国プロにおける知財の管理(日本版バイ・ドール)第1回 〜大学発ベンチャーのための国プロ講座〜
こんにちは!
今回の〜大学発ベンチャーのための国プロ講座〜では、今回から2回に渡り、国プロにおける知的財産の取り扱いや手続きなどについて、お話をしていきたいと思います。
本日の第1回では、主に「日本版バイ・ドール制度」とその手続きについてお話ししていきたいと思います。
※なお、本日のお話は、国プロの中でも「委託事業」にフォーカスした内容となっております。「補助金・補助事業」の話題ではありませんので、その点ご注意ください。
1.委託事業で取得した知的財産は国のもの!?
早速ですが、目次のタイトルをみて、びっくりされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まずは、この点について、お話をしていきたいと思います。
先日、「委託事業と補助事業の違い」の記事で、委託事業と補助事業の違いを話しましたが、その際に、委託事業では、委託事業中に取得した資産が、原則、委託元、つまり省庁や地方自治体など国の帰属になるというお話をしました。
その時は、機器や設備といった有形資産を対象とした話でしたが、実は、取得資産の帰属は有形資産のみならず、知的財産権などの無形資産も同様の扱いになります!
つまり、委託事業中に開発・取得した知的財産権(特許権や著作権など)も、原則、委託元、つまり省庁や地方自治体など国の帰属になるということです!!
これを聞いて、「これでは委託事業を受ける意味ってほとんどないじゃないか!」と思われる方もいらっしゃると思います。
でも、安心してください。その点については、委託事業を受託した事業者がメリットが得られるような制度が設けられています。
それが、「日本版バイ・ドール制度」というものです。
2.日本版バイ・ドール制度とは?
では、日本版バイ・ドール制度とはどういう制度なのでしょうか。
日本版バイ・ドール制度とは、国の委託事業において発生した知的財産を全て委託事業を受託した事業者(スタートアップ企業等)に帰属させるという制度です。
つまり、日本版バイ・ドール制度を適用することにより、国の帰属となるはずだった知的財産権が、委託事業を受託した事業者に帰属することになります。
日本版バイ・ドール制度は、産業技術力強化法第17条で規定された制度であり、「開発者のインセンティブを増し、国の資金による研究開発成果の普及を促進するため」(※1)に設けられた制度です。(※1経済産業省ホームページより抜粋)
つまり、委託事業を受託することで、事業者は、研究開発等の資金の獲得のみならず、その研究開発等で発生した知的財産権等の取得というインセンティブをさらに受けることができるというものです。
これは、委託事業を受託した事業者にとってとても大きなインセンティブになりますし、委託事業を率先して受託したいという意欲にも繋がる制度だと思います。
3.日本版バイ・ドールの手続きとは?
では、日本版バイ・ドール制度を受けるためにはどのような手続きをする必要があるのでしょうか。
産業技術力強化法第17条では、以下の4つを遵守することを誓約することにより、日本版バイ・ドール制度を受けることができるとしています。
より具体的な手続きは、省庁や地方自治体ごとで異なりますが、一般的には、以下のような手続きが求められています。
(なお、省庁や地方自治体によって、多少手続きが異なりますので、実際には、委託元に確認をしてみてください。)
このように、様々なタイミングで、委託元に書類を提出する必要があり、日本版バイ・ドール制度の適用を受けた知的財産権を管理する際は、十分に気を付ける必要があります。
4.最後に
いかがだったでしょうか。ここまで読んでいただき、日本版バイ・ドール制度とはどういうものかについて、ご理解いただけたのではないかと思います。
次回第2回では、日本版バイドール制度を適用する際の留意点についてお話ししていきたいと思います。
また、国プロの知的財産についてどうしたら良いかわからないなどといったお困りごとがあれば、ぜひ弊社までご連絡ください。国プロに関する豊富な知見を持った担当者が皆様のお困りごとをサポートいたします。
>>https://vlightup.studio.site/
ここまで、読んでいただき、有難うございました。
今後も、〜大学発ベンチャーのための国プロ講座〜として、様々な角度からスタートアップ×国プロの説明をしていければと思いますので、次回もぜひ読んでみてください。