アモリムとシャビアロンソの発言から考えるボランチの理想的なポジショニングとメリット
ずっと前から書こうと思ってたのですが気分が乗らずそのままになっていたnoteですがアモリムがユナイテッドに就任するという事でやっと書く気になってきました
アモリムとシャビアロンソの発言について
アモリムというか正確には守田ですが(2:30辺り)
アモリムに関してはこのnoteで詳しく書いています
動画内の「Who is the freeman」の最初の部分
シャビアロンソの主張
シャビアロンソは「この状況では誰がフリーになって、どこにスペースが出来るのか」を考える意識しろと主張しています
その例え話をリヴァプール所属を例に説明しています
自分が相手のFWとMFの間に立つことによって相手のMFが自分にマークしてくればジェラードが前を向いてプレーする為のスペースが出来ると話しています
余談ですが、もしジェラードがDFラインの選手に付かれた場合、トーレスがそこに出来たギャップを付けば良いという感じです
07/08シーズンのリヴァプールの得点(13:25~)
(本当はジェラード、アロンソ、トーレスの3人がこの説明通りに絡んでるシーンが良かったけど)
この得点シーンではアロンソの言っているポジショニングをしている選手はルーカスレイヴァ(21番)ですが、それによってライン間に大きなスペースを作る事が出来ています
悪い例
例えば相手のFW-MF間ではなくそこから降りてきたとしましょう
(イメージ的には降りきらず、相手のFWに背を向けて立っているイメージ)
そうなると
・ライン間にスペースが出来ない
・その選手の代わりにライン間の選手がFW-MF間に降りてくるとライン間に人いない
その他にも、相手の背中に立てないので相手のFWからすると中盤とDFラインを視野に入れながら対応できる為、相手が背中にいなければ尚更DFラインへの選手へのプレスにも行きやすいです
そして、ライン間にスペースができない、人がいない分DFラインにギャップが出来ず相手は裏ケアがしやすい、裏に抜ける事によって出来たスペースを利用できない、飛ばした時に回収しずらいという問題点もあります
それらから考えられるボランチの選手の理想的なポジショニング
ここまでは相手の前線の選手と中盤の選手との間に立つという事の重要性とそれによる効果を紹介しました
ですが、その背中をとるポジショニングだけではまだ良いとは言い切れません
これは現在アーセナルで監督を務めるアルテタ監督の発言です
この様なことから分かるようにFW-MF間にポジションをとるだけではなく”相手の背中を追う”という事も重要になってきます
FW-MF間にポジションをとる事が出来る選手はいますが、その選手のプレスに合わせてその位置を調整する、ボールの移動に合わせてポジションを取り直せる選手”相手の背中を追い続ける”という事が出来る選手は本当に稀です(カイセド、ロドリ、ブスケツ、遠藤、ジョルジーニョ、ファビーニョ、ペドリ)
これも踏まえてボランチの選手の良いポジショニングとは
相手のFW-MF間の中央に立つ
そのポジショニングを相手の背中を追う様に調節する
この2点だと思います
(逆サイドに持っていく為、CB(SB)→WG間を繋げる為に降りてくる時もあるが基本的にはこれ)
その上で
正対、正対しない場面での技術
ボールキャリーの能力
インサイドキックの質
2,3手先を読む能力
ボールの移動中に逆を見る(首振り)
守備での予測
アスリート能力
攻守の切り替えの速さ
身体の向き
共有力
その他 ect.
これらが出来る、ある選手がトップ・オブ・トップの選手になれるのだと思います
(判断の部分はその環境でのフィジカル能力や試合スピードが影響してきますが)
このポジショニングを意識したうえで練習をすれば試合中も出来る様になると思います
(そんな簡単な事ではありませんが、興味があれば少しづでもやってみて欲しいです)
また、試合を観ていて「この選手良いな」「この選手〇〇は良い××は苦手だな」みたな感じに気づける事が増えていくかもしれません
例えば
流石にロドリ、ジョルジーニョでも1人でFW-MF間でポジションを取り続けるのは厳しいな、彼らの巧さと賢さで問題になってない様に見えるけど
やっぱりカイセドはバケモンやな
この選手賢いとされてるけどキック精度だけやな (ex,チ〇〇〇〇〇ル、〇ス〇〇〇ン、〇レ〇ス)
この選手昔はポジショニング良くないしオンザボールの質、推進力でどうにかしたけど最近良くなってきてるな(ex,コバチッチ)
元々アスリート能力あったけど、それに加えて知性もついてきてるからスパーな選手になってるな(ex,ライス、ベンタンクール)
まだフラーフェンベルフでもFW-MF間のポジションの調節が緩慢になる瞬間があるな、ファンダイクが注意してくれたからええけど
こいつFW-MF間にはいるけどそこからの調節が全然ないし、攻守の切り替えが遅いな、オンザボールの技術があるから評価されてるけど(ex,サ〇〇〇・リ〇〇)
ロコンガは何もかもが中途半端やな、ロングキックは良いけど
ジャカは昔はスピードについてけず余計なファールとかしてたけど、今じゃ分けわかってて戦える選手になったよな
この選手は本当に訳わかってるわ(ex,ラインデルス、ウーデゴール)
この選手にアスリート能力があったらな(ex,ウォードプラウズ、カケレ)
みたいな感じに良いところも、悪いところも次第に見えてくると思いますし、チームが何故うまくいってないかも分かるようになってくるのかもしれません
何よりも、選手のちょっとした成長も分かるようになると思います
その様な判断・ポジショニング・オンザボールの技術・オフザボール・共有力等全てが完璧だったのがこのレヴァークーゼン(23/24 ケルン戦)のゴールです
逆サイドに素早く振れる様な3バックの立ち位置
相手のFW-MF間に2人立っているためレイオフ的な形から前を向ける
そこに相手のボランチがつり出された為ライン間のスペースが空きボニフェイスが前を向いて余裕を持ってプレーする事が出来ました
スロット監督もこれを徹底させてる
リヴァプールを率いているスロット監督も前線の選手の背中に立つ事を意識させているらしいです
これは実際にフラーフェンベルフの覚醒の要因にもなっています
試合中にファンダイクがそこのポジションをとる選手がいなければ怒っている時もあります
(イプスウィッチ戦の話)
また代表でもファンダイクはフラーフェンベルフが相手の背中から降りてきたら「降りてくるなと」怒っています
24/25CLレヴァークーゼン戦でもスロット監督がタッチライン際からマクアリスターに対してもっとSB(ツィミカス)のサポートに寄ってこい(相手の前線の背中に立て)と指示していました
その効果が表れたのが今シーズンのCLボローニャ戦の2点目のシーンです
(1:55)
マクアリスターがファンダイクに対してプレスをかけている相手の背中側にいた為、相手のMFがつり出されジョタに大きなスペースを与えることができました
それはプレシーズンの時の試合から出ていた現象であり、ちゃんと意識づけされてるのだと思います
そして何よりこのボランチの立ち位置の徹底に加えて、今のスロットリヴァプールの強みはビルドアップの際の繋ぐ形を改善できたことよりも、自陣で繋ぐことにこだわらずに相手が来れば飛ばす形を用意している所です
(arsenal 戦1点目)
相手FWの背後に選手がいる事で相手を引き込む事が出来ているので、DFライン前ががら空きになるのでロングボールのこぼれを回収しやすくなっています
本質的にはボローニャ戦の得点の構造は一緒です
(人じゃなくてサイドのエリアに蹴って欲しいですが)
そしてこの様に相手が前から来たら飛ばすという形はプレシーズンのアーセナル以外にもセビージャ戦でも似たような形から得点しています
(2点目)
これは偶然ではなくチームとしての形であるという事はプレシーズンでの2得点は言わずもがなファンダイクがインタビューにて明言しています
このプレスが来ればロングボールを使って前線へ飛ばすという形があるだけで相手はプレスに行きずらくなります
そして、相手によってはプレスには行くがロングボールを警戒して後ろに人数を残したいが為にGKまではプレスをかけないというチームが出てくると思います
そうなってくると重要になるのがGKの両足のキック精度、判断力になります
その一例がこれらゴールです
(mancity2点目)
(mancity1点目)
ブレントフォード、ブライトンの様にハーランドへのロングボールが気になりGKにはプレスをかけない(DFラインに人をなるべく残すため)という事をするチームがいるからこそ、シティにとってエデルソン(GK)のキック精度、判断力はとても重要になってきます
だからこそ、シティはエデルソンの後釜にポルトのディオゴコスタを狙うのでしょうし、セービングに関してはエデルソンより良くみえるオルテガが2ndGKなのでしょう
余談ですが、GKにも技術が求められる時代ですが、その技術を足元のチョコチョコした上手さと勘違いしている人もいると思いますが(勿論それも重要ですよ)それは本質的な求められている”技術””巧さ”ではありません
小言(リヴァプールについてのちょっとした考察です)
考察というかまじで小言です
スロット監督が徹底させているとはいえFW-MF間で最適なポジショニングを取り続ける事が出来ているのはまだ遠藤くらいでフラーフェンベルフでも「そこもっと寄って来てええんだよ」みたいな所があります
それがよく起こるのはGKビルドアップの時です
ですが、フラーフェンベルフも寄るときは寄っていく(FW-MF間のポジション調節をする)のですが、マーカーに対して「裏と見せかけて手前」というような瞬間的にマークを外す様な駆け引きをして寄っていくことが多いです(寄って行かなくてもマンマークされてる時はそんな動きがある)
普通というか、個人的には?ボランチにはこの様な駆け引きはせずに単純に寄って行くだけで良いと思っています
そうした方が「相手がボランチを埋めてくれば裏へ」という事、後出しじゃんけんがやりやすいからです
だからこそ、個人的にボランチには”フリーになる”ということよりも”いるべき場所にいる”という事をして欲しいです
この様な動きはボランチではなくライン間のスペースで受ける選手が徹底して欲しいことです
(だからフラーフェンベルフをライン間でプレーさせるためにもスビメンディ等の獲得が噂されているのだと思う)
スロット監督がSB(アーノルド)のポジショニングについて言及
SBが中に絞ってくるのは良いのですが(アーノルド然りブラッドリー然り絞りすぎて逆サイドに振れないという事が多々あるが)
SBが張るという理由に「時間とスペースを持ってパスを受ける事が出来るからだ」と語っています
勿論、SBが低い位置で張ることで時間はできますがその代わり「選択肢が減る」「プレスの嵌めどころにされる」為、相手がしっかりプレスはかけてくるのであれば基本的にスーパープレーや選手の地肩の巧さでどうにかするという様な質頼りになってしまいます
数年前にホワイトが冨安にパスを出さないという噂になった時も冨安がホワイトは自分自身がサイドの低い位置に張ってしまい、嵌めパスになるからパスを出さないんだと説明しています
因みに冨安が絞って相手のマークがついていないのであればホワイトはしっかりパスを出しています
その解決策としてアルテタ見出したのがWGが中に入りながらSBはそこへスルーパスを出すというプレーです
ですが、このプレーはとても難易度が高く、選手に求める技術的な負荷が高くなってしまいます
自分の記憶が正しければアーセナルはこの様なプレーを優勝争いをする一つ前のシーズン辺り(21/22)から取り入れてましたが、その時は選手とのタイミングが合わなかったり、WGが絞るタイミングが早すぎるせいでよりプレスに嵌りやすくなるなど(低い位置で張ってるSB→絞ってるWGへのパスは、相手のDFがWGを視野の中に入れやすくWGはゴールに背を向けた状態になる事が多いため)、攻めあぐねる事の方が多かったです
(因みにスロットリヴァプールもこれの練習をしていました)
話を戻しますと、SBが張る事によって選択肢が減るのですがスロット監督はそれよりも「SBが受ける事」を優先しているのではないかと思います
それから今回のフラーフェンベルフの動きを考えると、ボランチに「マークを瞬間的に外して時間がある状態で受ける」というのを考えをしているのではないかと思いました
だから、アーセナル戦でもマークが厳しくなると相手のFWの前へと降りて行ったのかなと思います
ボランチがいるべき場所にいて結果的にフリーになるのと、マークに付かれていた所から瞬間的にフリーになるのとでは相手と自分の矢印もあって後者の方が技術的な負荷が高く、ボランチが立つべき場所に居ないと(瞬間的に降りてくるのも含めて)もし飛ばしたとしてもしっかり相手を引きつけられて居ないのでセカンドを回収の確率を高められるわけではなくなりますし、バックラインへのプレスの勢いが強くなってしまいます
なのでGKビルドアップの時はその駆け引きはなしにしてポジションを取りいって欲しいですね
最後にロングボールを使った時の狙いを人ではなくエリア(特に相手のSBの裏)に飛ばして欲しいですね
今は基本DFラインのその時の判断に任せて蹴るエリアを決めている様に思えます(基本的にサラーか中央)
サラー目掛けて蹴るときはサイドに向かって蹴ってる分まだ中央ではないので良いのですが、SBの裏ではなくサラーに目掛けて蹴っているので相手DFからすると競りやすいです
なので今はサラーの収める力でどうにかなってますが、そこを人基準で蹴るしかないとサラーがいなくなるとそこで収まらなくなり厳しいかなと思います
そして中央に蹴るとそこの選手が競り勝つ、そのこぼれを拾う選手が巧いのが前提になってくる、また、相手に拾われたときに中央なのでゴールから近く選択肢が多い状態でカウンターを受ける可能性があります
アタランタの2点目
ルックマンのカットインシュートは素晴らしいですがレヴァークーゼンの中央へのロングボールを回収された所からでした
これより個人的にはSBの裏のスペースに蹴るというように、蹴る場所の目線を揃えて欲しいですね
SBの選手は後ろに走りながらの対応になってクリアやトラップがしにくいですし、クリアがしにくいのでレヴァークーゼンが受けたカウンターの様にヘディングの飛距離がでず回収しやすい、もし相手ボールになってもサイドなので選択肢が少なくゲーゲンプレスをかけやすいです
何よりも蹴る場所(目的地)を決めることでそこへのサポートを迅速に行えると思います
リヴァプールのロングボールが上手くいかない時は中央に蹴っている時、前線がおさめれない時の他に中盤のサポートが遅い時があります
後者の原因としては飛ばすときに中盤の選手は「俺受けれるぞ」となっているけどDFは「よし来てるから飛ばそう」となり目線がそろわないのでそこのラグでサポートが遅れてしまう、また、場所が決まって無いので送り先を見てからその場所に行くことになるらだと思います
この中盤とDFとの考えの齟齬が生まれていまうのはその逆然りです
(DF「繋げれる」と思ってるけど中盤「受けれないわ」となっているのに繋いでしまいプレスに嵌るという事が起こりえないです)
小言は以上です
最後に
フラーフェンベルフの覚醒を観ると本当にチームとしての約束事は重要なんだなって思いました
ここでは約束事に関する現SC相模原の監督であるシュタルフさんの言葉を紹介します