東京で出会う、小さな人種差別について
私の夫は、オランダ人だ。
一目でガイジンとわかる見た目をしている。
日本語は少しわかるが、あまり話せない。
彼と彼の家族から得る印象だけれども、オランダ人はとても生真面目な国民だ。ルールを破るようなことはしない。規律を重んじる。列には並ぶ。一度、急いでいた時に私がエスカレーターの列に途中で割って入ったら、後から彼にかなり怒られた(ごめんなさい)。
そんな彼と街を歩くことは、「外国人」と街を歩くことでもある。そんな大袈裟にいうようなことでもないけど。でも言葉がわからないので、色んな不便も起こったりする。
大抵の日常は平和に過ごしていくけれど、時々モヤモヤする事象に遭遇することもある。
先日、スーパーで買い物していたときのこと。
夕方でとても混雑していて、セルフレジの周りには人溜りができていた。
私たちは、自分たちのそばにできていた近かっ列らしきものに並んだ。ただ、セルフレジコーナーの入り口には店員さんが立っていて、張り上げる声を聞くとどうやら私たちが並んでいたのは正規の列ではなく、反対側に伸びている正規の列に並び直さなければいけないらしかった。
面倒だなぁと思いつつも、彼に店員のアナウンスの内容を伝え、移動しようとしたとき。
男性の大声がした。
「ちゃんと並べよ。ほんとは言葉だってわかってんだろ!」
乱暴な物言いにまずはびっくりして、その後にその言葉が彼に向けられているということに気づいて、みぞおちのあたりが熱くなるような、悔しい気持ちになった。
なんでそんなことを言うのだろう。
その男性はイライラしていて気が短くなっていたのに違いないし、私たちの行動が側から見ると横入りするように見えたのだろうと思う。
でも、彼が外国人だから、横入りしようとするように見えたのかなぁ。そして言葉がわからない外国人だから、そんな風に声を荒げることができたんじゃないかなぁ……と、私には思えてしまった。
タイトルに「人種差別」と書いたけど、そんなに大袈裟なことでもないかもしれない。なんか、書いていたらどんどんそんな気もしてきた。
でもその時に感じたのが、これこそが人種差別の根源なんだなぁということ。
人種や見た目によって、「この人はこういう行動をするだろう」と決めつけること。
なんだか、今までは差別というと例えば人種によって店に入れないとか、おなじ権利がうけられないとか、「行動の制限」をされることばかりイメージしていた。
でも今はそういうことはさすがに社会からはなくなって、でも「この人種だからこう」「この国の人だからこう」という偏見は残っている。
私もこのnoteの頭に、「オランダ人は〜」とか書いたし、根本的には変わらない。あと、彼が白人であることで、得をしている場面もあるっちゃあるように思う。でも、得とか損とか、あんまり関係ないようにも思う。
最近SNSでも、「〇〇人が〜」みたいなポストが多くてとても悲しくなる。