223.愛しさの充電方法
ほどほどに大変なときが8割、最大級に憎たらしいときが1割、天使が表れるときが1割。
子育てってこんな感じだ。どうやったらこんな割合で続けていけるのだろうかと自分でも不思議に思うほどだ。もちろん、からくりがある。
子育て経験者には共感してもらえると願うが、1割の天使のパワーが半端じゃない。徐々に削られていく愛しさゲージが、とうとう底をつきそうになったとき(もしくは底をついていたとしても)、一瞬の天使の出現で200%まで回復する。
それはそれは、とんでもない威力なのだ。
恋人や夫婦の関係だって、基本的には同じだ。長く一緒に過ごしていると色んな部分が見えてきて、「なんで一緒にいなきゃいけないのよ」なんて考えが浮かぶ時もある。けれどどこかで、「あぁ、やっぱりこの人といたいな」と愛しさゲージを回復させている。
これが間に合わないとか、回復方法を知らないとか、そうなるときっと気持ちが冷えてしまうのだろう。
ちなみに、私のバジさんへの愛しさゲージの回復方法は、少女漫画や恋愛ドラマを見ることである。作品の中に没頭して、とにかく無遠慮にキュンとする。恐らく私は、作品の中の人物に本気で恋できる人間なのだと思う。
そして現実に戻ると、なんだか心がほわほわして、バジさんに優しくしたくなる。
作品に没頭する時間によって自分の心が満たされるからなのか。それとも、作品へのキュンとした気持ちをバジさんへの気持ちと勘違いさせているからなのか。はたまた、もっと別の理由なのか。
しかし理由なんてどうでもいい。大事なことは、私の中でバジさんへの愛しさを取り戻せる方法がある、そしてそれを自分ではっきりと理解しているということだ。
自分の心が荒んできたとき、バジさんに対する怒りゲージが低くなってきたと実感したとき、私は自分が没頭できる作品を探す。それこそ、寝る間を惜しんで時間をつくる。
それが、回らない頭でイライラをぶつけ合う話し合いをするよりも、圧倒的に有意義なのだ。
子育てだと、天使は気まぐれにしかやってこないが、これなら自分から行動できる。自分の回復を自分で図れるというのは、気持ちがいい。
もちろん回復方法は十人十色だから、この方法がいいなんてものはない。けれど、自分の状態を見つめることや、回復方法を自覚したり探したりすることはできる。
まず自分自身を知り、自分でできることから行動を起こす。これが2人の未来を明るくする一歩になるはずだ。