務経験の要件2年はもうクリアしているので、さっさと大学院に入っておけば良かったかなとは思います。
 簿記・財表を取った後、税法科目を1度でも落としたら大学院へ行く、タイムパフォーマンスを考えるとそれが合理的かもしれません。税法科目に合格できるかは結局のところ「運」なので、一通りの努力をしたのであれば自分の能力不足とは思わないほうが良いです。

大学院の選び方

 大学院の入学試験は1月~2月に行われます。修論作成のための演習8単位を含めて30単位くらいの比較的ライトな大学院が多いですが、中にはMBAも取れて科目免除も狙える46~48単位の本格派もあります。前者は東京では青山学院大学や日本大学、立教大学あたりがメジャーですが、他にも多くの大学があります。後者は東京では明治大学が有名ですが、一橋大学に行っていた人もいました。色々あると思います。
 費用は前者は2年で合計120-130万円、後者は200万円くらいになり、もちろん後者のほうが高くなりますが、教育訓練給付金制度による助成金は後者のほうが多く出るので、結果的には同じくらいになります。ただし仕事しながら2年で修論含め48単位はかなりハードですから、相当な志を持つ方にだけお勧めしておきます。

入学試験の準備

 入学試験は研究計画書の審査及び面接が多いかと思います。面接では研究計画の内容について聞かれます。研究計画書の作り方は河合塾KALSに入れば手取り足取り教えてもらえますが、20万円くらいは飛んでいくのでお財布と相談しましょう。大学院経験者に協力してもらえれば河合塾KALSなしでも十分な内容の研究計画書が作れると思います。ただし、研究計画のテーマに合わせて税法に関する代表的な書籍と重要な判例を学び、初歩的な税法の知識を身に着けておく必要はあります
 面接は緊張するので、できればどなたかに協力してもらって模擬面接をしてもらえると良いでしょう。ただ、研究計画書がしっかりしていればよほど厳しい教授が面接官でない限り落ちる心配はないかと思います。逆に言えば研究計画書が論文のていをなしていないとおそらく落ちます(特に引用の仕方は厳しく見られます)。

入学一年目:単位を取る

 税法に関係する単位を取る必要があることに注意して講義を選びます。何の講義を取るかや修士論文のテーマをどう設定すべきかなど、仲間と積極的に情報交換をすることが重要です。履修登録でミスをしないようにしましょう。大学は会社のように大目に見てはくれません。期限は絶対、ダメなものはダメです。この一年目で演習を除く22単位のうち9割くらいの単位を取れれば後がラクになります。

入学二年目:修論を完成させる

 二年目はほぼ修論に費やすことになります。テーマ設定、論文や書籍の収集・読解、構成の検討、論文作成、指導教授との確認、とやることは山ほどあります。特に論文や書籍の収集は大学の図書館ではまず足りないので、専門の図書館や資料館に頻繁に通うことになり、休日の時間をかなり食います。いかに早くテーマを定めるかが重要ですが、テーマが甘いと指導教授からのOKも出ませんし、何より最終的に完成しない可能性もあるので難しいところです。指導教授としっかり打ち合わせて修論の作成をスケジュール通り地道に進めていくことが必要です。

卒業後

 無事修論を完成させ、卒業できた後は、一部科目合格で科目免除の準備が整ったら国税審査会に修論を提出します。国税審査会は各大学院の卒業生たちの修論を審査し、科目免除通知を出してくれます。この審査期間は提出時期によってムラがあるようです。私の場合は3月27日に提出して、12月21日に通知が来ました。その間約9か月ですが、これはかなり長いケースです。国税審査会は8月~11月を税理士試験の採点と結果発表の準備にリソースを費やしており、そのぶん修士論文の審査が遅れるのではないか、という噂もあります。LECの生徒の報告を見る限り、12月に修論を提出した場合は翌年の3月~4月に通知が来るケースが多かったので、税理士試験の採点期間が修論の審査期間に影響している可能性は高そうです。

最後に

 科目免除ルートでは職場の方々や大学院の仲間たち、そして何より指導教授に大きなご支援をいただくことになります。ご協力いただいた皆さまに感謝を忘れず、着実に道を歩んでいくことが大切です。

いいなと思ったら応援しよう!