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mogest
レンタル幽霊【ショートショート】
「次の方どうぞー」
そう呼ばれて、僕は椅子に座った。
「当サービスについては、ご存知ですか?」
「まあ、なんとなく」
「それでは、詳しく説明いたしますね」
そう言って、その人は説明を始めた。
「当サービスは、レンタル幽霊と言いまして、お客様に幽霊のレンタルをするサービスとなっています。具体的に言いますと、偉人などの霊をお客様に憑依させて、ビジネスなどに活用していただけるものとなっております」
「はい。分かりました」
「ちなみに、霊が憑依している間は、意識を失いますのでご注意ください」
「はい」
「それでは、誰の霊をご希望ですか?」
僕は今日この後、受験を控えている。なので、賢い人の霊が欲しかった。
「アインシュタインでお願いします」
「かしこまりました。用途はどうなさいますか?」
「受験を代わりにやってもらいたいんです」
「なるほど。では、降霊させますね」
そして、その人は呪文を唱え始めた。
「マジャラカホジャラカホイっ!」
すると、僕は意識を失った。
次に目が覚めたのは、この場所だった。
「あれ? 受験は?」
「どうやら、終わったみたいですよ」
「そうですか。ありがとうございました」
「いえいえ。またのご利用をお待ちしています」
そして、僕は結果が出るのを待った。
後日、試験の結果が返ってきた。その結果を見ると、ほとんど0点だった。僕は、あの会社にクレームを言いにいくことにした。
「すいません。アインシュタインをレンタルしたのに、試験の結果が0点だらけだったんですけど、どういうことですか!」
すると、係の人は言った。
「それはそうでしょうね」
「え?」
驚く僕に、係の人はこう言った。
「日本語がわかりませんから」