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メタバースZEN問答
レイチェルタイムズのレイチェルさんをご存知だろうか。米株投資を最近スタートした私が見習うべき市場分析をされている方である。
レイチェルさんのツイッターは投資以外にも多岐に渡る。今朝は「メタバース」の話題が出た。本noteでメタバースは継続的に取り上げているトピックである。今日はレイチェルさんにインスピレーションを受けて、今まで本noteで扱った記事を振り返りつつ、一人問答してみたい。
僕らは今メタバースのどの辺にいるのか?
実生活では全身ユニクロだけと、メタバースてはシャネルとグッチに身を包む。こんな世界がいつかやってくるのだろうか?メタバースでもユニクロでいいっかってなりそう。しかし衣服の保存が苦手な私にとって状態劣化しないアイテムは魅力。永久利用できるなら多少値が張ってもバンバン買いそう。
— レイチェル (@rachelcubmike) January 14, 2022
メタバースにおける高級ブランド戦略の記事は、ヴォーグ・ビジネスの翻訳を含め、何回か取り上げてきた。高級ブランドはどうやって若者に服を売るか試行錯誤を続けている。フォートナイトとバレンシアガのコラボを例に出すまでもなく、メタバースは「広告そのもの」でもあり「販売するところ」でもある。実は人の集まる交差点そばの路面店と同じなのである。
一方で、メタバースの店舗からどのぐらい実店舗にお客さんが誘導されているのかを示すデータはないが、割合としてはあまり大きくないのではないか。だとすれば顧客獲得のためのコストを考えた場合、それほど費用対効果は大きくない。しかしブランド名を認識させることが第一であれば、十分「メタバース進出」はアリなのであろう。その点で、既にその名が広く知られて(なおかつみんなに愛されて)いるブランド(例えばユニクロ)は今からメタバース店舗を持たなくても済むと考えているのかもしれない。
面白い動きとしてファスト・ファッションでおなじみの FOREVER 21 は、ロブロックス内でクリエイターの協力を得て店舗出すという、高級ブランドと異なる戦略を打ち出して来た。より若年層に向けたアピールとして正しい戦略だろう。そもそものコンセプトとして高級ブランドよりも「手の届くところにある」ことこそがブランド力だからである。このアプローチはインフルエンサーに自社の製品を紹介してもらうマーケティングの延長にあると言えないだろうか?
ファッションはアバターにとってのアクセサリーなのか?
それはですね、実生活では同じ服を繰り返し身につけることは着る側・見る側双方にとって厳しく(あいつ毎日同じ服来てるやん的な)、一方でデジタル世界では同じ服装はアイコン(象徴)のように捉えられるため1点だけで十分となるので、それなら高価なものを所有しようと思えるからです。(適当) https://t.co/PQUVwebC1R
— レイチェル (@rachelcubmike) January 14, 2022
レイチェルさんが(適当)と言われるので、それは直感的な閃きなのだろうが、実際のところメタバースにおける「ブランド」とは何だろう。デジタル世界における「衣服」とは何か、という問いと実は表裏一体で、アバターとして衣服とボディをセットで考える方が一般的なのではないか。
つまり衣服を選んでこそアバターなのであり、アバターを作成する時点で何を着るか考えていないアバターは、まだ未完成だと考えることも出来るのではないか。(デジタル世界では、例えば衣服が元々の持っていた体感温度を一定に保つのを助ける機能は必要とされていない。)
ただし「『高価なものを着ている』ことが現実世界で持つ意味」がメタバースの中で「高級ブランドを着ている意味」とイコールなのか、というとそれは「現実世界で着られなかった高級ブランドをメタバースで着る」というモチベーションの人にとっては当てはまるかもしれない。だが「フォートナイトでプラダを知った」人が着るプラダの価値とは、その人にとって何だろう。
「ブランドを着ることは自分の外にいる人へのアピール」にもなりうることが、現実世界で持つ意味とメタバースで持つ意味は同じと言えるのだろうか。
メタバースにおける「高級」とは?
あります。そこには需要と供給のバランスが介在しますがブランド力そのものです。現実世界とメタバースでそれは必ずしもイコールとはならず、メタバース上でのブランド構築は0からです。つまり、現実ではユニクロは安価だけれども仮想空間では高級ブランドというブランディングも可能と考えます。 https://t.co/guF2P5yeJ8
— レイチェル (@rachelcubmike) January 14, 2022
あるブランドが現実世界と仮想空間でまったく違うブランドとして認知されるというのは十分に「あり得る未来」だろう。その場合「ブランドの価値」は値段に反映されるものにはなるのだろうが、しかしブランド自体はそのような価値を(値段をつける以外に)どうコントロール出来るか。そこにかなり不確定要素があるのではないだろうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1642297674401-vynPvrPbAy.jpg?width=1200)
スニーカーのブームにより、スニーカーの値段が急騰して、やがてコレクタが愛好する「スニーカーの市場(マーケット)」が、まるでブランドのように広く知れ渡る現象は現実世界で起きている。実は「マーケット」の方が「ブランド」そのものよりも重要だという考え方も出来る。このような売買の仕方は、実はメタバースの方が現実よりも適しているのではないか。
「メタバース=経済圏」であるということ
メタバースは、仮想空間で新たな経済圏が形成されるからこそ期待産業といえる。既に覆しがたい現実社会よりも巨大なチャンスが眠る。既存ゲームコンテンツをスマホに移植してもパズドラ・モンストに勝てなかったように、現在のマーケットの延長でなくメタバースに適合したコンテンツ設計が求められる。
— レイチェル (@rachelcubmike) January 15, 2022
ビジネスを考えている人間には「メタバースとは新しい経済圏である」と言い切ってしまった方がいいかもしれない。前述した高級ブランドのメタバース担当者の頭の中はそんな割り切った考えなのだろう。SNSが新たなマーケティングのツールとして「消費」されていったように、メタバースもまた同じように消費される未来がすぐそこまで来ている(かもしれない)。メタバースとは「販促ツール」であり「広告手段」であり「売り場」でもある。すべてが揃っている以上、そこが経済圏でなくて何だろうか。
メタバースでアナタは、お客となることも出来るし、ものを売ることも出来るし、ものをつくるクリエイターとなることも出来る。もしアナタがアバターとなって株取引をしているとしたら、何のためにそれをするのだろう。高級ブランドを身につけるためか、あるいはアバターにそれを着せるためか。その答えを見つけたとき、アナタはようやくメタバースの一部となるのかもしれない。