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<vol.6> 保険と連携した暗号資産セキュリティ: 減らせるリスクと新たな保証のカタチ

近年、ブロックチェーンや暗号資産(仮想通貨)に関連したサービスが急速に普及し、取引所やウォレット、NFTプラットフォーム、DeFi(分散型金融)など、さまざまな形で私たちの生活に浸透してきました。一方で、大規模なハッキングや詐欺被害が相次ぎ、資金や資産を一瞬にして失ってしまうユーザーも後を絶たないのが現実です。こうした被害の増加を背景に、「保険」 という枠組みを暗号資産セキュリティに適用する動きが活発化しています。

この記事では、保険×暗号資産セキュリティの最新動向を整理しながら、リスクを減らすための新たな保証のかたち、そして保険会社と連携した先進的なセキュリティソリューションの可能性を探ります。後半では、私たちが提供する「TRUSTAUTHY」の位置情報認証技術が、どのように保険連携を後押しできるのかについてもご紹介します。暗号資産を運用している方や、取引所・ウォレット事業者としてリスク低減を検討している方にとって、必見の内容となっています。



1. 暗号資産を取り巻くリスクの現状

■ ハッキング・フィッシング詐欺が横行

暗号資産は、国際送金の自由度や高いリターンを狙える投資対象として人気を集めています。しかし、その匿名性やデジタルな性質を悪用されて、大規模なハッキングや詐欺行為が後を絶ちません。

  • 大手取引所のハッキング:過去には数百億円相当の暗号資産が一夜にして盗まれた事件も。

  • フィッシング詐欺:偽サイトや偽のアプリを使ってユーザーの秘密鍵やパスワードを取得し、ウォレットを乗っ取る。

  • ソーシャルエンジニアリング:社員を騙して内部権限を奪い、不正送金を実行する。

■ 従来の対策にも限界

取引所やウォレット事業者は、コールドウォレットや二段階認証、KYC/AML対応などの対策を行ってきましたが、それだけでは防ぎきれないケースがあります。特に、社員アカウントや秘密鍵そのものが奪われると、ユーザーや企業自身が大ダメージを被る結果になりがちです。


2. 保険が注目される理由

■ リスク共有と安心感の提供

保険の最大の目的は、事故や災害、盗難などが起きたときに 経済的ダメージをカバー することです。暗号資産の世界で保険が注目されるのは、以下のようなメリットがあるためです。

  1. 利用者の安心感を高める
    「もしものときに補償がある」と分かれば、初心者ユーザーでも暗号資産の取引を試しやすくなります。

  2. 企業間競争での差別化
    取引所やウォレット事業者が保険を用意していると、ユーザーに「このサービスなら安全そう」というイメージを持ってもらえる。

■ 既存の金融保険には無い「デジタル資産ならでは」の課題

一方で、暗号資産向けの保険はまだ歴史が浅く、

  • 損害額の算定基準(暗号資産の価格が大きく変動する)

  • リスク評価の難しさ(ハッキング手法や規制動向が日進月歩で変わる)

  • 地域をまたぐ取引に対する補償範囲の設定
    など、解決すべき課題が山積みという現状があります。そこで重要になってくるのが、どこまで「リスクを低減する実効性」を示し、保険会社が安心して引き受けられる環境を作れるか という点です。


3. 保険とセキュリティの連携:具体的なモデル

■ インシュアテック(InsurTech)の潮流

保険業界では、テクノロジーを活用して新たな保険商品やリスクモデルを生み出すインシュアテックが注目されています。暗号資産においても、

  • 「ハッキングリスクを下げるセキュリティ対策を導入している取引所=保険料を安く設定」

  • 「セキュリティ監査をパスしたウォレット=保険金支払いがスムーズ」
    といった仕組みづくりが提案され始めています。

■ 保険金支払いの新ルール

また、スマートコントラクトを活用したブロックチェーン保険の領域では、一定の条件(例:ハッキングの事実確認やクライアント企業のセキュリティ評価)を満たすと、自動的に保険金が支払われる仕組みが研究されています。
ただし、そのためには「事故原因が本当にセキュリティの欠陥なのか、ユーザーの過失なのか」を公正かつ迅速に判定*できる体制が求められるため、セキュリティ企業との協力が不可欠です。


4. セキュリティ評価がカギを握る

保険会社が暗号資産向け保険を成立させるには、「どのくらいリスクが低減されているか」を測る具体的な基準が不可欠です。従来はウォレットのマルチシグ実装率やコールドウォレット保管率などがチェックポイントになっていましたが、最近は**「位置情報認証」** のような新しい要素も加わりつつあります。

  • 位置情報認証:ソーシャルエンジニアリングによる社員アカウント乗っ取りを防ぎ、不正送金を未然にブロックできる

  • 暗号技術(ZK/MPC):ユーザープライバシーを守りつつ、不正アクセスを複数ノードで監視できる

これらを導入している事業者は、保険会社から「リスクが低い」「事故の起こりにくい」事業者とみなされ、より安い保険料や幅広い補償を提供してもらえる可能性があるのです。


5. TRUSTAUTHYの位置情報認証がサポートできること

私たちが提供する「TRUSTAUTHY」は、暗号資産業界におけるセキュリティ対策を次のレベルへと引き上げるべく、「位置情報×暗号技術」 を活用しています。これは保険会社にとっても、有力なリスク評価材料となり得る仕組みです。

■ 不正行為の未然防止による損害削減

  • リアルタイムで異常な場所を検知
    例:社員アカウントが日本で普段ログインしているはずなのに、急に海外から数百億円規模の送金をしようとした場合、位置情報の不整合をもとにブロックできる。

  • 高額送金の“場所限定”ルール
    大量送金やウォレット管理権限の変更を行う際、特定のオフィス内や認証されたエリアからしか操作できないように設定できる。

これらによってハッキングや社内不正による流出リスクが大きく低減すれば、保険会社は事故発生率が低いと判断し、保険料を引き下げたり、補償金を拡充したりしやすくなります。

■ スムーズな事故検証

万が一事故が起きた場合でも、「どの場所からアクセスが行われていたか」が暗号的にログとして残ります。

  • 攻撃者がVPNを用いていたかどうか

  • 社員の端末を乗っ取った形跡があったか
    などを保険会社・セキュリティ専門家・捜査機関と共同で検証しやすい環境を作り出せます。その結果、保険金支払いの判断がスピーディーになり、利用者への補償も迅速化できるというメリットがあります。

■ プライバシーを保ちながらの地理検証

「位置情報を使うなんて、監視社会みたいでユーザーが嫌がるのでは?」という不安もあるかもしれません。そこに関しては、ゼロ知識証明(ZK)マルチパーティ計算(MPC) を活用することで、「実際の座標をサーバーに渡さず、指定エリア内にいる事実だけを証明する」設計を採っています。
これにより、ユーザーや社員のプライバシーを守りながら、保険会社が求める“地理的リスク管理”を実現できるのです。


6. どのような保険商品が期待される?

「位置情報認証を導入済みの取引所・ウォレットを使っているなら、流出リスクは○○%低いと見なして保険料を割り引く」 といった商品設計が考えられます。また、セキュリティ認証や監査のスコアに応じて段階的な保険料・補償額を設定する方式も注目されています。

  1. 個人向け暗号資産ウォレット保険
    個人ユーザーが「このウォレットアプリはTRUSTAUTHYを導入しているから、年間○○ドルの保険料で資産流出時の補償を受けられる」ような仕組み。

  2. 取引所向け包括保険
    取引所レベルで契約を結び、ユーザーが被害に遭った場合も一定額は保険会社が負担。位置情報認証など導入対策が整っていれば、保険会社もリスクを見積もりやすい。

  3. DeFiプロトコルと連携したスマートコントラクト保険
    高利回りを狙えるDeFiプロジェクトはハッカーの狙い所でもあります。そこに対して位置情報やコントラクト監査の得点を組み合わせ、「リスクが一定ラインを下回れば保険加入OK、上回れば加入不可 or 高額保険料」という仕組みも検討されています。


7. 今後の展望と課題

■ 保険金支払いの迅速化・自動化

スマートコントラクトを使えば、従来の保険手続きよりも透明かつ迅速に事故対応を行える可能性があります。ただし、そのためには「事故かどうかを誰がどうやって確定するのか」「位置情報やアクセスログをどういうプロセスで検証するのか」といったルール設計がまだ未成熟です。

■ グローバル規制とのすり合わせ

暗号資産保険は国境をまたいで加入が想定されるため、各国の保険業法や金融庁・SECなどの当局規制をクリアする必要があります。保険会社とセキュリティ企業、そして国際的な規制機関が連携し、安全で責任ある枠組み を整備することが求められます。

■ 利用者教育

いくら保険があっても、ユーザーが無防備に秘密鍵をSNSで公開してしまうような極端なケースでは補償の対象外になりがちです。また、位置情報認証を導入していても、端末自体がマルウェアに感染していたらリスクが残ります。
最終的には、「ユーザーがセキュリティリテラシーを持つ」 ことも大事になってくるでしょう。


8. まとめ:保険×位置情報認証が拓く新しいセキュリティの形

暗号資産業界はリスクが高いと敬遠されがちですが、保険会社と連携したセキュリティモデルの登場によって、リスクとリターンのバランスが大きく変わる可能性があります。特に、「位置情報×暗号技術」 という新しい手法で不正アクセスや社内不正を防げるようになれば、保険会社も「万が一の損害リスクが低い」と判断しやすくなり、斬新な保険商品が続々と誕生していくかもしれません。

TRUSTAUTHYでは、位置情報認証の技術を通じて、

  1. 事故発生率そのものを下げる

  2. 事故が起きたときの原因究明を迅速化する

  3. 結果的に保険料や補償の幅を最適化する

という新しいエコシステムづくりを目指しています。もし自社で保険導入やセキュリティ強化を考えている暗号資産事業者の方、あるいは保険会社やインシュアテック関連の方がいらっしゃれば、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

技術と保険が手を組むことで、暗号資産業界のリスクは大きく抑え込むことができる——その可能性は、すでに目の前に広がっています。

Vlightup(ブライトアップ)株式会社
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Webサイト https://trustauthy.jp/

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