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それでも私は種である〜一点の光を見つめる先へ〜

おまえは私を埋めてしまった、ありとあらゆる用意をして。けれどおまえは忘れていた、私が種であることを!
ーダイノス・クリスティアーノポ
ウロスの1978年の詩から


一年に一回の季節がやってきた。
また、人事異動の内示の季節になってきた。

今まで味わったことのない強い感情を持った、
そして持ち続けたことがある出来事の起きた季節でもある。

簡単に1年だけで降格したり、部署替えしたり、行き当たりばったりの人事が続いている。

専門職であろうと、ヒラ社員だろうと、管理職であろうと、その場限りの、その時だけの、つぎはぎ作業が起こる。

その資料となるのが、なんちゃら評価である。

そして、偏見と固定観念、ステレオタイプ、感情によるものによって、大切にしてきた私の生活が一変する。

数字、コマ、物として扱われる。

その季節がやってくる。

数字として人を測るだけのスキルが、どこに存在しているのかは不明だ。

その、絶対な位置にいるのがお気に入りのヒラ社員だ。

かれこれ10年くらいその地位にいる。

おかげで、私の給料も退職金も、年金支給額も低くなった。
未来は、その平社員が電卓で叩いた数字によって決定された。
相当不利な状況は、ヒラ社員が机上で電卓をたたいて作りだした。

陰で操作しているなんちゃら評価によって、あり得ないほどの不利益が生じた。

あー、もういい。本当に嫌だ、嫌で嫌で仕方ない。


あんな奴らに評価されて、その評価がゴミで、何も見ていない。


現場で何が起きているのかなんて全く関係ない。


目の前にいるニコニコしている感じのいいイエスマンだけしか目に入らない。

感じよく目の前にニコニコしている感じの良いやつは、何をしているのか?


何もしていないから、そこに行ってニコニコできるんだ。

何かしていたら、トイレに行く暇すらない。廊下を歩いていても、あのことやそのことをどうしたら良いのか、いつも頭の中はフル回転だ。


ニコニコになんてしていられない。


真剣に取り組めば取り組むほど、結果が出れば出るほど、


その結果が出そうになることを、阻止される。


私が理念に掲げて長年やってきたのは、私の雇い主は会社の偉い人ではなく、生まれたばかりの赤ちゃんから今日亡くなる方まで全ての住民だ、その住民にとってどうか?を常に問いながら必要に応え、その一人ひとりの生活が少しでも良くなり、その人が少しでもその人らしくいられるようにと思ってやってきた。

しかし、現在は、個人の情熱や使命感を持つ職員が散見されるが、そのことよりも、「組織としてどうか」をまず考えなければ評価できないと言っている。


つまり、方向性が全く違うものになった。


いつからだろうか。


前はそんなことはなかった。


いつからこんなことになったのだろうか。


そんなこと考えても仕方がない。


だけど、これは私のいる組織に限ったことではないと感じている。


先が霧がかって、見えない。


何でもその場限りだ。


なんの責任も生じない。


明日を夢見ることも、


明日を生きることも、

まるでわざと閉ざされているかのようだ。


しかし、忘れてはならない。


ここで、この言葉を引用したい。

ダイノス・クリスティアーノポウロスの1978年の詩から生まれたー有名なスローガン

「おまえは私を埋めてしまった、ありとあらゆる用意をして。けれどおまえは忘れていた、私が種であることを!」

引用 ケア・コレクティヴ著 岡野八代ほか訳 『ケア宣言 相互依存の政治へ』大月書店 2022年、146頁 


私はこれを、以下のように解釈している。

種は帰属するものではなく、再生でもない。
全く新しい可能性と変化とともに、過去と現在を断絶するものでもない。
過去の反省からどうすれば良いのかを考え、現在やるべきことも未来にどうなりたいのかも知っている。
暗い暗闇のなかで、何年もの時間を費やして、誰からも忘れられているからこその知識と情報を得ることができた。
それらは、過去も現在もそして未来をも全くかけはなれた自分を創造するのではなく、自分が自分にあった私をどう生きていきたいか芽として芽吹いていくのである。

そして、枝葉となり、過去とつなぎ未来を創る。

机上で電卓を叩いていたやつには全く無縁の世界にあるだろう。

いつだろう。

この強い感情がなくなるのは。

目を背けて見ないようにしてきた。

見るとこのようになる。

しかし、これは忘れてはならないものかもしれない。

忘れても良い時には自然になくなるだろう。

だから、いまは土の中で、

一点の光を見つめる。

一点の光は私をあるべき場所に芽を息吹かせてくれるだろうから。


私が今感じている光が、少しでも同じように苦しんでいる誰かに届き、その人が自分の道を歩む力となることを願っています。

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