漫画瓜を破るの将棋界描写がどうしても納得できない件について

瓜を破るという漫画が好きだ。可愛らしいキャラクタが高齢処女や高齢動童貞だったりする。絵柄も ストーリーもめちゃくちゃ好きで、毎巻楽しみにしている。それでも、この漫画には滅茶苦茶大きな瑕疵があって、その点だけはなんだかなーーーーって思っているので、文句をつけるnoteを書くことにした。この作品のキズは、「将棋、というか奨励会描写が死ぬほど雑」ってことだ。
主人公の恋愛相手、29歳の鍵谷は元奨励会員という過去を持つ。元奨と言われる彼らを扱ったフィクションはかなりある。題材にしやすいからだ。
しかし、オレは瓜を破るより元奨の扱いに疑問を感じてしまう作品を他に知らない。勿論、最低限の下調べはしている。奨励会は21歳までに初段になることができないと(入品と言う)強制退会になるというルールがある。その但し書きは作品に書いてある。だが、問題は鍵谷が初段になったのは19歳の終わりから20歳になったころ、というところにある。鍵谷は酒に口をつけながら、他の奨励会員が21歳を直前に逃げ出したことを心の中で非難したりする。マジでオレはこの描写を見た時にひっくり返ってしまった。将棋の世界は書くまでもないが圧倒的に才能の世界だ。藤井聡太がインターネットで初めて騒がれたのは、彼が初段になった年齢が驚異的に早かったからだし、2014年時には見る将棋ファンの中で彼は注目されていた。20歳で初段は早くない。というか、プロになれるかどうかはかなり怪しい。将棋の世界にいて、20歳で初段になった人間が自分がプロになれるかどうかを疑わないなんてことある? そんなわけがないのだ。で、23歳時、二段で出会ったどーーー考えても藤井聡太みたいなキャラに負けた時に初めて「自分はプロになれないかも…」みたいな描写があるんだけど、これマジでありえねーな、とオレは突っ込んでしまうよね。奨励会で二段に到達できる棋力を持ってる人間が才能の彼我について鈍感すぎる。もしかしたらそんな奨励会員もいるよかもしれな…いや、いねーだろ! 作者が「将棋の子」とか「オール・イン」みたいな元奨について触れたノンフィクシャンを読んでたらこんな描写をするとは思えないんだよな。作者に文句があるわけでも作品にケチをつけたいわけでもない。いや、つけてるな…
本当に好きな作品なのだけど、この部分が雑なのは指摘せざるを得ない。キャラクターの造形に超問題があるし、いつも将棋がこの作品で出てくるたびに「非正規の30だと人間として問題があるから元奨って設定にしたんだろーなーー」って40のバイトおじさんのオレは考えてしまうっていう話だ。死にてえー!


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