実は大変!「経理検査」の準備とポイント!第3回 〜大学発ベンチャーのための国プロ講座〜
こんにちは!
第1回、第2回に分けて「実は大変!「経理検査」の準備とポイント!」と題して、国プロにおける経理検査についてお話ししてきました。そして、今回は最終回として、実際に経理検査の準備を進めていく上でのポイントやテクニックなどについて、お話ししたいと思います。
皆様の経理検査準備で役に立つ内容となっていると思うので、是非とも最後までお付き合いいただければと思います。
1.経理検査の準備のポイント
経理検査では、経理処理ルールに記載された準備資料を予め用意します。
当然のことながら、その経理処理ルールを熟読し、経理処理ルールに従って、準備を進める必要があります。
本日は、経理処理ルールに従った上で、我々が経理検査書類を作成する際に意識しているポイントを少しご紹介したいと思います。
ちょっとした書類作成のテクニックですが、これらを行うことにより経理検査をよりスムーズに受験することができます。
(1)証憑書類はドッチファイルにファイリングすること
まずは、経理検査書類を保管するファイルですが、これはいわゆる「ドッチファイル」にファイリングすることをオススメします。
ドッチファイルとは、パイプ式ファイルとも言われ、綴じ具(金具部分)が左右どちらの端からでも開くようにデザインされたファイルです。
なぜドッチファイルがオススメかというと、ドッチファイルはいわゆる紙ファイル(一端からしか書類をファイリングできないファイル)に比べ、書類が分解しやすいというメリットがあるからです。
経理検査では、基本的に、複数人の検査担当者が来訪し、複数人が同時並行で検査を実施します。この場合、経理検査書類は1冊しかありませんので、検査書類を一時的に分解し、複数人で分けて検査を進めることになります。
この際に、ドッチファイルを利用することで、検査担当者が書類分解しやすく、また、復元も容易になります。なので、ドッチファイルを利用することで、検査担当者がスムーズに検査を実施できます。
(2)証憑書類を項目・費目別に分け、時系列順に並べること
次に、証憑書類をファイリングする際は、まず項目・費目別に並べ、その分類の中で時系列順に並べることをオススメします。
項目別とは、例えば、省庁や自治体との委託契約書、規程類、帳簿類、証憑書類などの項目に分類してファイリングすることです。
費目別とは、上記項目別の証憑書類のカテゴリーを、さらに、設備備品費、人件費・労務費、旅費、諸経費など経理処理ルールで定められた費目に分類してファイリングすることです。
なお、経理処理ルールでは、原則、費目の順番が定められているので、その順番通りにファイリングをすると良いです。
そして、時系列順とは、証憑書類を取得した順にファイリングすることです。
具体的には、備品を調達した際に、見積書→発注書→納品書→請求書の順で証憑書類を受領すると思います。このように、証憑書類を「見積書→発注書→納品書→請求書」という取得した順番で並べることにより、どういう経緯で調達したのかを確認しやくすなり、検査担当者もスムーズに理解が進み、検査担当者からの質問も減らすことができます。
これらを、わかりやすく図にしたのが以下の通りです。
このように、項目順・費目順・時系列順を意識することで、検査をしやすい検査書類を作成することができます。
(3)目次・タブシールを有効活用すること
次に、これもちょっとしたテクニックですが、証憑書類をファイリングした際に、目次表を作成し、その目次表に該当するようにタブシールを証憑書類に貼付することで、確認しやすい経理検査書類になります。
経理検査書類は、事業期間中に発生した全経費の証憑書類を集めるため、書類の厚さは数センチ〜十数センチの厚みになります。その中から、検査担当者が必要な証憑書類を探し出すにはそれなりの時間を要します。そればかりか、検査担当者が必要な証憑証憑を見つけることができず、証憑書類の不足という指摘を受ける可能性もあります。
せっかく準備したのに、証憑書類の不足という指摘を受けるのは悲しいですよね。
そこで、目次表を作り、タブシールを貼付することで、証憑書類のファイリング場所が明確になり、そのような指摘を受けずにスムーズに検査受験をすることができます。
(4)「説明書」を予め準備すること
次に、事情を説明しないと内容が把握しづらい証憑書類がある場合は、できる限り説明書を付けておくことをオススメします。
証憑書類の中には、初見で証憑書類の内容が把握しづらいケースというものがあります。
例えば、2つの備品の調達をした際に、見積書は1枚だけれど、請求書は2枚に分かれて届いたといったケースなどです。
この場合、何も説明がなければ、検査担当者は内容を理解できず、質問や指摘をせざるを得なくなります。もちろん、2枚の請求書を足し合わせると見積書の金額と一致するので、検査担当者も時間をかければ自ら理解することはできますが、検査担当者からすると、何か不正な取引が行われているのではないかと疑ってしまう可能性があります。
そこで、事前に、事情を説明した説明書を作成し、ファイリングしておくことにより、不要な質問や指摘を回避することができます。
(5)証憑書類の重要箇所をハイライトしておくこと
最後に、これもちょっとしたテクニックですが、証憑書類(見積書や請求書等)の中で、金額、日付、項目(品目・品番等)の重要箇所をマーカーなどでハイライトしておくと、検査担当者が確認しやすい経理検査書類になります。
見積書や請求書などは、事業者ごとでフォーマットが様々です。その中には、日付が文中にあったりなど、一見どこに記載があるのかわからない書類もあります。
確かに、数件を確認するだけであれば問題ありませんが、経理検査では、数十から数百の調達に関する証憑書類の確認を数時間で行います。そのため、1件の調達にかけられる確認の時間は限られています。
そのような状況の中で、各確認箇所にハイライトがされていると、検査担当者も検査がしやすくなり、検査時間の短縮や質問・指摘事項の減少に繋げることができます。
特に、金額、日付、項目(品目・品番等)は、帳簿と突合しなければならない重要箇所になるので、それをハイライトしておくだけでも、十分に効果があります。
2.最後に
いかがだったでしょうか。ここまで経理検査の準備を進めていく上でのポイントやテクニックについてお話ししてきましたが、そんなこと!といったものもあったのではないでしょうか。
確かに1つ1つは大したことないですが、これらをしっかりと積み重ねることにより、円滑な経理検査を実現できます。
経理検査は、自分たちの活動について、検査担当者が不備や不正がないことを証明してくれる大切な検査になります。
その検査をスムーズに受験できるよう、しっかりと準備を行っていただければと思います。
第3回にわたり、「実は大変!「経理検査」の準備とポイント!」を読んでいただき、有難うございました。
もし、経理検査など準備が大変でサポートをしてほしいなどといったお困りごとがあれば、ぜひ弊社までご連絡ください。国プロに関する豊富な知見を持った担当者が皆様のお困りごとをサポートいたします。
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今後も、〜大学発ベンチャーのための国プロ講座〜として、様々な角度からスタートアップ×国プロの説明をしていければと思いますので、次回もぜひ読んでみてください。