ライブ行けない問題と向き合う

2020年もはや10月となった。

めいっぱいひきこもりまくっている俺としては、マジで時が止まったままの僕のこころをバスどころか徒歩のジジイにさえ追い越されそうな日々のあゆみである。

先月、宇都宮隆兄様のツアーが開始。今月からはaccessが恒例のホールツアー。情報が出た春先にはまったく世の中が先行き不透明で、ライブ開催自体が半信半疑だったように思うが、現在のところ両方無事にすすんでいるようで、何よりである。

俺が最後にDAのライブに行ったのは今年の2月にあった部活だ。この間8ヶ月を長いとみるか短いとみるかは無意味な問いかけなのでしない。

さぁ、これを読んでくださっている方は、2つに分かれるはずだ。

再開したライブに行き始めた人。
そして、そうでない人だ。

この記事は、そうでない人の立場から書いている。

この時期しか書けない思いだと自分でわかっているので、残しておきたい。
「行けない」で今このときも苦しんでいる人がいたら、少しでも気晴らしになると大変うれしいです。

ライブに「行けない」ということ

ご存知のかたもいるかもしれないが現在わたくし、海外在住で日本から飛行機で片道14時間かかるところに住んでいる。それをさしひいても、これまでわりとライブに行ってた方じゃなかろうか。

3ヶ月に一度はライブを見に日本に帰ってたし、ツアー日程の詰まった濃いところを選んで遠征、日本滞在中はめいっぱいライブに使った。ときには一ヶ月中に2回日本と往復したこともあった。すべてはライブのため、ステージのDAを見るためだけであった。日本に住んでいたころはもっと多く、最多で年60本近くライブに通った。

ちなみにただのDAヲタなので、DAがいるとこにしか行かない。それだけでこの数である。(あとはどっとさん、DAプロデュース系に時々行くぐらい)通う方も通う方だけども、やる方もやる方で大変すごい。好き。

このように、俺はなにを差し置いても現場に行きたいタイプのヲタクであり、30代の人生をライブに行くこと中心に組み立ててきたので、それが8ヶ月も空白があいて次のライブの予定がひとつもないのはやっぱり異常事態なんである。

ただ「行けない」と「行かない」の違いは明確にあって、これまでだって当然、行かないライブはあった。事情は様々だと思うが、万難を排して無理をするだけがヲタクじゃない。ときには、「行かない」選択をするのも、ヲタクを続けるためには必要なことである。

ツアーのスケジュールを吟味し、自分の気持ちと相談し、財布や上司や決算日や締切やご家族、その他数多の条件を比較検討し、この日に行く、その代わりこの日は行かない、という決定をくだすわけだ。

納得した上でいくつかのライブに行かないことは、別に俺にとってはそんなに不幸なことではない。自分で決めたのだからそれでいいのである。次に自分が行くライブのことを考えればいいのである。逆に言ったら、ここには行かないと死ぬなってわかるようなライブには、行けばいいのだ。万難排して。

しかし「行けない」のは、しんどい。

自分の納得できない、不条理な、手の届かない大きな情勢のために、ライブに行けない。DAの顔が見れないことがつらいのか、思い通りにならないことがつらいのか、正直わからない。ただただ、納得のうえ行かないのではなく「行けない」ことは、本当に心をいためつける。

海外遠征の事情はというと、海外から日本に戻る事自体は、実は今も不可能ではない。2020年10月時点では到着してからは14日間の隔離が義務で、その間は公共交通機関も使えない。つまりマネーの力と誰もいない部屋と14日座り続けられる頑丈な尻、これらが用意できれば、飛行機は飛んでいるから帰れるのである。

しかし恐ろしいのはライブに行って万が一なにかあったとしたらだ。集団感染者の中に、推し会いたさに国境を越えてムチャな遠征した海外ヲタク(39)がいるとバレたら、ヤフコメをこれでもかとにぎわせることになってしまう。文字通り国を挙げて我らの大切な世界が叩かれるのだ。地獄どころじゃない。俺には耐えられなかった。

こうして気持ちに折り合いのつかないまま日本ではツアー初日を迎え、自分は次いつになるかわからない、という状態におかれること。誰かは行けるのに自分は行けないと感じること。DAヲタに本腰入れてから10年近く、そして海外に住み始めてから2年、初めての経験であった。これほどここが、自分が、日本から遠いと感じたことはなかった。

行けないときにどうするか

はっきり言って、現在この気持ちの渦中ど真ん中、うずの真っ只中、うずしおだったら中心部すぎて回転しないぐらいの真ん中もいいところであるので、これといった答えはまだ持たない。

ただ、なんとなくこれは効きそうだ、というものをいくつか見つけつつあるのでメモしていきたい。

・DA曲を聴く

いやドMかよ。と思う方もいらっしゃるだろうが、案外やっぱり曲を聴くのがいい。ただし聴く曲は慎重に選ぶ。自分がふられたときに恋愛映画でガン泣きしてスッキリできるメンタル剛の者は、AXSのツアーに行けない時にAXSの曲を聴きまくるのがよかろう。

個人的にはPANDORAがまじでオススメですね。
DAソロもいいんだけど、なんか部活行きたくなってまた違う涙が出ちゃいそうだからさ。PANDORAは本当にいい。俺DA好きだわ〜〜〜という気持ちだけが気持ちいいリズムにあわせて増幅していく。PANDORAオンリーで流していると、Be The Oneの歌詞やShining Starの綺羅星のメロディに、己の視界に前向きな涙があふれてきてびっくりしたりする。Aerodynamicsの深遠な世界はあのビルボードの日を思い出すようだし、Be The Oneがめちゃくちゃたくさん流れるところもいい。PANDORAが戻ってきたらきっと世界展開しちゃってすごいだろうなぁなんて夢をみたりする。

今のまるで救いのなさそうな日々に、在りし日の師弟の、美しく眩しかった尊い短い思い出を重ねるのはずるいのかもしれないが、こんなときぐらいずるくたっていいじゃないか。

会いたい気持ちさえ忘れたほうが、楽になるのでは、と思ってしまうようなときには、DAの音をなにかほんの少しでもいいから聴いてみてください。

・体を動かす

ありきたりだが、それなりに運動するのは気持ちを保つのに重要だ。この世の果てのようにつらく感じるとき、自分が世界で一番かなしく思えるとき、別に全然そうじゃないってわかってるんだけど、でも、というとき、そんなシケたこと考えんな!とは言わない。せめてV字バランスをしながらそれを考えたほうがいい。

体が元気じゃないと、次せっかくDAに会えるチャンスがきたときに悲しい思いをすることになる。それだけはどんな世の中でもゆるぎないように思う。

・趣味をみつける

本当にありがちなことしか言ってないが、ありがちなことぐらいしか試せないんだからしょうがない。俺はステイホームになってからピアノを始めた。塗り絵とかプログラミングとか米に字を書くとかなんかあるんじゃない?

うまかろうが下手かろうが、楽しいなと思えることをやるといい。自分にこんな人間的な一面があったのかと発見できて精神衛生上とてもよい。シンプルに時間もちょうどよく過ぎていく。なんの目的もなく、別に誰に見せるでもなく、自分のためのコトをしたらよいように思う。

・長い目でみる

これらをすべて毎日実践していても、あぁまた出口がない日が始まってしまうという気持ちが毎朝巡ってくる。無力、無為、忘却、そういった言葉が連想ゲームのように浮かんでくる。ライブに行けないことが自分の全部を無価値にしてしまったようにさえ感じる。重い。重いよ。

自分の行けないところでも、DAが笑っていて音楽をしていてくれるならそれだけで幸せの極みです合掌とは未熟ゆえなれない。

さらに、日本にいないと、テレビやラジオ、ニコ生の一部は日本の人とは同じように楽しむことはできない。取り残されたような気持ちになろうと思えばいくらでも落ちることができる環境にある。

でもやっぱりいじけて腐って死んだように次のDAチャンスを待ちたくはない。ヲタクに賭けたものが大きいから、もらったものも大きい。そのぶんまじめにしんどくなっても仕方がない。たかがライブに行けないだけでバカかよ〜と自分を、ヲタクマインドを卑下することはしない。かならず夜明けは巡ってくるからって今こそ歌うときだ。

ライブに行けないだけで、別に他のことまでも終わっちゃいないんだってことにも気づいたりする。ヲタクにとって、ライブに行けないことはどうでもいいことなんかじゃないけれど、ヲタクじゃなくなるわけじゃないことを忘れてはいけない。

・友達に甘える

ライブに行った友達に連絡を取るのも、正直勇気がいる。DAがどんな様子だったか知りたくてたまらないけれど、よかったねぇよかったねぇと言える心の支度ができない。それはやっぱり、そのライブを、ツアーを諦めて人の話と割り切ることに他ならないからだ。そんな自分が不安なうちは、無理にいそいでアップデートする必要はない。あとから追いつけばいいんじゃないでしょうか。矛盾するけど、どうせ行ってないんだからその話いつ聞いても一緒だからね。

もし、そんな行けないやつのかわいそうさを思いやってくれる優しい友人がいるなら、あなたはとても恵まれたヲタクだと思って、優しさに甘えたらいいと思う。そのかわり行った人の楽しさに水を指すような邪魔をしてはいけない。気を遣わせるかもしれないけど、ライブ行ったんだからそのぐらいはちょっと我慢してくれ。ワハハ。

これで終わるもんですか

ライブに行けるようになった人には行けるようになった人の、行けない人には行けない人の、それぞれの生活と人生と思いがある。行けないでいる限り、この気持ちは自分をいつまでもおしつぶしてしまいそうだけども、これが終わりじゃないことを信じて待ちませんか。どうか一緒に。

こんなご時世だからといっても、結局ライブが行われる限りは、人が来てくれることがすべてであって、行けないもんは行けないもんに変わりはないのだろうなぁということも、わかってきている。だから、今行けないのは仕方ないと自分をゆるすのはいいとして、行けない人もいるんですよムキーッという方向には気持ちを持って行かないことが、自分を守ることにつながると思う。

なんで来ない!と言われたら、今行けねーんだよと笑えるだろうか。泣いてしまうだろうか。

明日の朝ももしかしたら、あぁまだライブに行けない日に俺はひとりだ、と感じて目が覚めるかもしれない。もうDAのことを忘れてしまいたいと思うかもしれない。

そんなときは少しだけ、違う曲を聴くのもいいだろう。
僕はここで生きてゆける、ってね。

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