まこっちゃん主義、さらに深読む 〜0 game編
麻倉真琴さんについての記事で、0 gameを好きな曲としてあげたんですけど、改めて歌詞読んでみたんですよ、記事書いてから。(先に読め)
もとの記事は引用なしでざくっとした全体的な概論でしたが、より具体的に深読みしすぎ?上等でぃ!な個人的解釈をさらしてみようと思います。
というわけで、とりわけ好きなまこっちゃんの歌詞から、深読みしがいのあるラインナップを選びました。
0 game、A Midsummer Night's Dream、そしてraremetal heartの全3回に分けてお送りします。
ではまず、ゼロゲだ ゼロゲだ〜!であえであぇ〜
▼ ワーズワースのワケ
まずなにはともあれ、0 gameといえばワーズワースである。
デジタルの申し子DAと自然派詩人の斬新なマッチングは、DAヲタの脳内にクエスチョンの嵐をひきおこした。
発売当時、ワーズワースのなにかを読んでインスパイアされた思いをまこっちゃんに伝えて詞にしてもらったみたいなことをDAが語ってらした。
もう2014年のことで記憶があいまいになっており確認したけど、確かにまこっちゃんじゃなくてDAが読んだらしい。
なんの詩だったのか?今となってはわからん。聞いたら教えてくれるだろうか。というか覚えてるのかな。笑
いくつかそれらしき詩があるんで、大学教授の方が書かれたわかりやすい和訳と解説をリンクさせていただきます。興味のある方はご覧くださいな
Lines Written in Early Spring(和訳)
DAいわく、ワーズワースにはマイナスからのリカバリや現状脱却、新しく希望を探す気持ちをインスパイアされたと。確かにそういう気持ちを感じられる作品であります。
ところで、作品自体に感動するか、アーティストを含めて好きになるか、その違いはヲタクの皆様ご自身が一番よくおわかりだろう。作品が好きだからってアーティストも好きになるとは限らんが、そのアーティストじゃないとその作品は生まれないのは間違いない。
DAが触れたのはおそらくワーズワースの詩であって、彼自身のWikiでもないし研究論文でもないだろう。つまり作者の人となりなんぞは知ったこっちゃないと思われる。
だけどその詩を書いたのは、鳥を愛し花を愛し、ず〜っと平和に包まれて生きたハピネス森の妖精さんというわけではない。
幼くして親と別れ、恋人や娘とも会えず、妹の並々ならぬある意味きょうだいの垣根を逸した献身的愛情にときに人の道を悩み、しかし支えられ、孤独で友情には不器用、いわゆる芸術家らしい破天荒で尖った人生でもない、どこかトホホ感さえ感じてしまうそんな人なのだ。(あくまで個人的印象です)
ワーズワースが自然を通じて人の生きる喜びや感情を描き出した、その作品は作品自体として確かに大変すばらしいけども、それを生み出したアーティスト自身が、弱さや悲しみの中から再起したり悩みながら魂の行き先を探して生きた 0 game的世界観にとてもマッチする人であったがゆえの作品である。なるべくしてこれだけのインスピレーションを与えることとなったのだろう。
アーティストというのは誰しも弱さや悩み、影がなきゃ作品なんか生み出せない、ワーズワースだってそのひとりだって言ってしまえばそれまでだ。
ただ、猛烈すぎる人生を送ったことで有名だとか、想像を絶するような過酷さだとか、そりゃ天才ってそういうもんだよね〜的常世とかけ離れたスケールのセンセーショナルさではなく、少しかなしみをたたえた人生から空気を探して水面をめがけるような詩を生み出す人、言ってしまえば凡人にもかろうじて理解できるタイプの悲しみを抱えた人の作品に感銘を受ける。2014年ごろならそんな時代の空気であったし、2020年の今でさえもそれは続いていると思います。
▼√fantasy α glory を解く
√fantasy α glory 過ぎ去った時を
波の奥に 眠る力に変えていく
ここ、とても好きなところなんですが、
どういう意味です??
まず数学の復習からだ。
√とは、二乗してその数になる数、のこと。
俺は飛ぶ虫の次に数学が苦手なのでこれ以上詳しくわからないが、たとえば√25=5か-5、ということだ。プラス(5×5)とマイナス((-5)×(-5))、どちらも√25の解として成立します。
つまり√fantasyってのは、
二乗したらfantasyになるなにか
ってことになる。それは0のことではない。(なお√0=0である)
同じものを探し集めてきて、2つかければfantasyになる。
数学的にはまったく同じ数をふたつかけ合わせるのが二乗ということだろうが、なんせこちとら、解がfantasyなのだ。数学的正確さにとらわれる必要はビタイチない。
誰かの愛と俺の愛でもいい。なんなら夢と希望でもいい。涙と祈りでもいい。それじゃ全然二乗じゃねーじゃんと思われるかもしれないが、2つ集めて√fantasyになりえるなにかを探す行為が大事なのだ。
そして思い出してほしい、√にはプラスとマイナス、両方の解があるということ。前向きなプラスの思いばかりを見つけられなくても、マイナスからfantasyにたどりつける可能性がちゃんと用意されている。
そして控える α glory。こっちがよりわからない。
我が結論を言いますと、これはglory座の一番明るい星です。
はい。わかってます。聞こえております。順に説明します。
天文学で、各星座の中にある星を明るいほうから順番に、α星、β星、γ星(アルファ星、ベータ星、ガンマ星)というふうに呼ぶ。
たとえば、あのアンタレスは、さそり座の中で一番明るい星。さそり座のα星なのです。
そしてこのアンタレス、つまりさそり座のα星のことをどう表記するかというと、
α Scorpii
となるんですね。Scorpiiというのがさそり座のこと。αのあとに星座名をつけます。こと座のα星だったら α Lyrae、はくちょう座だったら α Cygniのように。もうわかりましたね?
つまり α glory はこの表示形式に照らせば gloryという星座の中で一番明るい星と読める。証明おわり
いやね、もちろんgloryなんて名前の星座は正式に発見されてません。似たようなものもありません。
glory座の輝きを夜空に探せるのは...我々DAヲタだけなのでしょう。
▼ 0 gameまとめ
まるで壊れてしまったように思える「過ぎ去った時」の中から、「√fantasy」=現実にとらわれない夢想へと換える何かを探し集め、「α glory」=散らばる栄光の輝きの中から一番ひかる大切なものを見つけて、「波の奥に眠る力に変えていく」
消えてしまったなにか、どこかへ行ってしまったままの人たち、それは自分の思い出に眠る存在でもいいし、知らないはずの誰かでもかまわない。彼らに決して消えない思いを寄せ、ときに道をたずねながら、自分の光を取り戻す日々をまた始める。
寄り添うやさしさと強さ。忘れない未来。背伸びしないけど後ろばかりも見ない。低めのトーンで始まって、最後には思いがぐぐっとジャッキアップされているような、まこっちゃんの良さ100%の歌詞である。
DAの天使ボーカルがこれほどにぴったりな曲もそうそうないしさ。声で始まるしな。
考えるほどに、改めて自分の中にあるいろいろな愛が炸裂する、それが 0 gameなのであります。