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『YOU』から始まるストーリー。#アーティスト・浜崎あゆみに憧れて
『人の記憶に音と匂いが混ざる合うと、一生忘れられなくなるー』
誰から聞いたかなんて、もう…忘れてしまった。
だけど、思い出したくもない苦い思い出も、楽しかった思い出も。ふとした香りや音の旋律が、わたしを『あの頃』に引き戻す。
街が明るく、色とりどりに飾られる季節は頬が冷たい。懐かしい歌が遠くに聞こえる。
通りすがりの女性から、変わらないあのふわりと甘い香水の香りがする
もう1度…縁ある出会いに導かれるように
祈らずにはいられない
ーもう2度と傷付くことがないように
もう2度と色のない世界に落ちないように
空が冷たくなって明かりが揺れると、思い出す。
街に溢れるあの曲が…
ー歌姫の始まりと過ごした、あの頃の記憶を呼び戻す。
▼始まりの詩
春の風が暖かく頬を過ぎる頃。まだ真新しい、チェックのジャケットを手に持ちかえて。全然なれないローファーに足を通し、自転車に跨り通ったあの坂道ー。まだまだ周りの様子を伺っていた、高1の初夏。
坂を下る瞬間の駆け抜ける風が、首元を抜けて心地良い。ガヤガヤとした教室の中に入ると、真ん中の真ん中にある自分の席へと向かう。
「おはよ!遅かったね!
ね、ね。見てほしいって言うか、聞いてほしい曲があるんだけど!!ありさ、絶対好きになるよ」
突然、待ち構えてたかのように声をかけてきたのは、隣のクラスのリナ。肩まで伸びた茶色い髪は、相変わらずバッチリ内巻きに巻かれてる。
クラスが違うと言うことは専攻が違うということなのに、違和感なく溶け込んでいるのがリサの凄いところ。
「何の曲〜?」
筆箱だけ机の上に出して、リナの方を向く。リナは目の前の席の椅子にもたれかかると、もったいぶりながら1枚のシングルひらひらしながら差し出してきた。
「可愛い人だね。ダレ??」
「まだ無名。だけどこれから絶対、売れる人〜♡」
リナの大きい目は、キラキラしてる。
これは相当、お気に入りを見つけたんだとわかった。
手渡された細長いジャケットの中に収められていたのは、少し年上(に見えた)女性。
黒髪のボブヘア、シンプルな白の衣装に身を包んでいた。
浜崎あゆみ
今でこそ、平成の歌姫と言われる由縁となった、数々の偉業とヒットを積み上げた彼女の歌声が。
わたしの目の前に初めて現れた日。
リナは、自称・これから売れるひとが見えるひと。リナが勧めてくる曲に、今まで嫌いだなーと思うものは1つもなかった。
とても儚げにも見えた、ジャケットに収まっている彼女の視線。その強い眼差しがとても気になって。授業中もちらちらと覗き見してしまうほど。
たぶん、その1点に向けられた視線が
鋭い牙のようにも見えたから。
"この人はどんな歌を歌うのだろう"
リナからわたしの手に渡った、その時から。
一日中、大好きな構造の授業も耳に入らない程、バックの中にしまわれたそのCDが。気になってしょうがなかった。
部活終わりの、その日の夜遅く。
お風呂から上がって、髪もちゃんと乾かしきらないまま兄弟たちが寝静まった6畳の部屋で。
CDコンポにイヤフォンを繋ぎ、1人ベッドに潜り込む。
イヤフォンから流れ出たのは、ハイトーンボイスとバラード調の曲。開始数秒で理由もわからず、自然と涙がこぼれ頬をつたるー
(なんで?)
別に、何が悲しかった訳でもない。
別に、イヤだと思うことに包まれていた訳でもない。
わたしの日常は、不安よりも
今。希望と、やりがいに満ちている。
見えない未来に少しも陰りはない。
『外』への希望と、現実の『箱』の狭間で
早く、誰よりも早く。オトナになりたいと願ってはいたけれど。わがままにも、自由になりたいと願い続けていたけれど。
別に何かを悲観していたわけじゃない。
だって、わたしがこの高校に入ったのも、いち早く自分の足で立ちたかったから。
選んだのは父親と同じ、『建築の道』
彼女の歌声が身体に流れ、満たされる。
ふとんの中で、声を押し殺して泣いてたコトを、今でも鮮明に覚えているのは。
きっと無意識に、見ないフリをしていた自分の感情と。ヘソをまげて下を向いていたわたしに
あゆがそっと、手を差し伸べてくれたような気がしたから、かもしれない。
君のその横顔が
悲しいほどキレイで
何ひとつ言葉かけられなくて
気付けば涙あふれてる
きっとみんなが思っているよりずっと
キズついてたね つかれていたね
気付かずにいてごめんねー
春の風包まれて 遥かな夢描いて
夏の雲途切れては 消えていった
秋の空切なくて 冬の海冷たくて
夢中になっていく程 時は経っていたね
たくさんの出来事をくぐり抜けてきたんだ
そして今ココにいる君の事
誇りに思う いつの日も
人ってきっと言葉にならない様な
思い出だとか 気持ちを抱え
そうして生きていくんだね
遠回りばかりして疲れる時もあるね
だけど最後にたどり着く場所って…
そばにいるだけでただ 心が癒されてく
そんな支えにいつか なりたいと願うよ
『YOU』
わたしが借りたのは、彼女の2ndシングルでした。
初めて歌声を聞いてからずっと。
次の曲を心待ちにするようになり。
苦手な貯金も出来る様になったのは、2ヶ月以内という…当たり前のようにピッチの早いリリースのおかげ。部屋に積み重なっていったCDと、カラオケへ通う回数。
Trustと共に失恋し、depend on youと共に新しい彼氏が出来た。
TO BEと共に自分の進路に悩み、これがやりたいんだ!と声に出せずに苦しんだ。
Fly highと共に、不本意な結果を必ず糧にしてみせると誓い。
momentsで仕事を辞める決心をし、Mirrorcle Worldと共に、わたしは渡米した。
涙した夜
怒りに震えたあの時も
先が見えずにただひたすら走り続けていたあの日々も
あの人の隣で笑いあえてた日
1つ夢が叶った、あの喜びも
見えていた世界が180度変わり
希望とやる気に満ち溢れていたあの日々も。
引いては返す波のように
繰り返される思い出を
あゆの曲と一緒に生きてきたからこそ
引いては返す
波間の向こうに消えていくー
歌を聞くたび思い出す
あの時、決めた数々のことを。
あの時、捨てた数々のモノを。
だから今でも
道に迷う時は、彼女の曲を聞き返してる
A song is born やfairyland。Mは鉄板でww
彼女の歌に込められたメッセージを、正しく読み取れているかなんて、自信は全くないけれど。
『自分の未来は、自分で掴むしかないでしょ』って、『前へ前へー進むしかないから』って。
彼女の歌を聞くたびにそう、思ってきたし
あの声が、わたしの背中を押してくれていた。
迷っても、立ち止まったとしても。
倒れてもまた、立ち上がる
必ず
立ち上がれる
目の前の壁を壊し続けていく覚悟を、
いつだって問われてた。
彼女のその真っすぐな瞳と、
歌声とパフォーマンスに。
瞬く間に音楽界の記録を塗り替え続け、女性ソロアーティストのトップに君臨した彼女は。
ファッションリーダーとしてもベストジーニストやベストドレッサー賞、ネイルクイーンなど数々の受賞歴を残していったし、ファッション雑誌の表紙にも何度も載った。
日本中、どこを見ても、あゆがいる。
初めて見た、金髪に着物。
超ーーカッコ良いと思ったし、隣にいた祖母が「センスがおかしい‼︎」と愚痴っていたけれどww
何がおかしいのか、分からなかった。
だって、別に似合っていたから。
似合うのだから。今までの常識なんて、変えたって良い。受け継ぐものは必要だとは思っても…しきたりなんてあんまり関係ないと思った瞬間。
▼人生を変える、才能を見つけてくれる人
あゆが積み上げてきた実績はきっと、周りの大人たちの言いなりになっていたら絶対に叶うわけがない結果だと思っていて。
だからといって、自分の想いだけをぶつけわがままにいたら、絶対に為し得なかった偉業。
大人になり、多少なりともビジネスのことを考えるようになったから、思う疑問がある。
彼女を見つけた松浦氏は、当時女優をやっていた彼女の才能の片鱗を。
どうやって見つけ出し、どうやって育て上げたのだろう。
彼女の才能を花開かせたきっかけは、本当に「詩を書いてみたら?」の一言だったのか。
大人になったからこそ、思う。
あゆのように。自分の中の荒れ狂う感情と向き合い続け、あんなにも客観的に冷静に言葉に落としこみ。
こんなにも、自分の世界を雄弁に表現出来るものなのかなーって。
あんなにも軽やかに。言葉を選び取り、音とリズムに乗せることで。ヒトを魅了し続けることができるものなのか。
彼女に歌うことや楽曲を提供し続け導き、売り出した、一流と呼ばれる大人たちは。どうやって彼女の才能を、あんなピッチの速さで最高のカタチに仕上げて世に出し続けられたのかな。
『プロ』だから?当たり前??
そんな一言じゃ、つまらない。
どんなに才能に溢れていたって、それを拾ってカタチにしてくれる人がいなければ、日の目を見ることなんて限りなく0のはずで。
同じように。
どんなに一流を集めてチームを組んだところで、一流の企業とタイアップしたからと言っても、必ず最高の結果が出せるわけじゃないことぐらい、わかってる。
だから、すごく気になる。
あゆが初めて組んだ人たちは、どんな想いで彼女を支えてきたのかー
どんな想いであゆは、あの若さで自らの使命を受け入れ、立ち続ける覚悟を決めたのかなって。
彼女が表に立ち続ける覚悟を決めなければ、物語は始まらない。
そして、それを支えると決めた人たちがいなければ
物語は続かない。
ミリオンセラーを積み上げ続けたその先に、彼女はエイベックスという1つの会社を揺るがすほどの大きな大きな力を付けたけれど。
そして、エイベックスという1つの企業が内部で揺れた時。彼女が起こした行動は、彼女の背中がやたしに見せたものは、恩義と忠義心だったー(少なくともわたしにはそう、見えた)
もちろん、恩義と忠義を尽くした相手は、松浦・現CEOに対してで、avexという会社にでは、ない。
現実はもっと複雑だったと思う。だから、「最後は、やっぱり『人』なんだね」なんて簡単に一言ではくくれはしないのだけど。
あの時、彼女はどちらにも付かずに、辞めて独立することだって出来たはずで。耳のことがあったとしたって、これを機に海外へ挑戦することだって、あゆには出来たはず。周りがどんな報道や憶測を言おうと、彼女には選択肢はいくらだってあったはずだと思う。
それでも
『浜崎あゆみ』はavexに残り、今でもあの場所で歌い続けている。
誰かの人生に関わるって、そう簡単なことじゃない
覚悟と痛みが、それ相応に伴うから
距離が近付けば近づくほどにー
時間が流れれば流れるほどに
傷は増え、その痛みは増していく
寄り添うって、きっと誰にでもそうそう簡単に出来ることじゃない
パートナーですら難しいのに
ビジネスで、なんて…余計にシンドイ
だからこそ、やる価値がある
懸ける意味がある、のかもしれない
もしも歴史に残るものがつくれるのなら
『信頼』が織りなす、奇跡に1度はかけてみたい
2019年、未だ誰にも超えられない記録を保持したまま
今もなお、前を向いたまま。大きなチームを引き連れ、走り続けている彼女は。
この記念すべき20周年に。
あの、きらめく歓声が鳴り響くステージの上で
一体何を想っているのだろう?
今でも
『欲しかったものはガラスの靴なんかじゃ無い』と
自らの『声』に耳を傾けながら
『何か』を探し続けているのかな?
あゆが塗り替え、積み上げた、あの特等席は
今でも、きっと
次の歌姫の再来を心待にして佇んでいる
空が冷たくなる頃に流れ出すー
『M』が、いつでもわたしを振り向かせるよ
わたしが目指し、叶えることができなかった、あの場所を…
わたしが目指した居場所
それは、
アーティスト・浜崎あゆみのバックでした
『青春』という不確かな時期に、わたしたちと共に寄り添い、励まし、行動力をくれた
浜崎あゆみが、わたしの変わらない推しアーティストです♡
最後までお読みいただき、ありがとうございました♡
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![アリサ/建築士×〇〇](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/11761941/profile_6c8a40e9653c3c569e0b44d1dd95134f.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)