ごめんね、スープジャー
スープジャー
それは、保温冷温機能のついた主にスープを入れる水筒のようなものである。
朝熱々のスープを入れれば、ランチタイムよき温度のスープが飲める。
そしてもちまるもずっと憧れていたのだ。
だって、スープジャー持ってる人って 丁寧な暮らしっぽい から。
なんか大人な女性な感じもするし。
でも洗い物は苦手なズボラ女子である。
買わずに時は流れ、某日イ◯ンにてお安くなったスープジャーにであったのだ。
色は萌え萌えピンク。
しかも普通よりやや大きめのサイズだ。
もちまるは迷わず手に取った。
お買い得商品に弱いタイプなのだ、、、。
さっそく使ってみることにした。
だがしかし、鍋を洗うのが面倒だ。
出先には電子レンジがある。
そして閃いた。
えのき、しめじ、ねぎをラップに包み鞄へ
スープジャーにめんつゆ、ごま油を入れ蓋をした。
なんだか気分がいい。
どんな理不尽に出会おうと、鞄の中にはわくわくが待っているのだ。
そして昼休み、レンジで加熱したえのき、しめじ、ねぎを、湯を注いだスープジャーに入れて、スープが完成した。
いつまで経っても灼熱で、短い昼休みにはやや不向きにも思う。
でも、心まで温まるような満ち足りた午後だった。
数日後、、、
スープジャーに湯を注ぐ姿を友人に発見された。
「今飲むなら、スープジャーじゃなくてよくない?
保温の意味ないじゃん笑」
ふぁ、、、、宇宙、、、
忘れていたんだ。スープジャーの本来の姿を。
そうだ。保温しなくていいならタッパーでいい。
なんならその方が軽いし嵩張らない。
もっと言えばカップスープでも買えばいいのだ。
このスープジャーは今までどんな気持ちだっただろう。
スープジャーとして生まれ、スープジャーとして育ち、スープジャーとして購入されたはずなのに、一度も本領を発揮できずに。
ごめんねスープジャー。
次はほかほかのスープをつめて一緒にお出かけに行こうね。
だがしかしズボラ女子もちまるがスープを作ることはなく、
スープジャーは家の片隅にひっそり生息しているのであった。
おわり