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業務改革のありがちな間違い:現状と課題の混同
業務改革の基本的な思考フレームワーク
業務改革は①「現状」を分析し②「課題」を抽出して③「解決策」を導き出すという手順に沿って行うのがオーソドックスな方法ですが、それぞれのステップを的確かつ具体的に遂行することができないと、有効な解決策を打ち出すことが難しくなります。
現状分析のポイント
よくあるのが、現状分析に課題認識を混ぜてしまうことです。色眼鏡で現状を見てしまっているとも言えます。「AさんとBさんの両方が売上集計作業をしており、業務が重複しているという課題がある。」というような課題ありきの現状説明がこれに該当します。
望ましいのは評価を混ぜずに事実を述べることであり、「Aさんは店舗単位の、Bさんは商品別の売上集計作業をしている。作業にはいずれも販売管理システムから出力するデータを使用しているが、Aさんはαデータ、Bさんはβデータという異なるデータを使っている。」というように事実を的確に捉えればより明確に現場が見えてきます。
課題抽出のポイント
課題抽出は現状分析と異なり、具体的な解決策の目星をつけて行うすることが重要です。表面的な課題抽出は解決策に繋がりませんので、より本質的かつ根本的なところまで降りる必要があります。
上で述べた「業務が重複している」というのは表面的な課題抽出でしかなく、掘り下げてみると「Aさんは店舗管理を役割とする部署、Bさんは商品管理を役割とする部署にそれぞれ所属しており、目的がそれぞれ異なる売上集計作業をしている。αデータとβデータは集計単位が異なるが、データを複数の部署で出力することは一元管理・整合性の観点で課題がある。」ということに行きついたとすると、組織の役割分担に本質的な課題があるということになります。
解決策のポイント
課題を本質的、具体的に捉えることができれば、後は解決策を5W1Hで作るだけです。上の例では、データ運用部署(または担当)を作りデータを出力してAさんの部署とBさんの部署に配るということが考えられそうです。αデータとβデータの最大公約数でデータを抽出することができるなら、そのほうがデータの整合性を担保できる点でより良いでしょう。
森を見る目と木を見る目の両方が必要
かくして、AさんとBさんの業務重複という当初は担当者の問題に見えた話も、突き詰めてみると組織の作り方・ガバナンスの話になりました。
実は、それぞれの部署で使うデータが違うため、経営陣が見たときに何故か最終利益が一致しない、なんてことも意外とよくある話です。
今後、M&Aや事業承継が進んでいけば、大企業においても中小企業においても組織体制はより複雑化し、組織横断的に業務改革を進めるプロジェクトの重要性は高まるでしょう。
経営陣の目から見ても、現場の目から見ても、具体的で有効な解決策を導き出すために、常に森を見る目と木を見る目の両方を意識したいところです。
最後までお読みいただきありがとうございました。