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AI時代にUXリサーチャーがやるべきこと、やらなくてもいいこと
こんにちは!viviON UXリサーチチームの古川です。
皆さんはAI使ってますか?
昨今のビジネストレンドとして名高い(?)AIですが、その台頭により既存のあらゆる仕事が変化していると思います。UXリサーチも例にもれず、AIで変わる部分があるはずです。そんな思いで、今回の記事を書いてみました。
AIを使いこなしたUXリサーチがしたい人は是非読んでみてください。
世はまさに、大AI時代
さて、冒頭にも書きましたがAIが日常的に活用されるようになり、UXリサーチもその影響を受けています。
下の具体例にも出てきますが、ちょっとしたサマリや抽象化の作業だったら「自分でやるよりAIのほうが早くて良いものが出るんじゃないか?」と思ったり。
そうすると、段々と「AIじゃなくて、UXリサーチャーがいる価値とは?私って何?」的なことも考えるようになっちゃったりしますね。
なので、それもChatGPTに相談してみました。
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AIが得意とすること:リサーチの効率化
まず教えてくれたのは、AIが得意とすることです。
つまり、この領域はUXリサーチャーだけで完結するよりも、AIを活用したほうがクオリティが高くなりやすいわけです。
例1: データの分析と要約
曰く、複雑な行動データからでも、その傾向を短時間で発見するといった能力はAIに軍配があがるようです。例えば、ウェブ解析ツールでユーザー離脱ポイントを特定できるということです。
しかし、今のところウェブ解析にAIが加わった事例やツールはまだ古川の周りでは見られていません。ただ、確かにAIはデータから要約したり傾向を出すのは早く、得意な印象です。実際にインタビューの発話録を要約したり、特定の観点で傾向を分析してもらったことはあります。一瞬でできてしまうので、便利ですね。
これがウェブ解析の現場でも活用されるなら、ぜひ見てみたいです。今後に期待ですね。
例2: 感情トーンの自動分析
ユーザーのレビューやコメントを解析し、ポジティブ/ネガティブの割合を視覚化するケースは得意とのことです。
先述したようにインタビューの発話録を解析してもらったことはあります。どのようなものをポジティブととらえるか、その定義まで指定できればその割合を出すこともできそうですね。
発話録や自由記述などの定性的なデータを、一定の基準でラベリングして、結果を定量的なものに加工することはあります。アンケートの分析でよく出てくる工程です。
確かにこれはAIがやってくれたら、かなり早くできそう。
エクセルなどの表計算ツールをAIが読み取れれば、アンケートのローデータが使えるから良いのにな。(すでにできます?)
例3: 単純な作業の自動化
インタビュー文字起こしツールや調査データのサマリー作成の利用とのことです。
これこそ既にやってもらったものですね。
最近、文字起こしやサマリー作成にAIを積極活用している外部のUXリサーチャーと話しましたが、全然作業スピードが変わってくるとのこと。実際に活用したものも見せてもらいましたが、発話録として問題なく文章になっていてクオリティが高かったですね。
その場にはAIを全く活用していない人もいましたが、見て驚いていました。食わず嫌いでAI使っていない人は、まず試してみることや他の人の使い方を見てみたほうが良いかもしれません。
リサーチャーが注力すべきこと:AIにできない領域
ChatGPTはAIではなくUXリサーチャーがやるべきことも教えてくれました。
気を使っているのかな?古川のChatGPTはいつもやさしい。
例1: ユーザーの文脈を読む
データだけでは捉えられない、ユーザーの背景や行動の理由を深く理解することはUXリサーチャーならではだそうです。
良くも悪くも、データとして表現されなかったものはAIは読み取る術がない、ということでしょうか?であればちゃんと読み取らせるように用意する必要がありますね。
ChatGPTが流行ってから「どんなプロンプトが良いか」という議論が飛び交いましたが、良いプロンプトに共通するのはこの文脈に相当するものがプロンプト内で指定されていることだと思います。目的や背景といった、問を解決するための文脈整理力はAI活用において更に重要になっているのかもしれません。
例2: データの解釈とストーリーテリング
数字だけでは伝わらないユーザーの葛藤や思考を、プロダクト開発の具体的な方向性に翻訳する、ということらしいです。
何か急に難しいことを言い出した気もします。がしかし、本来モノづくりというのは難しいものですよね。解釈もストーリーテリングも、AI台頭によって重要になったというより、従来から重要だった能力かもしれません。
ただ、ストーリーテリングの仕方はAIでひな形くらいはできるかもしれません。以前、生成AIを活用して小説を書くという遊びを見たことがあります。小説が書けるということは人の心を動かせるストーリーが描けるということ。ユーザーのインサイト活用におけるストーリーテリングでも、もしかしたらAIが台本を書いてくれるかも?
例3: 倫理的判断
AIツールの偏りや過剰なデータ収集を防ぎ、ユーザーの信頼を守る、とのこと。
どういうことでしょう?書いてあることだけだと分からないですね。
ただ、倫理観というものをAIに期待するのは間違っているのかもと思い、なるほどな~と一人で納得していました。
もちろん倫理観の定義や基準を指示すればAIでも判断はできる部分はあるとは思います。しかし、ではその定義や基準は誰が考えるかというと、やっぱり人ですしね。最終的に何を良しとするかは、主体となっている人達が決めるべきことです。出来る出来ないの問題ではなく、するべきではないという解釈をしました。
具体的な事柄は伏せますが、DLsiteは作品を扱い、人の趣味嗜好を扱い、そして著作に関する権利も扱っています。倫理観というのは大事にしたいなと思いました。
AIとリサーチャーの共存に向けて
上記を簡単に整理すると、下記のイメージでしょうか。
AI:データ分析におけるスピードと精度を底上げする
リサーチャー:文脈を読み解くことや、結果の活用方法を考える
AIの台頭によりUXリサーチは効率化の恩恵を受けますが、その一方で文脈などの抽象的で捉えがたい部分に向き合う重要性が高まっていくのかもしれません。他にも、「ストーリーテリング」といったキーワードが浮かび上がってきましたね。
こういった能力を向上させていくためには、もしかしたらUXデザインの領域を超えて学びを得ていく姿勢も大事かもしれないと感じました。ストーリーテリングはアートな領域も関係しそうです。
まとめ:AI時代のUXリサーチャーになる
一応、まだUXリサーチャーの存在価値は残るという結論になりそうですね。AIという新しい風を受けて、よりプロダクトとチームを前進させるリサーチャーになりたいと思いました。
皆さんはどのようにAIを活用していきますか?これを機に考えてみてはいかがでしょうか。
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