これからの横浜に必要なことって? 共創型イベント「Re:Discovery YOKOHAMA」がVlag yokohamaで開催
10月9日(水)、横浜でまちづくり活動を行う企業や団体、個人が集い、横浜の魅力を発信する共創型イベント「Re:Discovery YOKOHAMA 」(主催:関内イノベーションイニシアティブ株式会社、共催:Vlag yokohama、ヨコハマ経済新聞)が、Vlag yokohamaで開催されました。
横浜では、日本初の国家戦略住宅整備事業である「THE YOKOHAMA FRONT」の開業や、ガイドブック『地球の歩き方 横浜市』発売など、市民が地元のスポットやカルチャーを再発見する機会が増えています。
地域コンテンツをより深く理解し共有することで、横浜の魅力をさらに内外へと発信していきたいと考え、開催された本イベント。
当日は横浜を舞台に活躍している10人のゲストが登壇し、第1部ではそれぞれの活動に関するプレゼン、第2部では2つのテーマについてクロストークが行われました。
モデレーターは株式会社ここくらす代表で、「しぇあひるずヨコハマ」を運営するあらい きよてるさんが務めました。今回のレポートでは、クロストークで議論された内容の一部をご紹介できればと思います。
クロストーク1:最近知った、気付いた横浜の良いところ
第1部のプレゼン後に実施されたクロストーク。前半では「最近知った、気付いた横浜の良いところ」というテーマで、議論が交わされました。「横浜の良いところ」として多く挙げられたのは、地域に対する熱量の高さです。
あらいきよてる(株式会社ここくらす代表)
私の場合、横浜駅が“完成しないこと”に良さを感じてきています。ずっと何かしらの工事が続いていて、最近も相鉄グループが「西口大改造構想」という、西口にウェルビーイングの要素を追加していく計画を発表していましたよね。坂口さんはいかがですか?
坂口さん(Yocco株式会社)
私が代表を務めるYocco株式会社では横浜の多様な魅力を伝えるため、横浜18区をモチーフにしたキャラクター「Yocco18」を運営しています。各キャラクターの設定やデザインを通して地域を知れるのが特徴で、公式Xのフォロワーは2.8万(2024年11月現在)を超えています。
私がまちづくりや地域活動にかかわる中で感じる横浜の良いところは、まちづくりをされる皆さんの地域への熱量が高い点です。ただ、今はその熱量がバラバラな方向を向いている印象があり、その熱量を活かしきれていない気がします。そういう意味でも、熱量を持った様々なプレーヤーが出会う、このような場は貴重だと思います。また、幅広い層が楽しめる場所や目的がなくてもたまれる場所が増えると、より都市の魅力が高まると感じますね。
櫻井 怜歩(横浜マリンタワー)
私は横浜マリンタワーの広報に携わっていて、確かに地域への熱量を高く感じます。なぜかというと、マリンタワーの来場者の約8割が神奈川県民や近郊に住む方だからです。横浜が地域に愛されている場所だから、住む地域の観光地に来てくれているのだと思いますね。
今井 歩(株式会社地球の歩き方)
『地球の歩き方 横浜市』を2024年8月に発売したのですが、一つの企画として市民参加型のアンケートを実施し、「ハマっ子が選ぶ夜景Best5」といった内容を掲載しました。アンケートを実施をすると、横浜は他の地域よりも5倍くらいの量が届くんですよね。お二人がお話しするように、住んでいる地域に対する熱さや愛情があるのだと思います。
樫本和奏(横浜国立大学 ハマの屋台プロジェクト)
私は大学に入ってから横浜に移り住んだのですが、ここの良いところは「ごちゃまぜ感」だと思っています。大学の近くを少し歩いてみると住宅街や畑があったり、博物館や遺跡があったりするのが面白いです。みなとみらいのイメージが強い人が多いと思うのですが、暮らすうちにそれ以外にも楽しい場所が多くあると気付く人が、大学に多いように感じます。
小田嶋 鉄朗(横浜市みどり環境局公園緑地部長)
いろんな魅力ある場所を、ひたすら楽しむ、発散できることも大切にしていきたいなと、私は思っています。今はコンプライアンスが厳しくて難しいのですが、私が子どものころなんかは夜に赤レンガ倉庫に忍び込んだり、とにかく楽しかったんです(笑)。ルールを守れというばかりではなく、魅力ある場所を発散的に楽しむ方法も、皆さんと語り合いたいです。
クロストーク2:これからの横浜に必要なもの
クロストーク前半は、熱量の高さについて言及されましたが、何よりもゲストの方々の横浜愛が伝わってきたのが印象的でした。
続いてのトークテーマは、「これからの横浜に必要なもの」。この熱量の高さを、より活発にしていく“場所”の必要性を多くの方が指摘します。
あらいきよてる(株式会社ここくらす代表)
次のテーマは、「これからの横浜に必要なもの」。皆さんの横浜愛がすごくて残り時間がわずかになったのですが(笑)、工藤さんはいかがですか?
工藤 葵(横浜ファンカンパニー株式会社代表取締役)
私が共同代表をしている横浜ファンカンパニーは、「ビール」と「街」の可能性を探究し、ファンづくりをベースとした、繋げるPR会社として2024年4月に設立しました。
事業活動をする中で横浜に必要だと感じるものは、イケている場所や人、カルチャーを発信するメディア媒体です。観光やインバウンドに関する情報は多く発信されていますが、ローカルとしての横浜の面白さ、格好良さって想像以上に市外には届いていないんだな、と感じる場面がありました。
横浜にも独立系書店やコーヒースタンド、ビール屋や多様なコミュニティは多く存在していますが、頑張って探さないと出会えない。そうした横浜のカルチャーをもっと発信できれば、地域活動がより活発になるのではないかと思います。
森川 正信(関内イノベーションイニシアティブ株式会社 代表取締役)
確かに地域の魅力は多くあるのに、発信したり、知ることができたりする機会ってまだ少ないですよね。例えば、当社が関内で運営しているコワーキングスペース「Mass×Mass(関内フューチャーセンター)」でも、コロナ禍に大きな変化がありました。
これまでの入居者は起業家の方が中心でしたが、リモートワークが普及したことで、「家で仕事ができない」という会社員の方も活用してくれるようになったんです。その方々に話を聞くと、みんな横浜のことは好きだけど、住んでいるところの周辺しか知らなくて。でも、コワーキングで色んな方と交流したことで、地域の魅力を知ることができたと。なので、横浜に住む人たちが交流できる場所がもっと増えてほしいなと、個人的には思います。
武井 駿(東急株式会社/Vlag yokohama運営)
私は東急でVlag yokohamaの運営に携わっています。「THE YOKOHAMA FRONT (ザ ヨコハマ フロント)」の建築に携わる中で、Vlag yokohamaの企画をしたところ、そのまま運営も行うことになり、現在に至っています。
今日の会場であるホールでは定期的にイベントを開催しているのですが、スタートアップやまちづくり、どんなテーマでも、登壇者や参加者の方のとにかく熱量が高いのが印象的です。関内やみなとみらい、エリアごとに面白い方々が多くいるということも、よく耳にします。最近思うのは、みなさん想いの強さは近いのに、領域やエリアを横断したつながりが生まれていないこと。Vlag yokohamaがそうした場の一つになれるといいなと思っています。
田中 俊行(株式会社有隣堂)
有隣堂の田中です。神奈川県を中心に約40の書店を運営する当社ですが、最近では日本橋にある台湾発「誠品生活」の運営や、YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」でのコンテンツ発信に注力したりと、さまざまな新しい取り組みを始めています。
森川さんや武井さんのお話に出てきていた「交流できる場所が必要」というのが、私は特に印象に残っていて、共感しています。有隣堂の書店も本をただ買いに行く場所ではなく、横浜にいる人々がつながったり、語ったりできる場所になれたらと思いました。
杉浦 裕樹(横浜コミュニティデザイン・ラボ代表理事)
面白く、楽しいまちづくりを実践型で研究するNPOの横浜コミュニティデザイン・ラボを経営している杉浦です。私たちは地域メディア「ヨコハマ経済新聞」や、ソーシャルグッドオフィス「さくらWORKS<関内>」の運営等を行っています。
横浜市には大学のキャンパスが約30あり、小中学校で約500、NPOでも1500くらいの数があるそうなんです。多様な年代の人々や組織があることが横浜の強みだと考えており、その掛け合わせによって地域に新たな価値が生まれてくると思っています。ただ、これまで皆さんが話してきたように、掛け合わせが生まれる場が少ないのが現状。今日みたいなイベントが増えるといいですし、私たちもそうした仕掛けを今後もつくっていきたいですね。
懇親会・イベントのご案内
クロストーク後は、ゲストと参加者が交流する懇親会が開催されました。終了時刻が過ぎた後もしばらく参加者同士で盛り上がるほど、横浜への愛があふれた時間となりました。
Vlag yokohamaでは、横浜の熱量をより高められるようなイベントを今後も実施していけたらと思っています。直近のイベントについては、下記のPeatixからご確認ください!
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