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400字小説『率いる者の憂鬱2』

 間も無く平和の式典を控えていた。そこでも、今までと同じように原稿を読めば良い。不用意な発言さえしなければなんとかなる。しかし、今は人前に出ることを想像しただけでもお腹が痛くなる。持病が再発しそうだった。今度は身内からも記者会見を開くように言われてしまった。さらにストレスが重なる。私の苦悩なんて誰も理解してはくれないだろう。現在、我々がやることを批判することしか出来ない野党が与党だった時の負の遺産を引きずって、私は全力を尽くしているのに。
 そろそろ官邸へ出発の時間だ。あの小さい布マスクをつけるのは今日で終わりにする。自分で配ってしまった手前、メディアに出る可能性のある時は付けていたのだが世間では誰もつけなくなってしまった。馬鹿みたいだと分かっていながらも、私が付け続けないと示しがつかなかった。官邸に入る時、記者になんと言われるだろう。ぶら下がりの時の言葉も考えておこう。

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