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クロスについて考える~スロットリヴァプールのクロス攻撃~

最初はリヴァプールの話メインで行く感じだったんですけど、調べていく内にこうなっちゃいました


初めに

この動画は2024年のリヴァプールのゴール集である

2024年というよりかは今シーズンのゴール集が重要なので、こっちの方が良いのかもしれません。

私はこの動画を観て、homeブライトン戦以降、再現性のあるクロスボールでの得点が増えてる様な気がしました。
それで、もしかしたらスロットリヴァプールにはクロスに関する原則があるのではないかと思いました。
時期が時期でガクポやサラーのカットインからの大外へのクロスや、ロバートソンやアーノルドのビハインドクロスをかなりの頻度で観られる様な時期にこの動画を視聴したのもあります。

先ずは第24節AWAYボーンマス戦まで(FA杯は除く)の得点を簡単にまとめてみました。

クロス:23得点(15)
シュート(突破からのシュート、ミドル等):14得点(9)
カウンター:13得点(8)
崩し:10得点(8)
PK:8得点(7)
スルーパス(裏):6得点(14)
セットプレー:4得点(1)
その他(ロングボール起点):4得点(2)

計 82ゴール
 ()は全得点の内homeブライトン戦以降の得点数 

この様に実際にクロスでの得点が一番多かったです。
ですので得点集を観て感じた事は合ってたのですが、重要なのは(自分が気になっているのは)クロスの原則の有無です。

リヴァプールのクロス本数

まず、リヴァプールは試合を重ねるに連れてクロスを上げるようになっているというのはデータから確認できます。
(Crsの部分です)

https://fbref.com/en/squads/822bd0ba/2024-2025/matchlogs/c9/passing_types/Liverpool-Match-Logs-Premier-League

リヴァプールサポーターの大手データアカウントである「とりっぴーさん(@Trippy_LFC)」の協力のお陰で、クロス本数のデータは手に入れることが出来ました。

特に注目して欲しいのは既にリーグ戦でHOME、AWAYの2戦を終えた相手とのクロス本数の違いです。

ブレントフォード戦   
1戦目:15本(3-0 〇)
2戦目:32本(0-2 〇)  

マンチェスターユナイテッド戦
1戦目:6本 (0-3 〇)
2戦目:17本(2-2 △)

ノッティンガムフォレスト戦
1戦目:19本 (0-1 ●)
2戦目:29本 (1-1 △)

ボーンマス戦
1戦目:8本 (3-0 〇)
2戦目:13本 (0-2 〇)

この様に基本的に増加傾向にある。

フォレスト戦に関してはそのクロスが起点となり獲得したコーナーで追いついた為、このクロスが勝ち点0を1に変えてくれたのでは無いだろうか。
(今回のnoteではあのアーノルドの出したボールはクロスとする)

ユナイテッド戦の2点目はクロスの処理ミスから獲得したPKで得点している。

少なからずクロスが勝ち点の取りこぼしを防いでいるキーポイントになっている事が分かる。

ですが、クロスを入れているという事が分かったとしても、原則の有無を確かめるには実際に観てみるしかありません。

なので今回は開幕戦のAWAYイプスウィッチ戦~第24節のボーンマス戦までのクロスを実際に集計しました。

(全試合のフルマッチをU-NEXTで見返した為めっちゃ疲れたし時間がかかりました。この作業をしている間はリヴァプール以外のフルマッチを観るというのが基本困難だったので悲しかったです。)

クロスの集計方法

最初はtacticalistaでクロスを上げる場所と上げた場所を点と点で繋いでいくという様にしようと思ったのですが、Freeプランの私には不可能だったので、大雑把になってしまうのですが、自分なりに試行錯誤して一覧にしました。

クロスの種類
軌道が高いもの→高
軌道が低いもの→低

ただのクロス  高、低
クロスでの得点、得点に関与したもの 「高」「低(PK)」
(上げた瞬間にブロックされたものは除く)

クロスを送るエリア

クロスを蹴るエリア

例えば、「③の位置からファーサイドへクロスが上げらると」
ファー:③高
となります。

アーセナルのハイラインシートのみクロスを集計するとしたら

vsレスター
ニア:④低、
中央:
ファー:③高,③高,「⑤高」,「④低」
ニアマイ:
中マイ:
ファーマイ:

※「ニアマイナス」「中央マイナス」「ファーマイナス」はそれぞれ「ニアマイ」「中マイ」「ファーマイ」という形で省略しています。

という様な感じでやっていきます。
(データサイトと私のクロスの認識に齟齬があるため、恐らく私が出す本数とデータサイトの本数に違いがあります)

スロットリヴァプールのクロス分析

では、開幕戦~第24節までのクロスを先程の様な形でどんどん調べて行きました。
自分が取った試合毎のメモがあれば書いていこうと思います。
(そんなに多くないです)

入れるエリア
クロスを蹴る位置

第1節vsイプスウィッチ
ニア:②高、④低
中央:④高、①低、④低、②高、⑤低
ファー:③高、④高
ニアマイ:②高
中マイ:⑤高、④低、②高、②高
ファーマイ:

メモ
高いボールだったとしても、狙ったであろう位置の手前で引っかかる

第2節vsブレントフォード戦
ニア:②高
中央:②高、③高、④低、②高、④低、④低、④低、①高、④低、④高
ファー:③高、③高、③高
ニアマイ:
中マイ:②低、①高、④低
ファーマイ:

メモ
中央、中央マイナスへの低いボールは基本ニアゾーンランや縦突破から、決め事になってそう。
前半はクロスが中央への②高、のみであったが、その他は全て後半のもの
そして、ペナルティエリア内タッチ数も「前半:10」に対し「後半:33」となっている。
BOX内へクロスを入れることで、そこから生まれるカオスやネガトラによって2次攻撃に繋がっている。


第3節vsマンチェスターユナイテッド
ニア:②低、「⑤低」
中央:④低、③高
ファー:「④高」、③高、③高
ニアマイ:
中マイ:②高、⑤高
ファーマイ:

メモ
ユナイテッドの守備がスカスカすぎてクロスを上げなくてもどうにかなってる

第4節vsノッティンガムフォレスト
ニア:②高
中央:②高、②高、⑥低、③低
ファー:③高、②高、⑤高、⑤高、⑥高、④低、②高
ニアマイ:④低、②低
中マイ:⑤低
ファーマイ:

メモ
ショートコーナーで受け直し→ファーor中央へのインスイングの高いクロス
助走が無く、その場立ちになっている事が多い

第5節vsボーンマス
ニア:
中央:⑥高、④低
ファー:①高、⑥高
ニアマイ:
中マイ:⑤低
ファーマイ:

メモ
ゴール前へ助走をつけ、勢いをもって飛び込む事が少ない

・クロスの目線が揃ってない
・まだ崩そうとしてる感じ

第6節vsウルブス
ニア:
中央:②高、①高、③高、⑤低、②高、①高、①高、①低、②高、⑤高、
③低、③高
ファー:③高、⑥高、⑥高、①高、「③高(PK)」、④低
ニアマイ:
中マイ:④低
ファーマイ:

第7節vsクリスタルパレス
ニア:
中央:④低、「④低」、④低、②高、④低
ファー:⑤高、③高、③高、②高、③高、⑥高
ニアマイ:
中マイ:④低
ファーマイ:

第8節チェルシー
ニア:
中央:①低
ファー:「⑤低(取消、オフ)」「②高」
ニアマイ:
中マイ:④低
ファーマイ:

第9節vsアーセナル
ニア:①高
中央:②高、③高、③高、②高、②高、①高、③高、①高、③高
ファー:④高、③高、②高、③低、①高、②高
ニアマイ:
中マイ:
ファーマイ:

第10節vsブライトン
ニア:②高、①低、③高
中央:④低、②高、⑥高、⑤高、「③高」
ファー:③高、③高、②高、⑤高
ニアマイ:
中マイ:⑤低
ファーマイ:①高、①高

メモ
他の試合に比べて手前で引っかからない高いクロスを入れる事が多い
だが、クロスを入れる場所は決まっておらず、WGの大外見れる力+キック精度によって左右する
場所では無く、人を基準にするのでその場立ちになる、また、パターンでは無いので入れん試合は入れんし、クロスが雑だったりする

第11節vsアストンヴィラ
ニア:④低
中央:④高、④低、④低、②高、④低、④低
ファー:⑤高、②高、③高、④高
ニアマイ:
中マイ:⑤低
ファーマイ:

メモ
WGが前向きで仕掛けながらボールを持てば、SBがマイナス、インナー、オーバーラップでサポート
逆サイドはクロスを待つ(その場立ち)

第12節vsサウサンプトン
ニア:
中央:③高、④低、②高、④低、①高、③高
ファー:①高、②高、③高、②高、②高、⑤高、③高、④高、③高、
「③高(PK)」、③高
ニアマイ:
中マイ:④低、④低
ファーマイ:

メモ
サラーが逆サイドからなかなか飛び込んでこん、サカですか
サラーが飛び込んで来たとしても、ヌニェスがニアにいるからサラーがフリーにならない

第13節vsマンチェスターシティ
ニア:
中央:②低、②高、③高、①低、②高
ファー:③高、⑤高、「④低」、③高、③高、
ニアマイ:
中マイ:④低
ファーマイ:

第14節vsニューカッスルユナイテッド
ニア:「④低」「④低」
中央:②高、①高、④低、⑥高、①低
ファー:③高、②高、③高
ニアマイ:「①低」
中マイ:
ファーマイ:

第15節vsエヴァートン
延期

第16節vs フラム
ニア:⑥高、③高、①低
中央:③高、③高、②高、②高、③高、②高、①高、②高
ファー:③高、③高、「③高」、③高、③高、②高、②高
ニアマイ:
中マイ:①低
ファーマイ:

メモ
1人少ないながら内容は押し気味
ファー、または中央への高いクロスが多いのも関係しているのでは

第17節vsトッテナムホットスパー
ニア:②高
中央:③高、④低、④低、①低、「④低」、④低、④低、②高、③高
ファー:②高、⑥高、④高、「⑥高」、④低、「③高」、③高、③高、
ニアマイ:
中マイ:
ファーマイ:

メモ
2点目のファーへの「③高」は助走を付けて飛び込んだ事によって、その場立ち、バックステップしながらの対応になり、それによってクリアミスを誘発しカオスを起こしたことによる得点
ヘディング苦手(ソボスライ)でも助走つけて競り合うだけで違う

第18節vsレスター
ニア:③高、②低
中央:①高、①高、③高、②高、②高、⑤高、④低、①高、④低、「④低」       ②高、②高、①高、④高
ファー:③高、②高、③高、③高、③高、③高、②高、③高、⑤高、③高、⑥高、③高、⑥高、③高、③高、③高、③高、「③高(取消、オフ)」、④高
ニアマイ:②高
中マイ:
ファーマイ:①高

メモ
狙う場所は決まってない(④は基本的に中央への低くて速いクロスを入れるが)だが、②③④で顔を上げて持った時に大外の裏抜け(ファーに居る)意識が高い
だが、単純に狙うわけではないから目線は揃ってない、また人基準なのでちゃんと合うことが少なく手前で引っかかる事が多い

第20節vsマンチェスターユナイテッド
ニア:⑤低、①低、②高、③高、③低
中央:①高、①低、①高、「③高(PK)」
ファー:③高、③高、③高、②高、④高、③高
ニアマイ:
中マイ:
ファーマイ:

メモ
マグワイアの頭を超えるボールが少ない、あったといても助走を付けて飛び込んでない。PK奪取したシーンはマグワイアを超えたボール。
5バック相手に3バックの両脇、WB裏を狙うボールが少ない

クロスを入れる場所は決まってない

裏を狙う+そこを選手達がみれているか

第21節vsノッティンガムフォレスト
ニア:
中央:③高、②高、②低、⑤高、④低、②高、④低、④低、④低、
ファー:③高、②高、②高、③高、③高、④高、③高、③高、③高、
「⑥高(PK)」、③高、③高、③高、
ニアマイ:
中マイ:①低、②低
ファーマイ:④高

第22節vsブレントフォード
ニア:②高、②高、③低、⑥高、①低
中央:③高、③高、②高、④高、①高、③高、⑤低、④低、③高、③高、
③高、④低
ファー:⑤高、②高、⑤高、⑤高、
ニアマイ:
中マイ:①高、②低
ファーマイ:②高

メモ
普段は良くしている②③⑤⑥で持った時のファーでの動き出しが少ない
入れるところにも人が居ない事が多いし、そもそも入れない
クロスは高めだとしても、高めの部類の中では低いボール
ユナイテッド戦同様3バックの両脇、WBの背後への高いボールが無い

第23節vsイプスウィッチ
ニア:②低、⑤低、「②低」
中央:②高、⑤高、④高、④低、③高、③高、④低、「③高」
ファー:⑥高、「⑤高」、①高、③高、②高、③高、③高、③高、③高、③高
ニアマイ:①低
中マイ:④低、④低、④低、
ファーマイ:

第24節vsボーンマス
ニア:
中央:③高、③高、⑤高
ファー:③高、③高、②高、③高、
ニアマイ:
中マイ:①低
ファーマイ:

この様な感じになってました

リヴァプールのクロス原則は如何に!?

結論から言うと、④の位置(ポケット)を取ると低くて速いクロスを中央に入れるというのは約束事としてありそうですが、”高いクロスの”原則はない様に思えました。

ですが他の原則が関係しているように思えました。
それは②、③、⑤、⑥の位置で顔を上げてフリーでボールを持つと、逆のサイドの選手が誰かしら裏を狙う(対角の裏抜け)という原則があるように思えた。要するにゴール前のスペース(DFライン裏)を狙ってけってことですね。
だから、最近はSBのビハインドクロスや大外を見れるガクポやサラーによるカットインからのクロスが多いのでないでしょうか。

それにこれと似たような原則(動画の原則1と原則7)はもう既に存在しているようなので、この様な原則があってもおかしくないと思う。

ですが、そこへボールを積極的に送ってけ、クロスを入れてけ、またそのファーサイドの選手がフリーになるような工夫はしていないので、クロスを上げない試合は最後の部分が上手くいきませんし、クロスを上げたとしても手前で引っかかるシーンが多いです。
また、BOX内へ飛び込む人数が多い日もあれば、少ない日もあったりとバラバラです。

この裏抜けの原則はチームにとって良いものを生み出してはいるもののこれによる欠点も存在しています。
それが分かりやすいシーンを紹介します。

24/25 homeレアルマドリード戦 33分50秒~
このシーンは逆サイドへのスムーズ展開をしやすいようにと低い位置に残っていたブラッドリーがカーティスが顔を上げてボールを持った時に裏抜けを狙った事によって、コナテ→サラーへのパスの距離が遠くなってしまった場面です。

SBが上がるタイミングを間違えてしまい、迂回経路を作れていないという事が多いスロットリヴァプールですが、それは選手の判断では無く、チームとしての正解なんだろうなという事が分かるシーンがこの場面だからです。
何故なら、ブラッドリーは最初は迂回経路を作ろうとエンバぺ選手の背中辺りにいたのですが、テクニカルエリアからスロットがそのブラッドリーに対して「裏を狙え!!」と指示しています。
チームが上手くいくのはブラッドリー自身の判断なのですが、スロットのやり方としての正解はこれなのでしょう。

個人的にはマドリードが左サイドに寄り気味になっていたので、ブラッドリーがそのままエンバぺの背中にいれば、コナテの立ち位置によって位置を調節し、素早くサラーがスペースのある場所で仕掛けれる形に持ってけたと思います。

コナテが広いがったならボランチの位置に入り、サラーorブラッドリーの2択になります。

コナテがそのまま絞り気味なのであったら、コナテ→サラーと距離が広がった所を繋げてあげることも出来ます。

付け加えるとしたら、このブラッドリーの裏抜けした位置でヌニェスが裏抜けして、ブラッドリーは迂回経路つくりをしておいて欲しいです。

この様なデメリットはあるものの、先ずは「裏」という目線を揃える事、フリーで顔を上げた選手が居ると裏を狙うという意識付けが出来ているのは素晴らしい事です。
裏を狙うのは通れば決定機ですし、通らなくてもフィルターが多いのでプレスを掛けに行きやすいです。また、相手のラインを下げる為自陣回復にも有効です(敵陣でのプレー時間を増やす)。
また、裏へのボールは相手にとって自分の矢印、動力とは逆の行動をとることになるので対応が難しいです。スロットは助走を付けて裏を狙わせるため、ライン間への足元へのパスを警戒しつり出せた相手の裏を突くのでより裏抜けが活きてきますし、オフサイドにもかかりにくいです。
よくスロットリヴァプールは押し込みすぎないみたいな事を言われていますが、実際はDFライン上に居ないので相手はラインを下げずらい(引きこもれない)、そして裏へのボール等ゴールに直結するプレーが多いので、シュートで終わる事が多くボールを持ちすぎてカウンターみたな事が無いのだと思います。
だからこそ、就任1年目にも関わらずCL、PLで素晴らしい結果を出しているのでしょう。
対して裏抜けの少ないアモリムユナイテッドは全く結果を出せていません。
ビルドアップに対するこだわりはあるのでしょうけど、そこが上手くいったとて、ゴールに直結するプレーが少なすぎます。
アモリムはスポルティング時代から裏抜けは多い方ではなかったですし(他の選手がすれば、そこに連動する意識付けはあった)、フィニッシュワークの目線を揃えれていたわけではなかったです。

今回は、リヴァプールのフィニッシュワークの原則については(クロス)思ったような結果は出ませんでしたが、ビルドアップの整備をするよりも兎に角先ずは裏を狙うという事、ゴールに直結するプレーの目線を揃える重要性を知れました。

クロスについて分析していく

ここからは実際にどの様なクロスが決まりやすいのかを分析していこうと思います。

クロスに入るタイミング

いつクロスに飛び込むのかですね。
(2:38)

この動画で説明されてるとうり使いたいスペースを空けておいてクロスと同時に飛び込むのが理想です。
これだと走りながら飛び込むので自然と助走も取れます。

クロスの入れ方(加筆)

酒井高徳選手はクロスは人を基準に狙ってしまうと、その狙った箇所よりマイナスに行ってしまうのでDFラインを見てスペースを狙う方が良いと言っています。
(1:20~)

又、動画内で高徳選手が「高いボールは後ろ向きで対応しなければならないので処理がしにくい」とも仰っています。

この動画はクロスを上げるときのトラップの仕方や上げる前の仕掛け方、駆け引きの解説もしているのでプレーの参考になる優れた教材だと思います。

どの様なボールが決まりやすいのか(アンジェスパーズ)

これは高いボールか、低いボールかどちらが決まりやすいかを分析していこうと思います。
その参考にしたのはアンジェポステコグルー率いるトッテナムホットスパーです。

今季のリーグ戦第24節ブレントフォード戦までのクロスでの得点をまとめてみました。(「」で囲った物が高いクロスでの得点)

ニア:②低
中央:「③高(取消、オフ)」、④低、④低、④低、「③高」、「②高」
ファー:「③高」、④低、「②高」、「③高」、「⑤高」、「⑥高」、「②高」、「②高」
ニアマイ:
中マイ:「④低」、「④低」、「④低」
ファーマイ:

高いクロスでの得点 10/18

この様にクロスでの得点の18点の内,10点が高いクロスでの得点でした。

ですが、10点だと少ないんじゃないかと思いますが、重要なのアンジェの思想です。
私がアンジェスパーズを選んだ理由にも絡んでくるのですが、アンジェは低くて速いクロスを徹底させているからです。

チームには戦術上、いくつかファミリーの掟があった。

 一つは、ウイングがボールを持てばワンタッチで速いクロスを相手GKとDFの間に入れ、逆サイドのウイングは絞ってシュートを狙うというもの。これを約束通りやらない選手がいたら、ボスから怒りの湯気が立った。ほかには「ミドルシュートは打つな」もあった。単純に決まる確率が低いという理由からだ。

ボスの顔色をうかがうなら、普通はやらない。

https://number.bunshun.jp/articles/-/860587?page=4
「机がマジで壊れるんじゃないかって…」“怒る名将”ポステコグルーのブチ切れ伝説…“偽SB”松原健が語る「それでもボスが信頼された理由」

こんな感じで速いクロスをGKとDFの間に入れる事を徹底しているはずが、高いクロスでの得点の方が多いというのが現状です。
それに「ミドルシュート禁止」していては、肝心なGK-DF間のスペースを出来ずらいです。
裏を狙うから相手が引く、それによってミドルシュートを打つスペースが出来る、そのミドルシュートに対応しようと相手は出てこらざるを得ない。
という感じになれば良いにの、試合を観ていればわかる通り、相手がスペースを消しているGK-DF間へ低いクロスを入れ続けるという無謀な事を繰り返しています。そして結局は高いクロスを入れて得点と…

「ボスの顔色をうかがうなら、普通はやらない。」

となっていますが、今のスパーズはそのアンジェの思想に反した事をした方が得点出来ているので、、、
これかどうなっていくんですかね。

この事から分かるように、低いクロスより高いクロスの方が得点しやすいのではないか、というのが私の考えです。

何処へクロスを入れるのが良いのか(ヒュルツェラーブライトン)

これは何処へ送るクロスが良いのかという分析ですね。
参考にしたのはヒュルツェラー率いるブライトンです。
理由としてはヒュルツェラーはクロスの入れどころを決めているからですね。

因みにヒュルツェラーはあのポステコ信者ぽいんですよね

クロスに拘るという思想が似ていますよね。

では、クロスの入れどころを決めているヒュルツェラーのブライトンではいったい何処へ上げたクロスが決まっているのでしょう。

ニア:
中央:④低、④高、⑤低、⑤高、②低
ファー:④低、④高、③高、②高、②高、③高、⑤高
ニアマイ:
中マイ:④低
ファーマイ:

ヒュルツェラーブライトンではファー若しくは中央へのクロスでの得点が多いようです。

ブライトンはどこにクロスを入れるのかの目線が揃っているため、ビルドアップや守備に問題があったとしても。フィニッシュワークでの目線が揃っている為、作ったチャンスを仕留めやすいのではないのでしょうか。
ヒュルツェラーになってから三笘のクロスからの得点が増えたのは三笘の努力や研究の成果もあると思いますが、この様にフィニッシュワークの目線を揃えているというのもあるのではなかろうか。

この2チームのクロス戦術より

この2チームのクロス戦術より”クロスは高いクロスをファーまたは中央へ上げる”のが得点になりやすいのかもしれません。
酒井選手が仰っているように、ファーや中央への高いボールは空中戦の強いCBの死角や背後へのボールになる為、処理のしずらさもあるのではないかと思います。

実際リヴァプールのネットを揺らした、その起点となったクロスは

ニア:⑤低、④低、④低、②低
中央:④低、「③高」、④低、④低、「③高(PK)」、④低、「③高」
ファー:「④高」、⑤低(取消、オフ)、「②高」、④低、「③高」、「⑥高」、「③高」、「③高(取消、オフ)」、「⑤高」
ニアマイ:①低
中マイ:
ファーマイ:

11/21で高いクロスでの得点の方が多いです。

低いクロスは「悪」なのか

この結論からグランダークロス(低くて速いクロス)が良くないわけではありません。
スロットリヴァプールが④(ペナルティエリア深い位置)を取ると中央へのクロスを徹底している様に良い所もあります。
なので私は①、④からのニア、中央、マイナスへの低いクロスは効果的な場合が多いと考えます。
①や④でボールを持った時、利き足同サイドの選手がクロスを狙った時、高さが出ないクロスの場合はGKに処理されたり、カーブをかけてとなると、アウトスイングになるのでファーのマイナスのエリアに流れやすく、深い位置を取ってる分前がかりになりやすく相手のカウンターを受けやすいのではないかと思います。
また、利き足逆サイドでの、利き足側にボールが持てない時は一度切り返しが必要になります。
(だから、両足蹴れる、若しくはアウトサイドで質の高いボールが蹴れるのが大切なんでしょうね)

勿論①や④を取れたらよりファー側が死角になる為、そこへクロスを上げるのが理想ですが、かなり難しい様な気がします。

理想:④からファーへのクロス

(久保のアシスト 3:30)

(イニエスタのアシスト 7:05~)

マルティネッリのシュート(2:00~)

理想:①からファーへのクロス

(初瀬のアシスト 4:00)

ドウグラスのクロスの入り方完璧すぎませんか。
デカいやつが助走付けると勝てないってやつですね。

久保の浮かせたボールも高さが出ないとGKに処理されますし、初瀬のクロスもファーマイナスに流れてしまうという事が起こりやすい気がします。
(プロレベルならやって当たり前なんかな?そこらへんは分かりません)

ニアへの低いクロス

これは
・ニア側の相手DFの手前でさわる
・またそもそもの距離が短い時にニアで合わせる
みたいな感じですかね

相手の手前でさわる

(2:50~)

短い距離のボールをニアで合わせる

(カーティスの得点、6:00~)

ニアで合わせる時の意識しなければならないことはなるべくニアポストを超えない様にするということです。
単純にゴールが難しくなるからですね。


中央への低いクロス

中央への低いクロスは
・GK-DF間にスペースがある状態の時中へ入れる
といったところでしょう。
GK-DF間は基本的に引かれている時は空いているかどうか怪しいので、アンダーラップやオーバーラップで裏を取れた時、また、ラインが下がりきってない時にWGと相手のSBが1対1になりGK-DFが空いた瞬間でしょう。

裏を取ってからのクロス

(1:13~)

裏を取った後のクロス(オーバーラップ)

(0:25~)

裏を取った後のクロス(アンダーラップ)

(0:00~)

味方のWGと相手SBがラインが下がりきってない時に1対1になった時

(1:30~)

また、裏を取った後のGK‐DF間へのクロスは合わせる味方はその勢いのまま押し込めば良いのですが、相手DFからすると自分が動いてる方向とは逆へクリアしなければならなくなるので処理が難しく事故が起きやすいです。

マグワイアのオウンゴール(1:30~)

マティプのオウンゴール(9:23)

マイナスへの折り返し

マイナスへの折り返しは深い位置を取った後にゴール前を埋めようと、相手が引いて来た時に空くマイナスのスペースを利用したものです。

これは先程の2つのゴールパターンを阻止する為に相手の全体の守備ブロックが下がることによってDF-MF間にスペースが出来ます。
ですが、マイナスに折り返すと決まっていてもゴール前に飛び込みマイナスのスペースを空ける動きが大切になってきます。
(なので賢い選手は味方がシュートを打てるように自分がつぶれ役になったり、マイナスが空くことが分かったらゴール前に行かず逆サイドから絞ってくることがあります。exジルー、メッシ)

物凄く有名なやつ(11:50~)

※ラリーガ関連の動画を載せようと思ったらブロックされるのですが、リーガ関連の動画って規制厳しいんですか?

(0:55~)

この試合のラキティッチのゴール好き

相手が5バック等後ろに重たくなるチームだと4バックに比べてよりマイナスのスペースが出来やすいです。
(3:05~)

(0:40~)

(1:40~)

低いクロスについて

この様に低いクロスにも低いクロスなりの良さがあります(高さが無い分足で合わせやすいですしね)。
ですが、これはニアへのボール以外は基本スペースへ低いボールを送り込む形になるので、相手ゴール前にスペースが無いのに、中央へ低いクロスを入れると相手からすると待ち受けている場所に来ることになるので処理しやすいです。
(助走を付けて瞬間的に現れて先にさわる(コーナーの時ニアでそらすのと同じ原理)、相手がマークを外しているなら別ですが)

また、マイナスが空いていない、マイナスを相手が狙っているのにマイナスのスペースへパスを送ると、味方は前がかりになっている中、敵は前向きにボールを処理しやすいのでカウンターに繋がりやすいです。

先日行われたリヴァプール対マンチェスターシティの試合でリヴァプールが用意してきたセットプレーはもしサラーに行く前に引っかかっていると大惨事でした。
なので、あのコーナーはかなりリスキーなデザインのされ方だと思っています。
(0:10~)

悪い例
リヴァプールの得点(0:00~)

ヴィラがマイナスにそらしたボールが合わずにリヴァプール側が処理しやすい形になった上にヴィラはCKで前がかりになっているためカウンターが綺麗に刺さりました。

エリア内へボールを入れる大切さ

低いクロスの話はもう終わりです。
ここからはエリア内へボールを入れる大切さを考えていきます。
エリア内に入れると言っても、ファーや中央への高いボールになります。先程もいったようにその様なクロスは基本的にCBの死角や背後へのボールになる為、処理がしずらいので、それによって事故やカオスが起こるのではないかと思います。
また、BOX内へボールを入れずにちんたらパスを回せば回すほど、ミスする確率が上がっていくので単純にフィニッシュに移る大切さもあると思います。

相手のクリアミス(事故)からの得点

アーセナルの得点(1:30~)

ロブレンの得点(2:30~)

(0:56~)


BOX内への処理がしにくいボールからのカオス

エヴァートンの得点(1:40~)

ファンダイク、コナテが居たとしてもこの様な事が起きてしまうのでBOX内へボールを送るのは大切なんだと思います。

クロスを上げ切った事によるカオス

シティの得点(1:30~)

結局シュートを積極的に打っていくのと同様に、BOX内へボールを送る、ゴールを狙うプレーは何かが起こるんだと思います。

そして、クリアしにくい、処理がしずらいボールを入れてカオスを起こす事は、カウンター対策にもなっていると思います。
狙ったようなプレーをさせない(処理がしずらいのでプレーが安定しない)事で相手に綺麗なカウンターをする事が出来ない様に出来るからです。

ファー、中央へのクロスの偉大さ

このファーや中央へのクロスは前述した通り処理がしにくいです。
ですが、この手のクロスの良さは先程のドウグラスの得点の様にデカい選手が助走を付けて飛び込むと止め様がありません。
それがよく分かるのが”De Bruyne to Haaland”

De Bruyne to Haaland

注目して欲しいのはクロスでの得点なんですけど、デブライネからファーへのハーランドへのクロス止め様がなくねって話ですよ。
自分の死角から猛スピードのハーランドが飛んでくるんですよ。
そんなの無理じゃないですか
(1:20~)

フィニッシャーがハーランド、キッカーがデブライネだから出来るっていうのは無いと思います。
なぜなら初瀬とドウグラスでそれ出来ちゃってるんですから。
そのリーグでやれる実力は必要ですが、デブライネやハーランド並みに特別じゃなくても全然再現可能だと思います。
こいつらは基本的に上手くいく形を怪物2人がやってるからさらにバフがかかってるんですよ。

ジョタのヘディングゴール集

ジョタはFWとしては比較的に身体が大きくはない選手ですが、ヘディングでのゴールが得意です。
オフザボールもそうですが、DFの死角になりやすい方(ファー、中央)でのゴールが多いです。

そしてそこに身体のデカさが加わってくると、手の付けようがなくなってくるという事です。

クリロナのヘディングゴール集

助走を付けて入ってくるのもあって、勢いもあるので相手DFの上から叩くという得点が多いです。
身体能力の高い選手がこの様にファー、中央へ勢いをもって入ってくると止め様がなくなります。
(0:00~)

アトレティコ戦の1点目もそうだと思います。
理不尽極まりない

ファーへのボールは折り返すと、相手にとっては死角→死角となる為マークが混乱しやすく効果的な攻撃になります。
ファーに行き過ぎたボールでゴールを無理矢理狙うよりかは一回中へ折り返すというのも得策です。

そしてWGの選手もクロスに入っていく事の大切さもわかりますね。
(自然と助走が付きますし)

ファーへのクロスの折り返し

ハーランドの得点(7:15~)

ファークロスの折り返し+折り返し

鎌田の得点(2:00~)

ビハインドクロス

有名なビハインドクロスはマイナスに居るデブライネがファーへダイレクトに送るボールですね。

ここで重要なのは誰のパスからビハインドクロスが多いかという話です。
基本的に”仕掛けれるWG”からのパスが多いと思います。

仕掛けれるWGが外にいるからこそ、そこを止めようと2対1の状況を作ろうとするのでマイナスが空いてくる様になります。

サラー仕掛ける→アーノルドのビハインドクロス

カーティスの得点(0:00~)

菊池 流帆選手の得点(6:25~)

上げた選手は今シーズンから神戸のキャプテンを務める山川選手です。
彼はSBの経験もありますが、本職はCBの選手です。
山川選手のキックの良さもありますが、アーノルドやデブライネ並みの特別な才能を持っていなくても再現可能だということです。

話を戻しますと、ビハインドクロスはクロスを上げるマイナスの選手を抑えようとする場合、CFが抑えに来るとDFラインへのプレスを掛けずらくなり陣形を押し上げる事が難しくなりますし、中盤が抑えにくるとなると逆サイドの選手が中盤の位置まで絞って来ないとDFライン前が空いてしまう事になります。
(基本的に大外でWGが仕掛けて相手のSBとSHを引き付けてくれているので)

クロスを上げれなかったとしても、そのサイドに相手を引きつけられているという事なので逆サイドへ素早く展開する事が出来れば逆のWGがよりスペースのある状態でドリブルを仕掛けれる事が出来ます。

ですが、ここの選手(大外でボールを持った選手)が仕掛けれないSBやサイドへ流れて来た中盤だと相手を十分に引きつけれない為マイナスのスペースが空きにくいです。

デブライネが最初っからサイドで張ってるみたいな事がありますが、彼の良さは仕掛けてからのクロスでは無いので、彼のパス精度を最大限にいかせる事が出来ませんし、マイナスにいる選手がデブライネではなくなるのでビハインドクロスの精度が落ちてしまいます。

だからこそ、リヴァプールが相手をサイドに引きつけ、逆サイドへ展開した時にその先にいる選手がSB(アーノルド、ロバートソン)だったりした時が勿体無いなとおもうんですよね。

このロバートソンの位置が仕掛けれるWGになれば、相手がスライドしきる前の大きなスペースがある状態で、よりスピーディーな攻撃をする事ができ、攻撃を完結しやすくなります。

対角裏抜けを狙う(ファーへのクロス)

これは図で言う所の②、③、⑥、⑤に当たる位置で顔を上げた時に対角の選手が裏を狙う事が大切なんだと思います。

ビハインドクロスは勿論のこと、普通に中盤の選手がここで受けて顔を上げた時に裏を狙う、WGの選手がカットインした時に裏を狙う感じです。
特にカットインした時やそこでボランチが顔を上げた時に対角の選手が裏を狙っているとそこにクロス、パスが来なくても、シュートのこぼれを押し込める可能性が高いです。

カットイン対角

(0:45~)

カバーニとスアレスのロングワンツー(②で顔を上げた時の対角)

カットインからの対角は、相手からすると味方が突破されているのでそのカバーに入らなくてはならなくなり、その分全体がスライドするのですが、ゴールに近いのでボールウォッチャーになりやすくマークが混乱しやすいのではないかと思います。
それもボールを入れられる場所が自分の死角側なのでマークや状況の確認も難しいのだと思います。
(1:30~)

対角クロスではないのですが、相手の強力なWGがペナルティエリア付近で仕掛ける事になるとこの様にボールウォッチャーになりマークの整理をしにくいです。そのボールウォッチャーになっている相手の背後を攻撃側は如何につけるかが重要なんだと思います。

だからこそDF陣はこれを防ぐためにコミュニケーションを取るのが大切なのでしょう。

揺さぶってからのカットイン対角

(6:50~)

(3:40~)

これが先程の逆サイドへ振った時に大外の選手が仕掛けるWGであるメリットでもあります。
どちらも相手のスライドが間に合わず味方のWGが広いスペースで前を向ける、若しくはスピードに乗って数的優位の状態で仕掛けれる状態からのクロスです。

③で顔を上げてボールを持った時の対角

(0:45)

⑥で顔を上げた時の対角

(1:45~)

ファンペルシーのダイビングヘッド

⑤で顔を上げた時の対角

ヌニェスの得点(1:40~)

マクアリスターの得点(0:00~)

シュートのこぼれをファー詰め
(1:20~)

ジョタはここでもちゃんとライン見ながら裏へ行こうとしてるんですよね。
ここでライン見れずに棒立ちになるとオフサイドになりますし、ジョタみたいにすぐ動けるようにステップ踏んでおかないと相手より先に触れる可能性が低くなります。

カットイン対角+ビハインドクロス

(2:00~)


取り敢えず裏抜けは大切だって事ですよ。
これはクロス以外でも基本的に顔を上げてボールを持ったら対角の選手が裏を狙うのは本当に大切だと思います。

最終ラインが顔を上げた時の対角裏抜け

ディアロディアロディアロ~(1:30~)

ジョタのシュート(5:47~)

もちろん味方のボランチが顔を上げれた時にも裏抜けは有効です。
最終ラインよりもパスの距離が短くなるのでよりパスが通りやすくなります。
武藤の得点(1:28~)


味方のカットインに合わせて裏抜け

この様に味方が中へボールタッチをして顔を上げれた時に裏を狙うのはとても重要です。

そして相手のWBやSBを釣るように裏抜けすると、より大外の選手が空いてくる事になります。
(1:39~)

チアゴがシザースで中へ持ち運んだ時にアーノルドがCB‐SBの対角の裏を狙ったのでサラーと相手DFの距離を離す事が出来ました。

"Messi to Jordi Alba"とかも基本的に似たような感じで、メッシが顔を上げてカットインした時に裏への意識が高いから結果的に大外のジョルディ・アルバが空くんですよね。

また、その裏抜けによって、裏ケアが必要になってくるのでメッシのドリブルに対してのカバーが遅れることもあるんですよね。

(3:30~)大外の選手はビダルですがメッシが顔を上げた時の裏狙ってる選手の多さよ
(6:00~)スアレスの裏抜けでスモーリングのカバーが遅れてしまいました

中央へのクロス(加筆)

中央への高めのクロスの話を書いていなかったです。
これも対角クロス同様に相手の死角になりやすいです。
ファークロスに比べて対峙する相手がCBと空中戦の強い相手になってしまいますが、ファーへのクロスより良い点はゴールに対して狙えるコースが良い点です。
ですが、中央へのクロスは球質が良くなければGKが出やすいボールになってしまう為、遠く(⑥)、遠くて深い位置(①)から無理矢理狙うエリアではないのかなと感じました。
なので、個人的には②、③、⑤のエリアから狙うと、ゴールに対して狙えるコースが多くなる上に相手GKも出てこれないので効果を発揮しやすいのではないかと思いました。

⑤から中央へのクロス

ハーランドの得点(6:52~)

②からの中央クロス

フェライニの得点(7:25~)

大迫の得点(2:20~)

③からの中央クロス

ガクポの得点(8:23~)

ディアスの得点(4:00~)

ファーへのクロスに比べて中央へのクロスはCBとの対峙になりやすく、必然的に死角に入ってるという事は起きにくいので、より助走や相手DFの死角に入る事が重要になってくるのではないかと思います。

クロスに合わせるキャラクター

選手のキャラクターによってクロス戦術はもっと活かせる事が出来ます。

簡単に言えば
・デカい選手はファーか中央、小さい選手はニア側へ
・不器用だけどデカい中盤は飛び込んで、身体は大きくないけどキック良いやつはWGのサポートへ
って感じです。

一つ目に感してはデカいCFがニアに居たら勿体無いやろって話です。折角死角から飛び込める上に相手DFの上から叩ける可能性が高い選手がニアのつぶれ役になるのはなぁと思います。

あと、ニア側にいる選手は状況によってはサイドの選手とコンビネーションが必要となりますが、デカい選手はそういうの苦手な場合が多いので苦手な事やらせずに得意な事やらせようぜって事ですよ。
なっヌニェスちゃん。
(個人的にヌニェス起用する時はディアスやジョタとコンビにして、後者の様な小さい選手はニア側で飛び込んだり、コンビネーションしてもらって、ヌニェスはファーで高いボール待ってろってしてあげた方が良くねってなってます。)

あとデカい選手がCBの死角に入ればそのカバーをしようとSBやWBもより絞ってくるので、大外の逆サイドのWGも空いてくるんですよね。

2つ目のやつは簡単ですね。
有名どころで言うとライスがキッカーになって、サカやウーデゴールが飛び込みまくるのはおかしくねって話ですよ。(その2人がクロスに入ってくるのが良くないって事じゃないですよ)
選手の特徴を活かしたいならライスやメリーノの様な選手をクロスに沢山入っていく様にするべきです。
(クロス上げる役割をキック苦手な選手にやらせないってのも大切なのかな。これは周りとの兼ね合いにもなってきますが。)

ライスのゴール(11:05~)

今見ても胸がキュッとします

メリーノのゴール(18:15~)

メリーノやライスは2列目からクロスに入って来るのが得意なのでこれを活かしたいですよね。

直近でいえばポッターのウェストハムが良いなと思いました。(アーセナル戦)
中盤3枚がエドソンアルバレス、ウォードプラウズ、ソウチェクなんですけど、相手を押し込んだ時にウォードプラウズがサイドへ流れてWBのサポートへ、ソウチェクはクロスに合わせに入っていくという様な形で凄く良いなと思いました。

ウォードプラウズからソウチェクのシュート(1:10~)

この試合はアーセナルもメリーノにクロスを上げる事が多かったので面白かったです。

また、WBの背の高い選手に逆サイドから飛び込ませるっていうのもありなのかなって思いますね。
シャドーは基本的にゴール付近にいるので、それによってSBのマークを引き付けてくれるのでWBが死角側から飛び込む形になりやすいと思います。
(5トップみたいになるんで相手が4バックだと前の選手が戻って来ない限り大外が空く)

WBにクロスを上げる

ドゥンフリースの得点(1:15~)

個人的なロマンの話

ちょっと距離は出ますが、不器用すぎる選手なら、その選手の居ない方のWBだけ大外に張らせるシステムにして、その選手は低い位置に残らせて両サイドが絞った4バックを作る(シャドーを大外取るタイプにして、守備の時に絞らせる)
相手を押し込んだ時にその低い位置からクロスに飛び込みに上がっていくのもありなのかなって思いますね。
(てかこのシステム観てみたいからどっかのチームやってくれ、ヒラルデス監督率いるセルタのミンゲサWBで絞らせた523→415可変を参考にした)

ククレジャもチェルシーでSBながらフィニッシュワーク以外の局面でもずっとしているので、良いシステムなんじゃないかなと思います。
常時上がるわけじゃないからククレジャシステムほど過労死システムぽくないと思うけど。いやキツイか。
だってWBは守備での上下がSBに比べて多いですもんね。
SBにやらせるよりはマシな気はするんですけど。

ククレジャの得点(0:00~)

この動きをWBの選手がやるイメージ

適材適所や選手の特徴から逆算してシステム構築する事で選手を活かす事が重要ですよって話です。

グヴァルディオルをずっとサイドに張らせてる謎監督は早く考えを改めてなさい。そこにロングボール入れて起点を作る、クロス上げてゴール前に飛び込ませるなら全然良いけどしないやん。
マフレズ中に入れて、ウォーカー張らせて上手くいかなかった時に気づいてください。

このnoteの総括

多分言いたいことは全部言えたと思っています。
簡単にまとめると
・リヴァプールにクロスの原則は無い
・クロスはファーや中央へのボールが決まりやすい
・低いクロスは絶対悪ではない
・味方が顔を上げた時に裏抜けするの大切
(クロスに飛び込む場合②③⑤⑥のエリアは特に)
・適材適所や選手の特徴を考えてシステム構築する
って感じですね。

リヴァプールにクロスの原則が無い件

結局、リヴァプールにクロスの原則はなかったわけですが、それが起こりやすい様な状況作りがされていると思ったんですよね。
・ちゃんとWGが大外で仕掛ける形になってる
・裏への意識が高い
尚且つ、両WGがサラー、ガクポと顔を上げながら仕掛けれる選手なので裏狙ってる選手をちゃんとみれてるんですよね。(あとキック精度が高いのも良い)
そして、大外でWGが仕掛けれる分マイナスが空いてくるのでアーノルドやロバートソン等のSBからのビハインドクロスが上がりやすい状況になっているんだと思います。

リヴァプールはシーズンが進むにつれて相手のブロックの位置が低くなっていっています。
ですが、それに苦しんでいないのは相手が引いてきても遠距離攻撃(クロス)がある、それが起こりやすい攻撃の形や選手起用になっているからこそだと思います。
そして、ゴールに直結するプレーが多い分敵陣で相手ボールになる事(ボールがピッチ外に出る)が多いのでそこから即時奪還からのカウンターで攻め切るっていうのもあると思います。
ヌニェスをより活かせるクロス戦術が出来上がれば更に良くなると思うんですけどね。

リヴァプールの様に、原則が無いのであれば、相手ゴールを脅かせる現象が起きやすい様にする形を用意するのが良いのかもしれません。
そして改めて単純にWGに外張らせて仕掛けさせる重要性を確認できました。

(加筆↓)
ロティーナが5年前にインタビューでこんな事を言っていました。

 ここ数年の日本サッカーからは良いサイドアタッカーが出てきている。横浜F・マリノスやサガン鳥栖には特徴的なサイドアタッカーがいて、川崎フロンターレには優れたサイドアタッカーが数多くいる。それはなぜか? 現代サッカーにおいてはどれだけパスを回しても、高いボール支配率で相手を支配しても、1対1で相手の守備システムを打開しなければ得点のチャンスが生まれないからだ。

 その代表例がジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)で、彼は常に攻撃において1対1を有効活用してきた監督だ。守備システムがこれだけ向上した現代サッカーにおいてはスペースも時間もなく、攻撃では素早くサイドにボールを循環して、そこでの1対1で活路を見いだす必要がある。1対1に秀でたサイドアタッカーの重要性は年々高まっている。

サイドアタッカーの出現は進化の証し C大阪ロティーナ監督が見た日本サッカー
https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/202009240004-spnavi?p=2

チームにいる質の高いWGへボールを如何に届け、大外で仕掛けれる構造を作れるかが重要だということですね。

EURO2024を優勝したスペイン代表もヤマルやニコウィリアムズが大外で仕掛けれる事が多い構造になっていました。

アーノルドとベッカムのクロス集

今回このnoteを書くにあたって調べたこと、考えたこと等を踏まえて見ると狙いどころも精度も素晴らしいなってなりますね。

ジルーのヘディングゴール集

やっぱりクロスが上がってくる、自分が活きる場所(ファーや中央のエリア)にいることが多いですね。
ヌニェスも頑張って欲しいです。


締め

今回noteを書くにあたってリヴァプールの試合を24試合程見直し、他チームのゴール集やFWの得点集等色々と確認したので今までのnoteの中で一番大変でしたが、物凄く良い機会になったと思います。

ご一読頂き本当にありがとうございます。
心より感謝いたします。

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