なぜ「作問コンテスト」をやるのか
まえがき
お世話になっております。ナガノヒロキです。
今年に入ってからスアールで行う企画のブラッシュアップに着手しており、諸々の作業がおおよそ完了したので息抜きにこのnoteを書いております。
さて、自分の企画を見直すうえでどうしても避けては通れなかったのが、「作問コンテストを今後どうするか」ということでした。
というのも、基本的に早押しクイズを主体とする僕のQM回の中でほぼ毎回採用している企画であり、かつ割と賛否ある(?)企画であるからです。
ルールとしては以下の通りです(ちなみにこのパワポもブラッシュアップの一環として作りました)。
この企画を採用し続けるか多少悩んだ結果、「今後もやろう」という結論に達しました。本noteでは自分の中の考えの整理も兼ね、この企画の意図や存在意義についてご説明したいと思います。お時間ある方はお付き合い下さい。
本企画の主だったメリットを考えたところ、大きく3つが挙げられました。以下に順に説明していきます。
①より多くの方に活躍の場を作る
これが本企画のメリットとして一番大きいと思います。
そもそもの僕のQM回のコンセプトとして「競技クイズの面白さを広める」というのがあります。(公の場で言ったことは無いのですが…)
僕は高校・大学で競技クイズシーンの片隅に身を置いていた人間で、この9年間ずっと競技クイズの面白さに魅せられてきました。この魅力を他の多くの方にも味わってもらいたいという気持ちから、基本的には読み上げ式早押しクイズを主体とした企画を中心にお届けしています。たまにそうでもないもの(年号さかのぼりクイズとか)もやるにはやりますが。
しかし、早押しクイズはその性質上「ボタンを押して正解できる人」と「ボタンを押せず何も答えられない人」を明確に作り上げる遊びであり、実際問題として少数の早押しクイズが得意な方々が解答権を寡占し、ビギナーの方々がほぼ何もできずに終わってしまうことが珍しくないです。
ここで強調しておきたいのは、もちろん「早押しクイズが得意な方々」には全く何の非もありません。お金を払って遊びに来て頂いている以上最大限にクイズを楽しんで頂く権利がありますし、本来であればこれは我々側がルールの工夫などによって解決すべき問題です。
とはいえ僕としては、ビギナーの方に過剰なハンデを付けて正解して頂くのは、逆に競技クイズ的な面白さを薄めてしまう恐れがあると思っています。もちろんある程度はハンデを付けたりもしますが、基本的には早押しクイズが強い方々ともほぼ同じ土俵で勝負して掴む正解に大きな価値があると思います。
話がだいぶ逸れましたが、結局のところ「早押しクイズではあまり正解できなかった、活躍できなかった、楽しめなかった」という方が出てしまうのが、僕は心苦しいと思っています。
その点、全員でチーム戦で行う作問コンテストであれば、少なくとも「自分もクイズに参加できている」という感覚を得られると思いますし、もし票を得られれば「自分の知識・クイズが褒めてもらえた」という喜びを感じられるのではと思います。これが一番に挙げられる理由です。
②出題されるクイズの幅を広げる
若干話が変わりますが、基本的にスアールでの早押しクイズ企画というのはスアールで所有している問題データベースから出題されています。現在所有している問題数は(たしか)約2万問であり、この中から毎日ランダムに出題されています。(ここの記述はもしかしたら内部情報にあたるかもしれないので、上層部に怒られたら削除します)
それに加え、僕は自作を中心にした独自の問題集を自分のQM回で使用しています。これが現在約7500問入っており、先ほどのスアール問題集と合わせると約3万問程度がスアールで提供されるクイズとなります。
余談ですが、他のQMの方で言うとシャコンバさんあたりも独自の問題集を使っていたと思います。問題の出どころは良く知りませんが。
逆に言えば、スアールで聞ける早押しクイズはたったの3万問程度であり、スアールの1営業で聞ける問題を約400問としたときに理論上だいたい75回来れば全ての問題を聞けることになります。
まあもちろんそんな訳はなく、違う回に同じ問題が出ることも多いと思います。多分確率計算でより正確な必要来店回数を出せると思うのですが、面倒なのでここでは割愛します。
当然ですがクイズ界の歴史の中ではこれの比にならない膨大な数のクイズが作られてきており、スアール内で知れるクイズはごくわずかということになります。とはいえ所謂「ベタ問」とか「基本問題」みたいな問題はちゃんとスアールでも揃えているので、競技クイズの基本中の基本を知るのには不足ないとは思いますが。
ついでに、スアールで取り扱う問題は良くも悪くも普遍性が高い問題が多く、時事問題や深めのコンテンツ問題は出にくい傾向にあります。また、そもそも早押しクイズの体裁で出題できる知識領域にも限界があります。
また話が大きく逸れましたが、とにかく言いたいのは「スアールの早押しクイズから得られる知識量には限界がある」という点です。それを少しでも解消するために、皆さんに作問をして頂こうという考えです。
「毎回お題に沿った問題を作って頂く」という制約はあるにしろ、皆さんの知識領域の中から自由に作って頂くため、普通の競技クイズでは見ないマニアックで面白い問題が見られることが多いです。早押しクイズの体裁をとらなくても良いため、2択・3択クイズや理由を問う系の問題を作られる方もいます。時事性が強すぎて「今日この日しか出せないな…」みたいな問題を出せたりするのも良い所だと思います。
そういった「他の通常回では得られない」問題をその場の皆さんで共有し、毎回違う新しい学びや知識を得られるのは大きいメリットだと思います。
③問題を「作る」側の立場を経験してもらう
皆さんにとってはあまりメリットに感じないかもしれませんが、僕の中では結構大きい理由の一つです。
スアールでクイズを始められた方の中で、(変な言い方ですが)そこから本場のクイズ界に最近参入された方を数多くお見かけします。僕としては大変喜ばしい事象で、大会などでそういう方を見かけて勝手にニコニコしたりしています。
(もちろんスアール内でクイズが完結するのが悪いとは全く思っていません。楽しみ方は人それぞれです。)
しかしクイズという趣味、というより所謂現状の「クイズ界」は同好の士による相互互助で成り立っており、一方的に楽しみを享受するだけの存在でいるのは難しいかと思います。(これはモラル的な観点からも、クイズの場を運営・維持するという観点からもそうだと思います。)
クイズという趣味に限った話ではありませんが、自身がサークルなどに所属して継続的にクイズを楽しもうと思った時、基本的に何かしらの労力を提供する必要があります。そして、クイズにおいて一番わかりやすい「労力の提供」は、「問題を作って出題すること」だと思います。まあ本当は問題集買って問読みするとかでも全然いいっちゃいいんですが…。
そうなったときに、問題を作った経験が全く無いのと、少なくとも何かしらの問題を作って人前で見せたことがあるのとでは結構な違いになると思います。踏み込んでいえば、「こういう文章構成にしたほうが聞き手はわかりやすい」とか、「こういう題材の問題は面白がってもらいやすい」みたいなことを考えたことがあるのとないのでは大きな違いになると思います。
要するに、皆さんがもしクイズサークルなどに所属してクイズを自作・出題することになったとして、この企画が練習台の役割を担っていてくれたらいいな、というものです。余談ですが、ゲスト参加を受け入れてくれる既存のクイズサークルは結構なベテランが多数所属していることが多く、初めて自作を出すときに無駄に緊張する羽目になることも割とあったりなかったり……。
あとこれは本当についでですが、シンプルにクイズを作る大変さをちょっとでもわかって頂けたらな~というのもあります。
毎月スタッフみんなで問題を作問してマンスリーカップを開催しているわけですが、問題の内容や問題群の構成について様々なご意見・ご感想をX上で拝見しています。大多数は大変参考になるごもっともなご意見なのですが、本当にたま~に「ちょっと厳しすぎるかなぁ……」と思ってしまうご意見を目にすることもあります。
「毎月たくさん作ってるんだから大目に見てほしい」みたいなことを言うつもりは勿論無いのですが、クイズを作る側の気持ちを経験してみて頂いたうえで、ぜひ愛のあるご意見を頂けたらなと思う次第です。我々も皆様のご意見を踏まえ、よりよいクイズ・よりよい大会を提供したいと思っています。
総括
長々と書いてしまいましたが、概ね前述の理由の通りです。
本当は「5時間全部問読みするのは正直キツい」とか「個人的に他人の作るクイズが見たい」とか些末でくだらない理由もたくさんあるのですが……。
普段僕の回に遊びに来られている方の中でも「作問はちょっと苦手かも…」という方がいらっしゃるのは重々承知しています。そういう方には他のチーメンの方を頼って頂いたり、そもそも他のQMの回を開拓してみたりして頂けたらなと思います。本当は僕の回に沢山の方が遊びに来て頂きたいですが、僕以外のQMの回の方がより楽しめるのであれば、そちらに迷わず行って頂けたらとも思います。皆さんが最大にクイズを楽しんで頂くことが、僕にとって一番大事なことです。
もしかしたら頓珍漢なことを言っているかもわからないので、何かしらの形でご意見・ご感想頂けたら幸いです。今後とも楽しいクイズ体験を皆さんにお届けしていけたらと思います。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
ナガノヒロキ