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訪問営業のリアル:20年前の現場体験記

 今回は私が約20年前某ケーブルテレビ会社に新卒入社してから2年間従事していたケーブルテレビの訪問営業について書こうと思います(20年弱も前の話なので、いまでは様子も変わっていると思います)。


1日のワーキングサイクル

 朝早めに出社してユニフォームに着替えて、チームで朝礼後、各自社用バイクや社用車に乗り込み現場へ直行しました(そういえばアルコールチェックをしていなかった気がしますが、いまは義務化されているのであるはず)。

 営業部には大きく分けて戸建を訪問するチームマンションを訪問するチームがありました。私はどちらも1年ずつ経験させてもらえたので、大まかな営業や工事、オペレーションの流れをつかむことができました。

 営業の対象は個人なので、平日はアポ集めを行い、休日にプレゼンの予定を入れるような動きが理想でした。しかし、当時でも訪問営業に対する厳しい目は多く、住民の方々に警戒を解いていただくところが一番大変でした。

 営業を終えて現場から会社に戻るのは夕方以降になり、会社で日報をExcelに打ち込んで、チーム長に軽く業務報告をして帰宅するのが一日の終わりでした。予算の進捗が良くないとロールプレイング大会が始まって帰宅時間が遅くなることもありました。

 この業務サイクルを振り返ると、私は若かったので平気でしたが、さすがにいまは体力的に無理だと思います。しかし、当時でもアラフォー、アラフィフのおじさま営業マンが多くいらっしゃいました。いま考えるとタフな方々だったな、と素直に尊敬します。

個性豊かな営業マンたち

 職場には約50名の営業マンがいましたが、新卒社員は一握りで、ほとんどが中途採用の正社員や契約社員、派遣社員でした。契約社員と派遣社員が6~7割くらいを占めていて、メンバーの入れ替わりが激しかった印象です。

 営業部には元営業職のほか元トラックドライバーや元自衛隊員元ホストもいて個性的な方が多かった職場でした。悪どい営業をするメンバーもほとんどおらず、横並びでよくコミュニケーションを取り、お互いに助け合っていたように思います。

訪問営業を経験して良かったと思えたこと

  • 初対面の人と話す度胸がついた:訪問営業では一日何十人も初対面の人と話すので、知らない人と話すことに抵抗がなくなりました。これは意外と一生もののスキルな気がします。

  • 相手の理解度を推しはかる習慣が身に付いた:相手が老若男女誰であろうと「現状を説明する」「課題を提示する」「解決策を提案する」の流れは変わらないので「どこから説明すれば話が通じるか?」ということには常に気を配る必要がありました。相手の思考や立場に合わせて柔軟に話の重点を変える習慣が身に付きました。

  • 仲間とのつながりができた:ありきたりかもしれませんが、タフな仕事を乗り切ってきた仲間とは根っこのところでいまでもお互い信頼を抱いていると思います。

訪問営業を経験して辛かったこと

  • 気候という名の試練:年齢層の高い営業マンは社用車が割り当てられていましたが、私を含め若い営業マンはバイク(ピザ屋御用達の天蓋付きバイク)でした。このバイクは前面に雨除けがあるものの、横から雨が入ってきますし、夏はとんでもなく暑く、冬はとんでもなく寒いです。雪が降った時は走行不能になり、営業先のマンションに置いて帰りました。訪問営業にとって気候は試練です。喫茶店に入って休んでいるとユニフォームが目立つのでカスタマーセンターにクレームが入ることもありました(辛すぎ)。

当時乗っていた社用バイクと同じ型のバイク
  • 厳しい事業環境とノルマ:ケーブルテレビの営業は各拠点ごとにエリアが区切られていて、私の拠点は当時で10年以上訪問営業をかけ続けていた地域であり、転入してきた住民以外はほぼ当社の訪問営業を受けた経験のある方々でした。以前聞いたことがあるサービスを案内して魅力を感じてもらう難しさがあり、それでも予算は背伸びをした目標になっていて、さらにはNTTの光ファイバーがサービス範囲を次第に拡大していて強力な競合相手になっていました。いま思えば、エリアが限定されているという特性が営業活動を難しくしていたのは確かだと思います。

  • 変化がない:基本的には毎日同じことの繰り返しで変化がないのも、私にとっては辛いところでした。チームリーダーも部長に詰められるのが主な役回りになっていたので、昇進するモチベーションも上がりませんでした。

まとめ

 訪問営業は厳しいノルマや世間の見方があるとはいえ、高い対人スキルを必要とする点で優れたジョブとも言えます。さらに内勤に比べれば業務中でもある程度自由な活動が許されているので、デスクにじっと座っているのが苦痛な方には適した仕事かもしれません。

 オンライン商談やWEBマーケティングが主流となる世の中でも対面営業がなくなることはないでしょうから、自身のキャリアに組み込んでみるのも良い経験になると思います。

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