ネオンに見つめられて~ MONAの40周年記念展覧会
日本は敬老の日。皆さんは休日をどのようにお過ごしだろうか。
前から行ってみたかったMONA(モナ)へ行ってみた。
ニューヨークにあるMoMA(Museum of Modern Art)は聞いたことはあるかもしれない。
MONAは ロサンゼルスにあるMuseum of Neon Art のことである。
その名の通り、ネオンを用いたアート作品(すでに引退したネオンの看板を含む)を展示しているMONA。開館40周年を記念した展覧会が現在行われている。開館した1981年はネオンや電気を利用したアートを収納した唯一の美術館であったという。
日本人と思われる Kunio Ohashi さんの作品も飾られていた。
ホームページで観ることの出来る作品もあるが、ネオンはその立体性と点滅により時間軸に沿って変化するアニメーション性を考えると、実際に目の前にして楽しむに越したことはない。
ネオンによって浮かび上がる形により、シンボルはより強く訴えかけてくる気がした。
上記はロサンゼルスの日本街の側にあった IWATA CAMERA の看板である。1940年代のものだというので歴史的に貴重。その隣は「松の寿司」と描かれているが、同地区のお寿司屋さんで実に70年以上にも渡って利用されていたそうだ。(1980年代に残念ながら閉店したとのこと。)
日本でも昔は夜の街にもっとネオンが目についていた気がしている。
上記の RCA-Victor の犬のロゴは日本でもかつて馴染みのあったものだが、これも1940年代に使われた看板だそうだ。大きさは8フィート(約2メートル44センチ)ある。
その隣はメキシコ料理 LA FONDA の看板で、こちらは38年に渡って使われた。メキシコ料理はロサンゼルスで最もポピュラーな料理の一つであり、この街の歴史を語るのに欠かせないものであろう。
リンカーン・マーケットはかつてパサデナ市にあった日系の小さなグロッサリー・ストア(スーパーマーケット)であり、駐車場を兼ねたU字型の店舗だったらしい。
そして看板としての役割の一つとして、ネオンは人を楽しませてきた。
Seal Beach (アザラシの浜辺)にあったモーテルの看板(1955年)は、その名の通りアザラシがボールで遊んでいるユーモラスなものである。一方の Winning Wire は1920年代に競馬場で使用されたものだそうだが、博物館にも写真は残っていない模様。
「彼の患者は皆死ぬ」。意味深な看板で、ブラックジョークなのだろうが、笑えると同時に考えさせられる。
チキン・パイの店 La Palunaの鶏はその昔、店のてっぺんから客を見下ろしていたのだろう。彼からすれば「オレを食べるな」とのメッセージを伝えたいのかもしれないが。
かつてあったものが役目を終えて眠る美術館というと、何だか寂しいものが感じられる。その一方で本来の看板としてでなくここで皆を楽しませているネオンには、懐かしさ以上に歴史を生き延びてきたものの力強さが感じられた。「お前は一体、これほど長く生きられる程にタフなのか?」と問いかけられているように思えたが、気のせいだろうか。
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