素敵に歳を重ねるということ
歳を重ねることに不安を抱くのが40代なのか、その年代の女性をターゲットにした雑誌には、【老いに負けない】をテーマにした内容の特集記事が多い。
ホルモンバランスが崩れ、身体や肌に出てきた不調に、初めて老いを身近に感じたのが40代だったのかもしれない。
私も随分エステ通いをしたものだ。
いま思うと体力もあり、肌はピチピチ・スベスベだったのに…。
40代の私には、娘・妻・嫁・母・経営者など色んな役割があった。
両親が亡くなって娘の役割は無くなったけれど、代わりにおばあちゃんの役割が増えた。
役割の数は同じでも責任の重さが違う。
なんでも1人で抱えずに、大変な時は「助けて!」と言うことにした。
60歳になって、今まで考えなかった残り時間が気になってきたからだ。
今のように元気で過ごせる時間は、あと20年くらいだと思うと、
「時間ができたらね」とか「後でね」なんて言ってられない。
やりたいことはさっさとやり、やりたくないことと無理はしないと決めた。
たったこれだけで、こんなに心も身体も軽やかに感じるんだと驚いている。
ここらへんで、自分の心地よさを優先する生き方をしてもいいんじゃないか?
そんなことを考えていたら、やりたいことが次々に思いつく。
そうしているうちに若い友達が増え、優しく大切にしてもらえている事に気付いた。
これは良い意味で予想外だった。
老いることは悲しいことではなく、案外楽しいものだ。
ファッションだって年齢で選ばず、好きか嫌いか、どちらかで決めている。
人の目を気にしてあれこれ悩んでる時間すら勿体無い。
思考がどんどんシンプルになっていく。
60代、老いてはいるけど、諦めてはいないし気持ちも腐ってはいない。
重ねた年齢と同じく、辛いことも嬉しいことも経験してきた。
その人生の深みが旨味だ。
良い塩梅に熟して甘くなった果物のように、優しく丁寧に扱ってもらえるのだから、良いことばかりではないか!
素敵に歳を重ねるというのは、抗わず偉ぶらず現実を謙虚に受け入れ、精一杯楽しむことではないのか?
今はそんな気がしている。