PANDORA LIVE 2025 -OPEN THE BOX- 箱の中の希望、それを照らすは雪消月の月光
開きました。箱。あけましておめでとうございます★
2025年2月28日、実に7年ぶりのPANDORA集結、再始動ライブ。
発表になったときから、ひとときも心休まる瞬間がないままライブ当日を迎えたのも近年あまりない経験で。
無事に終わった今、この記憶すべき日の色々な思いを記しておく。
ヲタクのお気持ち表明文が続きますが、万が一興味ある方がいたらよろしければお付き合いください。
- Shining Star -
なぜPANDORAにはここまで激重な思いをかけてしまうヲタクが多いのか。
それはもちろん人それぞれに思い入れがあってのことなんだが、俺の場合はこう答えたい。
「先生に対するDAの思いが愛しいから」
デビュー前からずっと先生と慕ってきた小室さんに対して、ただの一度も大介はその態度を変えたことがないように思う。何があろうと、絶対的一番弟子として、大ちゃんは35年以上も先生のことを見てきた。近くにいるときもそうでないときも、先生として敬愛し続けてきた。そしてその姿勢を、ファンにもずっと揺るがず示し続けてきた。
もちろん若造だったDAも今や立派な大御所。先生も自ら「もう僕より技術も知識も優れている」と謙遜されたりしているが、DAと先生はそもそも思考回路もシンセ、作曲、演奏などに対するアプローチも違うわけで、先生が踏んでこなかった轍をDAが着実に踏み固めて来た結果、今ここ PANDORAという境地にまで到達したわけだ。先生のマネッコ講座講師だった大介青年もいまや、先生と一部を補完する関係になりえている。
小室哲哉氏という人物の功績は日本においてあまりにも偉大だけども、それだけに依らない、小室さんのことを身近な人としてもその背中を見つめ続けてきたDAだからこそ、その揺るぎない「先生」への姿勢が持つ意味は格段に重い。
2017年、ふたりの出会いからそろそろ30年も経とうかという年。(先生の申し出により!)PANDORAが結成され、俺を含むたくさんのDAヲタたちが狂喜乱舞した。それは少なくとも、傍から応援しているだけの俺には、誤解を恐れずに言うならば、大介の初恋が実ったような、憧れの先輩がやっと振り向いてくれたような、そういうふうに映った。
だから先生が引退されたとき、ずっと先生を追いかけてきた大介がPANDORAが、やっとこうなれたのにどうしてこんな結末になるんだろうと本当に毎日胸が張り裂けそうに苦しかった。ただひとつのユニットが終わっただけとはどうしても片付けられなかったのだ。
だけど当の大介は変わらなかった。悲しい顔は最後のビルボードで見せた涙を最後に、毎週自分のラジオで Be the oneを流し続け、ずっと PANDORAの箱がまた開く可能性を決して諦めずに、静かに温め続けてくれた。
もちろん先生が音楽界に戻って来られたのはご自身の意思だけど、PANDORAがショービズ界で今宵再び新たな音楽の実を結ぶことを可能にしたのはきっと、ついに求められたときに差し出せるまで待っていた大介の優しさと変わらない思い、そしてそれを現実にし得る音楽家としてのグレートな生き様なのだ。
…結成まで30年、そっからまた戻って来るまで7年かかったんですよ!!!泣くやん!!絶対泣くやん!!!!な!!??映画化決定やん!!!??
ということなので、PANDORAが再び元気な姿を見せてくれるだけでもすべてに感謝するし、純粋に先生とDAの音楽の融合・ケミストリーを体験したい、という気持ちもあるし、新しいなにかが続いていく予感があるならマジそんなありがたいことはふたつとねえ。
実際ステージに出てきた二人は、かっこよくて堂々としていて、でもなんの気負いもない、7年前に見た大好きな PANDORAそのままだった。先生の方をこまめに見やる大介、一方先生はなかば夢中といった感じで鍵盤に顔を近づけたり自由に音に身を委ねたり。時々目が合うとうなづき合って、アドリブで完璧なメロディを重ね織りなす。
お互いにぶつけ合うという感じではなくて、ただただ相手の音に何かを重ねて、もしくは重ねないで、どうこの空間が変わって動いていくかを楽しんでいるような。やってて楽しそう、というのがPANDORAを見ていてとても幸せになるところ。
そもそも PANDORAってガツガツした感じがなくて余裕があるんだけど音楽に対してはアツいってのがいいところだったので、まんまその良さがステージに現れてた。大御所ならではの安定感とクオリティに、新しいものへのアンテナと冒険心がおそれずミックスされてる。悪い意味でのセンセーショナルな衝動は削ぎ落とされていて、やりたいことを見つけ出して形にするまでの実直な裏の過程があれほど激しく主張する音の裏に正しく感じられるような、矛盾に近い思いさえする。やはりふたりが重ねてきた途方もない経験値でこそ叶う唯一無二の空間といえるのだろう。
即興と思えない音の豊かさ、気持ちいい重なり、広がり。踊らせ跳ばせるブチ上げパートもあれば、駆け上がっていく音に呑まれて自分と世界の境界線を失いそうになったり、聴いたことのない音色に脳の知らないところをパチンと撃たれる快感だったり。そんな止まらない最高にクールな音が流れ出してくるのは紛れもなく先生とDAが今夜開けたパンドラの箱なのだ。幸せかよ。
小室哲哉と浅倉大介というふたりの偉大な音楽家の長い人生のドラマがあって、だけど本人はそんなもん背負ってるような顔せず、ただあるのはそこでふたりで奏でている幸せと、その果実を全身で享受しようとしているオーディエンスの熱狂。客席のうごめきに押されるようにステージから音が溢れ出してくる。これがライブの、音楽の幸せなんだと音で返してくれるように。
Aerodynamicsが圧巻でしたね。ずっと生き続けてるみたいな感じ。PANDORAはこれまでも即興が多かったのでどれがいつのどの曲かわからなくなるんだけど、頭の3曲とかまた音源でも聴きたいし、でも二度と聴けませんと言われたらそうか~一期一会だったな~ってなる、それを楽しんでる一面もある。
小室さんという、まごうことなき Shining Starがいる。そのそばにいるDAもまた同じ夜空できらめくキラキラ星なのか、それともその星のまわりを回りながら見守る惑星なのか、衛星なのか、、、わからないけれど、俺はやっぱり先生を見つめる大介が大好きで、それは絶対先生がいないと出会えない輝きなんだ。改めて、戻ってきてくれてありがとう先生。
- proud of you -
センシティブな話だろうが、TMRならびに西川貴教という存在からちょっと距離を置くようになってどれぐらい経っただろう。別に嫌いなわけではないしCDも聴くけど、生の活動からは遠ざかって気づけばかなりになっていた。
事実はご本人たちしか知らないに決まってるんだが、DAあるいは accessファン界隈で時々勃発するTMR絡みの不穏な空気には幾度も遭遇してきた。俺自身は正直、別に好き勝手にやってくれ歌はずっと歌ってくれとしか思っていないのでそれ以上言わないが、現実として西川が PANDORAに来る!となるとドキドキするのはやはり、俺の中にも見ぬふりをしていた多少の緊張感みたいなものがあるということだろう。
DAと曲に対するリスペクト、それ以上のものを求めたりしない。そして当日の西川はそれを見事に、懐かしい軽やかさでちゃんとやってのけてくれた。来てくれてありがとう。終わったとき心から思えた。
PANDORAの復活とTMR再集結を一緒にやる必要ある!?ヲタクの情緒どうするん??と最初は思ったけど、先生の話を聞いていると、とにかくライブにはボーカリストがほしい、というのが前提にある気がしていて、ちょうどふたりとも縁のある西川がいいんじゃない、と選んだぐらいのことのようで、やきもきしているヲタクの気持ちだとか会わない間に彼らどうなってんだとかは当たり前だが知ったこっちゃないのである。西川だって来てOKだから来たに決まっている。
先生のゆるいマイペースさが功を奏して(?)久しぶりの5円玉の前で歌う10円玉はとってもパワフルで野性的でさすがのスーパーボーカリストっぷり。しっかり笑いを撒き散らしながらちゃんと PANDORAのことを立ててくれて、本当に楽しいライブでした。
ミーティアのイントロで呼び込みというドラマティックな入場が似合うね。個人的に FREEDOMは完璧に履修してはいなかったんだけど大ちゃんアレンジということで、「ブチアゲてっていいですか!」の西川の煽りで始まるのがDAアレンジっていう展開が超ムネアツだった。TMのカバー BEYOND THE TIMEもしっかりDAのキーソロがあって。オルガンのような空気を切り裂く音色が西川のボーカルにも負けない強さ、でもちゃんと宇宙規模の優しさ感じた。
とにかく、かっこいいんだってば、西川の後ろにいる大介が。。。
やっぱ西川と大介、TMRを築いた人たちだわって。二人並んでステージにいたはるか昔しか知らない俺は、自分が触れずに来た年月の長さともたらしたものの大きさに思いを馳せずにいられなかった。そう それこそが俺の $${\textit{BEYOND THE TIME…}}$$
PANDORAは形を決めないでその時に必要な人や音やスタンスをどんどん取り入れていく、究極 PANDORAであることにさえこだわらない、というあり方を志向していると思っていて、まさに OPEN THE BOXはそれを体現したライブだった。昔大介が Icemanを始めたときに口にしていたように、その存在が有機生命体として変化していくような、決まり切ったなにかでなければならないなんてノーセンキュー、そんなワクワクする自由なスタイルがついに叶うようになったのかもしれない。だって PANDORAと TMRとかどう転んだってやっぱ大興奮するやん。
最後に大介の方を向いて「また時間があったらぜひ」と言った西川の言葉に嘘はなくて、その時間の立会人になれたら素敵だなぁとまた一つ叶えたい夢が増えた。
まとめ - Be the one -
Be the one, Be the one
We will…必ず夜明けは 巡ってくるから
Be the light, Be the light
We will… 未来へ繋ごう 過去を労ろう
今を生きよう そして忘れない
奇跡と偶然 太陽と月
Be the one, Be the light
メッセージ 届くよ 刻むよ…
西川と Beverlyのダブルボーカルで最後を締めたのが みんな大好き Be the one。すっかり PANDORA固定メンバーの Beverlyちゃんの歌、またうまくなった??圧倒的な歌唱力とキュートさ、いっそう華やかな歌手になっていて感動した。
PANDORAのことをそのまま歌っているような歌詞、何度聴いても胸が熱くなるメロディ、どのアレンジでも今すぐ飛び出したくなるような、頭を振り乱したくなるような体に訴えかけてくるわかりやすい PANDORAサウンド。この曲があってよかった。
そろそろ長い話を終わりにしよう。
大介がいつか語っていた、僕は真ん中じゃなくていいと。
そして先生も同じく語っていた、本当は演じる側じゃなくてもいいと。
そうは言っても先生裏方だったらきっとさみしいよ、と思うけど、そういうことではなくて、やりたい音楽が求める形を探したいということなんだと思う。そういう似た考え方のふたりがここに PANDORAとしている。
ふたりともキーボーディストだからボーカリストの後ろにいることが必然多く、それはまるで太陽と月のように、世界を照らすエネルギーの塊であるボーカリストの周りで、その声が輝ける空を現すよう音を奏でる。
どちらが後ろに位置しているか前に位置しているか、どちらが中心か、ではなく、お互いに持った武器が違っている。PANDORAの音は、ボーカリストを最大限に輝かせながらオーディエンスをより一層の高みに連れて行く、シンセを駆使するふたりにしか作れない確固たる美しいものとして、堂々深く強く、そして高らかに輝いていた。
太陽が月になる必要などなく、逆もしかり。俺は、月ならばそうあるままに皓々と輝く大介の音とその美学を愛している。
奇跡と偶然、どちらもが PANDORAをこの日の最高のライブにまで連れてきてくれた。だけどそこに至るまでにはDAと先生、参加してくれた西川とBeverly、そしてたくさんのたくさんの人たちの想いの力があったことを強く実感するライブだった。
また箱を開ける日にはその場にいられるように、もう7年も待たなくていいように、35年の大介の思いがまた立ち止まることのないように、その優しさと温かさが日々まっすぐに先生に届いているように。
愛するDAのあんなかっこよくて誇らしげで幸せそうな姿を見た夜に、俺はそう心から願わずにいられない。