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貴婦人のコルヴェイユ|アンヴァンテール|或る貴婦人の日々の暮らしとアンティーク品

 100年前の貴婦人の或る一日に思いを馳せて。美しい物を愛する貴婦人の生活を彩る、優美なお品をフランスで集めて参りました。

 創業1790年の名高いSarreguemines-サルグミンヌ窯より、美しくも珍奇な朝の身支度用品をご紹介します。

 繊細なブルー色が印象的なこちらの器、19世紀末頃の体を清めるスポンジを置く水切り器で、器と水切りが二段の設えとなっているのですが、ふと、水切りの中心の穴を覗くと・・・なんと美しい少女がこちらを覗いているではありませんか。

 ニーチェの「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ」という有名過ぎる言葉がありますが、深淵を覗いたら、本当に深淵がこちらを覗いている気分になる、なんとも珍奇な水切り器なんです。

 底にはSarreguemines U&Cと、シリーズ名のPARISIAの文字が。

 U&Cはサルグミンヌの古い時代のマークで、また、このPARISIAは高値で取引きされているシリーズとなります。同シリーズにはピシェやベイスンなどがありますが、この水切り付きタイプの水切り器は、まず見かけないPARISIAシリーズの中でもさらに希少なお品です。

 1904年にパリで創業した香水店CARON−キャロンより、まるで魔法のスティックのようなモーヴ色パフ。こちらアンティーク品ではなく、現代品なのですが、ヴァンヴ蚤の市で見つけ一目惚れしてしまい仕入れて参りました。

 ただ、キャロンのパフについて調べてみても、この棒付きタイプのパフの情報がなかなか出てこないので、現行品ではなく販売終了したお品かも(?)しれません。ふわふわフェザーの菫色パフには菫色サテンリボンが飾られていて、そっと手に取れば、心もふわふわな気持ちに。

 パフはキャロンのオリジナルの箱に入っているのですが、私の方で、蓋側に古いチュールレースの端切れ、アンティークのベルトバックル、懐中時計、マザーオブパールのカジノチップを飾り、パフの傍にはパンジーのアンティーククロモスを添えてみました。

 貴婦人の鏡台を飾る美しき小間物を集めたようなセットでお届けいたします。

 フランスの蚤の市での私の秘かな楽しみの一つが、素敵な表紙デザインの古いフランス文学本に出合うことなのですが、今回の嬉しい出会いは、Les Fleurs du mal。1931年のボードレール『悪の華』本です。

 ボードレールが生まれたのが1821年ですので、ちょうど110年後に発行された本となりますね。

 手のひらサイズの判型で、表紙にはモーヴ色を背景に青ユリが、裏表紙には青アザミが妖しく咲いています。

 コルヴェイユに美しいものだけを集めて、美と知で満たされた日々の暮らしを。フランスで集めて参りました美しいお品たち、どうぞお迎え頂けましたら心より光栄でございます。

アンヴァンテール|フランスアンティーク&ブロカント店 →HP
遠い昔の誰かの記憶を感じる物語性のある佇まいに魅了され、2008年より福岡とパリを行ったり来たりしながらアンティークを集めています。



店舗名|アンヴァンテール
商品名|19世紀末頃*深淵の少女の為の水切り器

サイズ|直径約18cm
端・側面にヘアライン。貫入、トランスファーの模様のズレ、極小さな陶磁器の付着物、経年の小さなシミあります。
2024年(新入荷)
*オンラインショップに詳細画像あり

店舗名|アンヴァンテール
商品名|キャロンのモーヴ色パフと小物セット

紙箱のサイズ|縦:約27cm強/横:約9.5cm
紙箱に汚れ。懐中時計はのカバーガラスが無くなっており、また作動はしません。
2024年(新入荷)

店舗名|アンヴァンテール
商品名|1931年ボードレールの『悪の華』本

サイズ|縦10.5cm強/横8.5cm
経年の変色・スレ・剥げあります。
2024年(新入荷)

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