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<vol.23> CEXの上場審査に潜む危機:GeoScoreで開発チームの実態を可視化する

暗号資産(仮想通貨)市場は、イーサリアムやビットコインだけでなく、次々と新しいプロジェクトやトークンが生まれ、多種多様なエコシステムを形成しています。その一方で、中央集権型取引所(CEX) は新規トークンを上場するたびに、「本当に安全なプロジェクトか?」 「開発チームに問題はないか?」といった審査を行う必要があります。なぜなら、もし詐欺的なプロジェクトを安易に上場させてしまえば、ユーザーが資金を失ったり、取引所自身の信頼が大きく損なわれたりするリスクがあるからです。

しかし、開発チームが「私たちは米国拠点の優良プロジェクトです」と主張していても、実は正体不明の海外組織だったり、反社会的な集団が潜んでいる可能性を否定できません。実際、書類やウェブサイトだけでは「どこで開発しているのか」「チームメンバーは本当にそこにいるのか」を明確に証明しにくいのが実情です。ここで注目されるのが、GeoScore という「場所ベースの信用評価」モデルです。本記事では、GeoScore を活用して開発チームの実態を可視化し、CEXの上場審査を一段と強化するアイデアを紹介します。



1. なぜ“上場審査”で場所の要素が重要か

1-1. ドキュメントやSNSだけでは偽装が可能

多くのトークンプロジェクトは、ホワイトペーパーやSNS活動、GitHubリポジトリなどを公開しており、CEXの上場審査ではその内容を精査します。しかし、オンライン情報は表面上の偽装が容易で、実際にチームがどこに拠点を置いているのかは不透明になりがちです。

  • :

    • “○○国で登録した企業です”と書類で主張していても、実体は別の国の住人がリモートで作業しているだけ…

    • あるいは一部メンバーが制裁対象国にいるかもしれないが、VPNで隠すことができる

1-2. 開発チームが“どこにいるか”を知る意味

  • 信頼性: 安定した都市でオフィスを構え、毎日通勤しているなら、プロジェクトが詐欺やRug Pull(開発者が資金を持ち逃げ)をしにくいと考えられる

  • 規制対応: 制裁対象国や高リスク地域が拠点だった場合、取引所としては上場を再考する必要がある

  • 投資家保護: ユーザーに安心感を与えるため、「開発チームは実在し、定常的な活動をしている」と示せる


2. GeoScoreとは何か

GeoScoreは、ユーザーや組織が日常的にどこで行動しているかを暗号技術を通じて解析し、“行動の安定度”や“地理的リスク”を数値化するモデルです。たとえば、

  • 継続した居住地: 毎日似たエリアに滞在→ 安定度が高い

  • 頻繁な国境越え: 短期間に何度も海外へ移動→ リスクまたは注意

  • 危険地域訪問の有無: 紛争地帯や制裁国への長期滞在→ 要警戒

これを「○〜100点」のような指標でまとめたものがGeoScoreです。


3. GeoMPCで個人情報を秘匿しながらScoreを得る

「場所」と聞くと、利用者や開発者が“監視されるのでは?”と恐れるのが自然です。そこで、ユーザー(開発チームのメンバー)の座標をそのままCEXに提供するのではなく、GeoMPC(位置情報を複数ノードで秘匿計算する技術)を使うことで、CEX運営や監査ノードが生座標を知らないまま“スコア”だけを導く仕組みが構築可能になります。

  1. 秘密分散:メンバーが日々の居場所( x, y )を分割して複数ノードに送る

  2. 暗号演算:一定期間の滞在パターンなどを集計

  3. GeoScore算出:最終的に「安定度○○点」「高リスク地域滞在数×回」などの結果を取りまとめ、CEXがそれを参照できる形に

こうすれば、“場所情報の監視という懸念を下げながら、「本当に開発チームが安定的に活動しているか」を客観的に示すことができるわけです。


4. CEX上場審査での具体的運用例

4-1. 事前審査:GeoScore提出

プロジェクトがCEXへ上場申請する際、CEXは「チームメンバーのGeoScoreを提出してください」と要求。メンバー各自がTRUSTAUTHYのようなGeoScore計算プラットフォームに参加しており、GeoMPCを通じて安定度が可視化される。

  • : メンバー5名のうち4名が同じ都市で連日稼働→ 平均スコアが高い

  • : 1名が怪しい地域に長期滞在→ スコアが下がり、追加審査や説明要求

4-2. オンチェーンまたはオフチェーン検証

CEXは得られたスコアが妥当かどうかを、**ゼロ知識証明(ZK)などで検証。具体的にメンバーの座標履歴を受け取るのではなく、「このスコアは正しい計算だ」という暗号証明だけを確認し、“騙しや誇大申告がない”**と確信できる。


5. この仕組みで何が変わるのか

  1. 詐欺的プロジェクトのフィルタリング
    開発者が“米国シリコンバレー拠点です”と謳いながら、実際はどこで活動しているかを曖昧にしているケースがあり、Rug Pullの可能性を高めている。GeoScoreで実居住実態を判定できれば、明らかな偽装を排除しやすい。

  2. ユーザー保護と取引所の信頼性向上
    CEXが表明できる:「上場審査ではプロジェクトの地理的実在性もチェックしています。虚偽はほぼ通りません」というアピールが、投資家の安心感を高める。

  3. 国際規制との相性
    もしチームが制裁対象国に滞在しているなら、CEXは上場を避けるべきというコンプライアンス要件もクリアしやすくなる。


6. 懸念・課題

  1. GNSS/GPS偽装対策
    メンバーが“GPSシミュレーター”を使って米国内にいるように見せかけるリスク。端末署名やGNSS認証が必要になり、ハードウェアレベルでデータ改ざんをブロック。

  2. 評価バイアス
    国際的なリモートワークやデジタルノマド的活動が多いチームを一律に“低スコア”扱いしてもいいのか。スコアロジックをアップデートし続けることが求められる。

  3. 導入コスト
    チームがGeoScore用のMPCノードに参加し、CEXが検証プロセスを受け入れるには、初期コストやノウハウが要る。業界標準化が進めば導入しやすくなる見込み。


7. TRUSTAUTHYのソリューション

TRUSTAUTHYは、以下の機能を提供し、GeoScoreによる上場審査をスムーズに行える仕組みを構築中です。

  • GeoScoreエンジン:開発者やチームメンバーが日常的に座標データを暗号化して送信、何らかの“安定度指標”を算出。

  • GeoMPCプラットフォーム:複数ノードがシェアを受け取り、居場所や移動頻度を幾何学的に分析。生データが漏れない設計。

  • ZK出力/認証:算出結果(スコア)をCEXが暗号的に検証できる仕組みをAPIで提供。

  • GNSS署名連携:GPS偽装対策にハードウェアレベルの認証を導入可能。

  • カスタムルール:制裁対象国滞在日数や危険地域スコアなど、CEXが独自に基準を設定しやすい。

これにより、CEXは上場時に「このプロジェクトはメンバーが一定以上の行動安定度を持ち、反社会的地域や制裁国と無縁」であると、具体的な座標データを握らずに確認できるわけです。


まとめ

「CEXの上場審査に潜む危機:GeoScoreで開発チームの実態を可視化する」 とは、一見新しい発想のように見えます。しかし、暗号資産市場が成長し続ける中で、偽プロジェクトやRug Pullへの懸念は高まるばかり。CEXがユーザーを保護するためにも、「本当にどこに拠点を持ち、安定稼働している開発者か」を精査する必要性が急速に増しています。

一方、開発チーム側にとっても、「場所ベースの信用」をアピールできれば、ユーザーや投資家の信頼を得やすくなるでしょう。GeoScoreはその橋渡しとして、「居住実態や行動安定度」を客観的に数値化します。そして、GeoMPCを用いることで、プライバシーを守りながら“地理的な嘘”をつきにくい構造を実現できるのが大きな利点です。

  • CEXの視点: 偽KYCやファサードだけのチームを排除し、優良プロジェクトを歓迎するプロセスを強化 → 上場のクオリティアップ

  • 開発チームの視点: 「実在性・安定性」をアピールでき、Rug Pull懸念を払拭 → 投資家に安心感を与え、上場審査を通過しやすい

  • ユーザーの視点: 投資先や利用するトークンが危ないチームではないかが可視化され、被害を減らせる

GeoScoreが真に機能するためには、GPS偽装対策や評価バイアス除去など課題もありますが、暗号技術の進歩と業界の合意形成によって導入が進めば、CEXの上場審査をより安全かつ透明なものに変えていく可能性があります。興味があれば、TRUSTAUTHYのようなソリューションを調べ、実際に上場プロセスへ取り入れてみてはいかがでしょうか。場所ベースの信用が、次なる暗号資産市場の信頼基盤となるかもしれません。

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