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NTTの社名変更と次世代通信基盤IOWNの挑戦
NTTこと日本電信電話株式会社が社名変更するとのニュースがありました。新社名は未定ですが、開発中の次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」などの国際展開を推進すべく、ブランド力や知名度を高めグローバル化に弾みをつける意図があると言われています。
IOWN構想とは以下の図のようなネットワークを構築する取組みだそうで、大雑把に言えばAWSやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformの進化版みたいなイメージでしょうか。NTTは昨年、2028年3月期までの5年間で、IOWNやデータセンターなどの成長分野に約8兆円を投じる中期経営計画を発表しており、次世代のネットワーク・プラットフォーム構築に大きく舵を切っていこうとしています。NTTグループの年間売上高は約13兆円ですから、設備投資額が5年で約8兆円とすれば、売上高の12%~13%を設備投資に回していくという計画になります。売上高設備投資比率が10%以上というのは日本企業としては相当高い水準になりますから、NTTグループの本気度が伺えます。
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一方で先を行くビッグテックも投資を加速しており、Microsoftの今期の設備投資は800億ドル(@150円として12兆円)という予測もあるそうです。Microsoftの連結売上高は年間約2,400億ドル(@150円として36兆円)なので、この予測通りであれば売上高設備投資比率は33%と非常に高い水準になるでしょう。投資家の中からはこの積極的な設備投資を不安視する声も出ているそうですが、ビッグテックもまた攻めの手を緩める気はなさそうです。
ビッグテックの資本力と信用力に対して真っ向勝負を挑むのは、さしものNTTでも厳しい面があるでしょう。投資の金額が全てではなく、どの分野にどれだけ効率的に経営資源を投下するかが成長の決め手になります。これからNTTがどのようにグローバルの舞台で存在感を示していくのか、注目したいところですね。