好きこそ物の上手なれ?
何度この言葉に押しつぶされてきたことか。
“好きこそ物の上手なれ”
好きでいなきゃ
私はこれが好きなんだ
上達するためにこれを好きにならなきゃ
私はこれが好きなの
嫌いになんかなっちゃ駄目
まだ好きでいられてる
大丈夫
そう自分に言い聞かせてきた。
上手くなりたいから。
けど、何のために?
私は何のためにこんなに好きでいようとして、上手くなろうとしているんだろう。
自分のため?他人のため?期待に応えるため?顔に泥を塗らないため?世間体のため?肩書きのため?
「誰のためにやってんだ?強くなりたいんだ?自分のためたろう!!」
先生にはよくそう言われてきた。
けど、私は自分のために強くなりたいと思ったことはなかった。こんな辛い思いしてまで強くなりたくない。強くなったところで終わりはない。
終わりのない世界で生きていくことに私は既に疲れていた。泣いていた。
———結局私は何のためにやっているのか分からないまま、惰性で続けた。
正解を見つけ出せないまま。