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izuming0821
庭にて【ショートショート】
俺は一人暮らしを謳歌している。事業で成功し、金は充分にある。世間で言うところの富裕層だ。そのおかげで、自宅も大きな豪邸で立派な庭がある。休日は、その庭でくつろぐのが定番だ。
今日も庭でくつろいでいると、「おーい」と声がした。その声は、どこから聞こえているのかわからなかった。すると、「誰かー」と声がした。どうやら、地面の下から聞こえているみたいだった。
俺は地面に向かって言った。
「どうしましたー?」
すると、声が聞こえた。
「地面に埋まっちゃって、助けて欲しいんですよ」
どうなったら、うちの庭の地面に埋まるのだ。だが、助けてやろうと思った。
「どうやって?」
「スコップで穴でも掘ってください」
俺は仕方なく、スコップを持ってきて穴を掘り始めた。
ザクッザクッ
初めは苦労したが、徐々に穴は深くなっていく。
「大丈夫ですかー?」
俺はそう言いながら穴を掘る。
そして、気がつけば3メートルほどの穴の中にいた。俺は穴の下の人に言った。
「もう少しですからね」
俺はもうひと掘りすると、カンッと硬いものに当たる音がした。
「なんだ?」
それを掘り出すと、トランシーバーのようだった。
「なんだこれ」
すると、上から声がした。
「ご愁傷様です」
そこには男が立っていた。
「まさか、、」
そして、男は言った。
「これでこの家は私のものですね。ありがとうございました」
そう言って、その男は俺の上に砂を被せて埋めたのだった。