「access TOUR 2024 immersive arc」祝!本編完走☆
immersive arcツアーは本日時点でまだ年末の追加公演が残っているが、ツアー本編を終えたところで、この冬もAXSと感じた思いをまとめておきたい。
飛び立ったのは音の宇宙、そこに生きるのは我々人間
すでに初日の感想でも「宇宙っぽさ」を強く感じたことを書き残しているが、この冬AXSの音の宇宙は、ツアーを通じて最初から最後までサイバーでギャラクシー。セトリもステージセットも全部が眩しい。光と音の宇宙に完全イマーシブ。最高。
SFっぽさをテーマに押し出しながらも、不思議なことに、強く同時に感じたのは「人間の営み」「人が生きるということ」のような、かなり生身感のある身近で等身大な思いだった。
BEAT PLANET、JULIETといったスペイシーな選曲と、バラードコーナーやAXS定番曲など、いくつかの異なる流れがそれぞれとてもうまく潮目を作ってくれていたように思う。
特に、Star Tribal ~ アオイナミ ~ grand muse、という壮大なバラードゾーンでは、確かにそこには主人公がいて、そこに人の一生を切り取った幾年かの流れを見出すことができるのだが、このバラードゾーンこそがまるで一編の映画を見たかのような満足感をこのツアーに刻むのに必要不可欠だったように思う。宇宙を描く壮大な作品に織り込まれたヒューマンドラマが、より一層宇宙空間の孤独、切なさや未知のものへの畏敬、そして遠大な普遍性を際立たせるように。
とほうもない地球外空間でのスペクタクルを描きながらも、宇宙船の窓を覗けばそこには紛れもないひとりの生身の人間がいる。宇宙にいながら惑星でも太陽でもなく小さな"人の心"を静かに見つめるような体験。たとえ宇宙にいたとしても"人間であること"に変わりはなく、非日常の世界でも突き詰めれば人はただ人として生きている。それぞれ大切な思いを胸に"人間の生"を過ごしていくのは、どこにいても同じであり、またその抱いた思いはどこにいて何をして生きていようが変わらず大切なのだという真理が描き出されるよう。
ライブとしての定番曲、激しい曲、バラード、新旧曲、といった需要を完全に満たしつつこのドラマの作り出し方。同じ曲でも流れを変えれば描き出されるものがどんどん豊かで奥深くなっていくことに驚きを隠せない。
マッシュアップで描く未来へのイマーシブ
今回もマッシュアップは最高だったわけだが、いったん流れを整理させてほしい。
初日のBEAT PLANET × JULIET→GLAMLOIDの原曲、からの3公演目ではBEAT PLANETが原曲に戻り、代わりにGLAMLOIDがMISTYとのマッシュアップに変化。そしてふたたびBEAT PLANET × JULIETのパターンに戻ったかと思いきや、GLAMLOIDになんとELECTLIC☆NIGHT風のフレーズを織り交ぜるアレンジでツアー本編終了という変化球。
決して「エレナイとGLAMLOIDのマッシュアップ」というわけではなくて、歌自体はずっとGLAMLOIDのまま、ただエレナイのフレーズが思わせぶりに手弾きで登場する。こういうタイプのマッシュアップもあるんです??
で、俺は終わってみて、ここのエレナイこそがめっちゃ鍵なのではと感じた。
つまり「移り変わるマッシュアップ」という構想で、AXSとアククラの時空間へのイマーシブな旅の流れをメタ的に描いてるのでは、ということ。
セトリが変化し、戻り、進み、そして最後に次の春への没入の予感を感じさせて終わる流れ。めちゃくちゃ美しくないですか?あれだけのマッシュアップ七変化をやってしまうふたりの技量なくしてはとても実現できない、とてもAXSらしい未来へのいざない方ではないか。
毎公演ごとに様相を変えていくマッシュアップという新生命体みたいなものを目の当たりにして、AXSを、DAとヒロの音の世界を愛してイマーシブする喜びに包まれた実感が半端なかった。こんなんどこでも見れんだろ。
今回のツアーで、曲や音に奥行きがあるとかいうレベルじゃなく、もはやAXSのマッシュアップという存在、概念自体が3次元の領域に達した感ある。次はどうなってしまうんだ。
DAソロでも頂点、AXSでも頂点、つまりもうずっと頂点
今回も絶対に外せないのがそう!DAソロ。クラシック的名曲+DAの十八番のひとつであるbalearicという構成を軸に、毎回異なる選曲で魅せまくってくれたわけだが。
正直クラシック部分の選曲に意図があるかどうかはわからん。曲の年代もバラバラだし、共通テーマがあるというわけでもなさそうで、有識者の方がなんらかの分析をされてるかもしれないが俺はそこは深堀りできそうにない。
ただ、オルガンっぽさのあるぶっといシンセリードで、神聖荘厳かつ強大な圧のクラシックで静々とスタートする、それが少しずつ1音単位で姿を変えてゆき、後戻りできないほどバラバラになっていく音が最終的には完璧にbalearicに集約されるあの流れがなんともいえず神々しくて、孤高のかっこよさと加速度的に駆け上がる狂気性に毎回本当に圧倒されてしまった。
中央で円弧を描くレーザーで、DAの奏でる音が一つ一つ壊されていく感覚といおうか。不穏で重くて、体のそこからえぐり返されるような歪んだ音が、レーザービームを受けたミラーのように、キラリと表の世界に翻っていくのを見る不思議な感覚。 そう、見えるはずのない音が照明の力で視覚化されている。
音と光が表裏一体に輝き、影を落とし、高く低く、消えては現れ、アークの形をしたスコープの中心にいるDAから絶え間なくこちらに向かって飛んでくる。人には見えぬ高速で音のオセロを遊ぶ大いなる知能でも従えているかのように、回転する光が古のクラシック曲の音を少しずつ裏返し、形を変えさせていき、最終的に今のDAを表すbalearicになって爆発四散雲散霧消という死ぬほどイマーシブな体験。どこからか引っ張り出してきた古い巻物とでもいうような、クラシカルで重く儀式的な音が気づいたら最強ビッカビカのbalearicに変化していく様は、毎回踊るのも忘れてあごが外れるほど口がポカーンなった。
まとめ:宇宙をたゆたう幸せのAXS旅団、永遠に
どうやら今回のツアーではAXSさんは曲と音のパワーで時空間を自由に行き来することができたようだ。いっしょにそのイマーシブな旅に連れて行ってもらった身としては、なんと楽しく、壮大で、幸せな1ヶ月だったのだろう。思い出しても夢じゃねえかと思う。ふつうに生きていては決して日常で経験することのない、VRじゃないけどまさに感覚としてはそれに近いことを音とセトリ、ステージセットの合せ技で見事にやってしまっている。これこそ、ライブで楽しみたい最高な空間そのものだ。
ウルトラマンアークというスペシャルなコンテンツのパワーもあり、アククラのハピネス期待レベルもだいぶ高いツアーだったと思うが、その予想を軽く超えて、もっともっとAXSを好きになれた。
「音楽は聴かなくても生きていけるけど、僕らの曲を口ずさんでくれたら嬉しい、こうしてaccessにアクセスしにきてくれてありがとう」「みんなとのリアルな愛を感じる、これを手放したくないし、みんなにもそう思ってほしい」
そんなMCでの言葉にも本当にAXSふたりのピュアで偽りない心を感じた。こんな言葉を投げかけてもらえるファンでいられて、しかも最高のライブを見せてもらえて、もうこれ以上の幸せが想像つかないが、きっと来年の春も、いや年末の追加公演もすごいものを届けてくれるに決まっている。そう心から信じられる人たちを応援できる現在に、あらためて感謝できる幸せなツアーだった。
また一緒に新しい音の旅に出かけられる日を、心待ちにしています!