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無意味な遊そび:流がす




導入(無調整)

まるいち

昨今では、人工知能 または それらを使用する人たちの間で様々な問題が起こっており、人工知能自体に忌避感を覚える人も少なくない。極力人工知能的生成物から離れて過ごしたい、というのも(歴史を鑑みれば)自然な意見だと思う。pixivなどで住み分けしてる人も多いし、Siriを全く使わないiPhoneユーザーもザラにいる。我々は人工知能との付き合いにおいて、まだまだ十分に選択の余地があるのだ




ろうか?


例えば。
ふと調べものをしたくなったときに頼るサジェスト。少ない単語数で簡単に調べられるようになる。流行りだって分かる。

メロ×ロルはいいぞ


例えば。
Twitterをはじめとする諸サービスの「おすすめ」。過去の自分の閲覧傾向から分析して、フォローしていなくても面白い投稿が見れる。思う存分に時間を溶かせる。


現代社会・生活から人工知能を完全に切り離すにはあまりに遅いのだ(CV:ずんだもん)。



まるに

少し話は変わるが、近年正しく漢字が書けない人や、書くと脱字・衍字の多い人が増えているという。普段はしっかり覚えているはずなのに いざ書くと混乱してしまう、というのは皆さん経験のあることだろう。
要因は恐らく確実に予測変換機能のせいだと思われる。正直、先に紹介した云々よりも圧倒的に便利で、すっかり根付いてしまっている。これもまた、人工知能の与するものである。

すっごい便利

己で一から十まで紡ぐことば、即ちは所謂 生のことば と疎遠になってしまった我々だが、少なくともこの記事を見ている貴方は ことば が嫌いな方ではないだろう。むしろフェイバリット、だと思う。

(前置きが長くなって申し訳ない。)

そういう訳で、まぁ 小さなところから我々のことばを振り返っていこうじゃないか、というのが「流がす」だ。



ルール


とっても簡単。

わざと 送り仮名で脱字・衍字をしよう。
そして、楽しもう。

簡単でしょ?



例とえ

①流がす

「が」の主張が非常に大きく、「流」の字が持つ滑らかさや勢いを完全に消してしまっている。
雅で美しいながらも雄々しさを秘めた「流」の字と、平仮名の柔らかさを体現したような「す」の字の お似合いのカップルが、「が」という大きな壁によって隔てられた様相はまさしく『ロミオとジュリエット』のよう。
悲哀を感じる、美しい衍字である。

②虚つろ

「虚ろ」という字体に虚しさを感じるのは、意味が先行しているからだけではないだろう。
左から右への文字の移ろいは時間性と同期しており、「虚」→「ろ」の情報量・内容量の減少が我々が本能的に知る「時の虚しさ」に訴えかけているのだ。
これを鑑みると「虚つろ」は視覚的な減少を加速させ、むしろ本家よりも相応しい送り仮名と言えるかもしれない。


③新らしい

『ねえ。付き合ってくれないか。』
「私!?」
「ちょっと考えさせて!」
『?』
『文化祭の買い出し、お前も当番だろ。』
「……。」
「もう。新って そういうとこあるよね。」
「でも、そこが新らしいっていうか。」

甘酸っぱい青春を想起させる、カイロ代わりにうってつけの衍字である。


④柔かい

お前、語幹は「やわら」だろ。
最初から内包しとけよ。違和感ないぞ。

「柔らかい」という字から感じられる柔らかさは、「ら」によって担われていたのではない。これが分かったのは良い収穫である。

テストでは ✕ である。お気をつけて。


最後に

作っていると、夏休みの最終日に漢字ドリルの答えを丸写ししているときにわざと間違えたときの妙な罪悪感が蘇る……。なんてニッチなノスタルジーを誘う遊びなのだろうか。

脱字・衍字を勝手に解釈するのは傍目からすると少々悪趣味にも見えるだろうが、それもまた一興。
ふと 送り仮名の脱字・衍字を見つけたら、「流がす」を思い出してくれると嬉しい。是非共有してくれたまえ。
(世の中には、天然の流がすプレイヤーが数多存在するが、見つけても本人にはそっとしておいて流がしておこう。)

ここまで読んでくれて、誠にありがとうございました。





おまけ

余談だが、辞書によって送り仮名が違う語彙がある。

「いとけない」という語について

 広辞苑「稚い」
   明鏡  「稚けない」

お互いを流がすプレイヤーだと思っている双方辞書擬人化の絵を心待ちにしている。



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