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<vol.2> AML/CFT(マネロン・テロ資金対策)の最新動向と位置情報の活用

「暗号資産」や「DeFi(分散型金融)」が普及するに従い、金融の世界は国境をまたいだ自由な取引が容易になりました。しかし、その一方で増大しているのが、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金調達といった違法行為のリスクです。そこで今、世界各国の金融当局や規制団体が注力しているのがAML/CFT(Anti-Money Laundering/Countering the Financing of Terrorism)対応の強化。暗号資産に対する規制は年々厳格化しており、取引所やウォレットサービス、金融機関は続々と対策を迫られています。

本記事では、「AML/CFTがなぜ重要視されているのか」「どのような取り組みが今求められているのか」を整理するとともに、位置情報を使った新しいアプローチがいかにマネロン・テロ資金対策の強化に寄与するかを解説します。最後には、私たちTRUSTAUTHYが提供するソリューションについても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。



1. AML/CFTがなぜ注目されるのか?

■ 国際的な犯罪資金を防ぐ要

マネーロンダリング(以下、マネロン)とは、本来違法な手段で得た資金の出どころを隠し、あたかも正当な資金であるかのように見せかける行為です。テロ資金調達(以下、テロ資金)も同様に、国際的なテロ組織が攻撃資金を集めるために暗号資産を利用するケースが増えています。

暗号資産は国境を超えて気軽に送金できる半面、匿名性が高い仕組みも多いため、不正な資金移動に使われるリスクがあるのです。そこで、国際機関FATF(Financial Action Task Force)をはじめ、多くの国々がAML/CFTに力を入れるようになりました。取引所や金融機関が利用者の身元(KYC:Know Your Customer)を厳格に確認し、取引を監視・報告することが不可欠だと考えられています。

■ 規制強化の実態

近年、以下のような動きが活発化しています。

  1. トラベルルールの導入
    暗号資産を送金する際に、送付者・受取者の情報を追跡できるようにする仕組み。「どこからどこへ送られたか」を明確化することで、犯罪資金の移動を把握しやすくする目的です。

  2. FATFの定期審査
    各国がFATFのガイダンスに沿っているかを監視し、遵守していない国や地域には「ハイリスク国」指定などの厳しい評価が下されます。暗号資産を扱う企業は、国際的な信用を得るためにもFATF基準に従ったコンプライアンス体制を整える必要があります。

  3. 取引所・金融機関への監査強化
    多くの国が暗号資産交換業者に対してライセンス制や報告義務を導入し、AML/CFT上の責任を負わせるようになりました。違反が見つかれば営業停止や高額の罰金が科されることもあります。


2. AML/CFT強化の難しさ

■ 匿名性とプライバシーの両立

暗号資産の魅力の一つが、比較的匿名性が高いこと。しかし同時に、マネロンを抑止するには「誰がどの資金を動かしたのか」を明確にしなければなりません。取引所に厳格なKYCを義務づけるとユーザーが敬遠する可能性もあるため、「プライバシー保護」と「AML/CFTの厳格化」 のバランスをどう取るかが大きな課題です。

■ 国境を越えた監視の難しさ

従来の銀行送金であれば、国ごとの金融当局が協力して資金の流れを把握できます。一方、ブロックチェーンを経由した送金は地理的制限がほとんどないため、複数の国をまたぐ形で資金を移動されると監視が追いつかないケースが生じます。各国の法整備状況や積極性がまちまちなため、犯罪組織は規制が緩い地域を転々と利用することもあるのです。

■ リアルタイム検知の困難

マネロン対策は事後的に追跡するだけでは不十分です。できれば不正送金を“リアルタイム”で検知・ブロックしたいところですが、ユーザーのプライバシーや取引速度を損なわずに実施するのは高度な技術や設計が必要とされます。


3. 位置情報が果たせる役割

そこで注目されるのが、「位置情報」 を活用した新しいアプローチです。一般的に、「本人確認」や「送金の正当性確認」はデジタル証明書やパスワードに頼りがちですが、実際にユーザーが“どこ”から操作しているかを検証することで、AML/CFTをより強力にサポートできる可能性が生まれます。

  1. 異常な送金地を即時検知
    たとえば、日本国内に住むユーザーが突然海外からログインして大口送金を行おうとした場合、位置情報を用いて「通常とは違う国」からのアクセスだと判定し、自動的にリスクフラグを立てられます。

  2. 制裁対象国との取引回避
    国連の制裁リストやFATFのハイリスク国リストに該当する地域への送金を、地理的に制限することが可能です。ユーザーがあえてVPNなどを使って地域偽装をしても、GPSやその他衛星測位データを使えば“位置なりすまし”を大幅に難しくできます。

  3. 送金のトレース精度向上
    取引所間のトランザクションを監視するだけでなく、実際の送金リクエスト時の物理的座標をログ化しておくことで、事後の捜査やコンプライアンス監査の精度が上がります。マネロンの疑いが浮上した際に、「どこから操作が行われたか」を具体的に追跡できるわけです。


4. プライバシーとの両立

「位置情報を使う」というと、すべてのユーザーの行動を常に監視してしまうのではないか、という懸念があるでしょう。しかし、暗号技術を組み合わせることで「ユーザーの実際の居住地や住所を知られずに、所定のエリア内にいるかどうかだけを証明する」方法が存在します。

  • ゼロ知識証明(ZK)
    実際の座標を送らなくても、「この人は確かに日本国内にいます」とだけ証明できる仕組み。

  • マルチパーティ計算(MPC)
    複数のサーバーで情報を分散処理し、中央が「生の位置データ」を掌握せずに認証結果だけを共有する設計。

こういった暗号技術を採用すれば、「プライバシーは守られつつ、マネロンやテロ資金のリスクは減らせる」 という両立が実現可能になります。


5. TRUSTAUTHYが提供するソリューション

私たちが開発・提供している「TRUSTAUTHY」 は、まさに「位置情報×暗号技術」を活用してAML/CFTを強化するためのプラットフォームです。具体的には、以下のような機能を通じて、暗号資産取引所や金融機関のマネロン対策をサポートします。

  1. リアルタイム位置認証
    送金や高リスク取引を行う際に、通常のIDパスワード認証だけでなく「物理的にどこでアクセスしているか」を同時に検証。国内ユーザーなのに急に海外から大量の資金を動かそうとすれば、自動的にアラートが鳴り、取引を保留できる仕組みを構築します。

  2. 制裁対象国ブロック
    国際的な制裁リストやFATFのハイリスク国リストを参照し、そこからのアクセスを事前にシャットアウト。VPNを使った地域偽装が行われても、複数の衛星測位や端末認証などを組み合わせることで異常を検知できます。

  3. 暗号技術によるプライバシー保護
    「ユーザーがいる場所の生データ」を丸ごと収集するわけではなく、あくまで「特定エリアにいることの証明」だけをサーバーに送る設計。秘密鍵のように大切な位置情報を、当社が直接保有することはありません。
    これにより、個人が「監視されるのでは?」という不安を軽減しつつ、規制要件に応える高度なAML/CFT強化を実現します。

  4. KYCとの組み合わせ
    従来のKYC(本人確認)と組み合わせれば、単に「本名と身分証を確認する」だけでなく、「普段はこの地域で活動しているユーザーが明らかにおかしな場所から操作をしていないか」を把握できるため、疑わしい取引をいっそう正確にピックアップできます。


6. まとめ:AML/CFTのこれから

暗号資産におけるAML/CFT対応は今後ますます重要性を増していきます。FATFや各国の金融当局が連携して規制を厳しくする流れは止まらず、国際的なテロ資金や犯罪組織の資金源を断つための取り組みが強化されるでしょう。取引所やウォレットサービスのみならず、銀行や証券会社などの従来型金融機関も、暗号資産への参入をきっかけに新しいリスクを抱えることになります。

その中で、「位置情報を活用したセキュリティ」 はまだ注目され始めたばかりの新領域です。しかし、VPNやIP偽装だけでは対処できない多次元的な認証が行えるため、リアルタイムかつ高精度なマネロン・テロ資金対策 に大きく貢献すると考えられます。

TRUSTAUTHYでは、こうした新しいアプローチを通じて、暗号資産業界や金融業界全体のAML/CFT対策を次の段階へと引き上げるお手伝いをしたいと考えています。「どこで」「誰が」「どんな資金を動かしたか」を可視化し、プライバシーも守りながら、不正送金や犯罪を未然に防ぐ仕組み――これこそが、これからのグローバル金融におけるスタンダードになるのではないでしょうか。

もし詳しい導入事例や技術仕様にご興味がある方は、ぜひTRUSTAUTHYの公式サイトやお問い合わせフォームをご覧ください。 AML/CFT対策がますます問われる今だからこそ、位置情報を活用した新たな一手を検討してみてはいかがでしょうか。

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Webサイト https://trustauthy.jp/

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