乃木憂助と黒須駿の関係


◆黒須駿について

  • おそらく30代前半、過去の経歴は不明。

  • JKT資源開発勤務。地下資源などの探査、掘削の研究開発を行うエンジニア。「世界で10本の指に入る資源開発プラントの技術者」として知られている。

  • 別班員であり、別班の資金調達も担っている。
    乃木を「先輩」と呼び、「ずっと乃木さんの傍で鍛えてきた」とも語っている。また乃木と同じく上司は櫻井里美。

黒須は表の顔では明るく人当たりが良いが、別班任務中は笑いながら山本を尋問したり、暴行被害を受けた太田に冷たかったりと、動物や無関係の人に優しい乃木と比べて些か冷たい印象。

◆乃木に忠実な黒須

  • 黒須は乃木の指示を受けて山本を尾行、騙して拘束するなど、ノコル捕縛作戦前から乃木と行動を共にしている。
    なお山本尾行時、乃木は個人所有のスマホとパソコンを没収された状態なのでこの時二人がどのように連絡を取り合ったかは不明だが、太田の件で黒須から「問題発生」のメールがきたとき(6話)は、JMAILを使用していた。

  • 「さすが野崎さんだ」と野崎を誉める乃木に対し「そんな野崎でも乃木さんには敵わない」と返すなど、乃木に対する信頼・尊敬の念が強い。
    乃木も櫻井も「野崎さん」と呼ぶのに、黒須は呼び捨て。

  • 乃木との間では「黒須」「はい」のような簡潔なやり取りが多い。
    (反対に山本とのやり取りでは、スムーズな意思疎通ができない描写があった)

  • 乃木の決断には反対しない。
    (太田救出のため別班であると匂わせることになったときや、太田に動画を見せるときなど)

  • 自衛隊の縦社会なイメージに反して、乃木に対する態度は気安い感じ。

テントの前で乃木は「別班は個別行動が基本」と言ったが、乃木と黒須は阿吽の呼吸で任務にあたっており、長期間にわたって行動を共にしてきたように見える。

「別班の訓練は上官と二人きりで行われる」とも語ったが、ふたりの年齢差や「ずっと乃木さんの傍で鍛えてきた」という発言から、乃木が黒須の訓練を担当した可能性もある。
黒須が乃木と同じように20代前半で心理戦防護課程の試験に合格しているなら、訓練開始から現在まで、10年前後の付き合いかも。

ついでに黒須が担う資金調達に関しても乃木の指南があったかもしれない。

◆黒須は乃木の過去を知っている?

  • 山本の前で乃木がFと対話したとき、黒須は動じる様子もなく声をかけている。
    ⇒Fの存在(もう一人の人格があること)を知っている?

  • 別班会議でベキの目的は自身を裏切った公安(日本)への復讐ではないかという話が出たとき、黒須は「家族も殺された分、恨みが倍増しますね」と発言している。
    ⇒乃木の生い立ちをある程度聞かされていた?
    ※経歴上は『3歳で両親と死別』で、野崎や薫にもそう語っている。黒須にはもう少し詳しく話していたか、死別の情報と公安の裏切りを結び付けて黒須が「殺された」と推測したか。

  • 長い付き合いのなかで、寝食を共にした機会もあったと思われる。
    ⇒乃木が就寝中によくうなされることも知っている?

◆テント潜入任務から見える乃木と黒須の関係

【1】7話/他の別班員とは異なる関係性
ノコル捕縛作戦の打ち合わせ時、乃木がベキ=乃木の父だと報告すると、共にテントの調査にあたっていた黒須は動揺。乃木は(櫻井や他の班員の前にも関わらず)その場ですぐにフォローを入れた。
この時から黒須の本音としては「俺にだけは言ってほしかった」だったのでは。強い信頼関係のあるふたりだけど、この時点ではまだ少し一方的。
さらに黒須は『1kgまでなら10gの誤差で重さが分かる』という乃木の特技も知らなかった様子。

【2】7話/まず黒須を狙う乃木
テント潜入任務のため裏切りを装ったとき、乃木はまず最初に黒須を撃った。黒須の実力を認めたうえで、成功率の高い不意打ちを狙った?
それでもただ一人乃木の攻撃を躱した黒須は、乃木の想像以上に優秀だった(成長していた)。

5話でアリの家族を捕らえるとき、乃木は部屋へ侵入するやいなや護衛ふたりの眉間を撃ち抜いている。その後黒須は抵抗しようとしたミンジのこめかみを撃って射殺するが、納得できないのか首をかしげていた。
乃木レベルの狙撃技術や反応速度を目指して、長年研鑽を積んできたのかも。

【3】7話/撃たれてもなお乃木を信じる黒須
重傷を負いながらも黒須は「乃木さんなら心臓を狙ったように見せて急所を外すくらい簡単だ、裏切った体でここに侵入する作戦でしょ?」と乃木の真意を見抜いていた。
撃たれた直後に怒っていたのは、乃木の作戦を見破り、ノコルに仲間割れを印象付けて潜入を手助けするためか。

その後乃木は幼い子供のような態度で「君には分からないよ、僕の気持ちなんて」と否定して裏切りを信じ込ませるが、黒須が乃木の生い立ちを知っていることを利用してあの演技をしたなら、なかなか容赦ない。

【4】8話/乃木の裏切りに憤る黒須
ベキと対面し「本当に裏切ったなら私の目の前で殺せ」と言われた乃木に銃口を向けられると、黒須は怒りを露わにする。
普段の黒須なら、1発目が外れた(口枷も吹っ飛ばしてくれた)時点でわざとだと気付いたはず。乃木はノコルが想像したように、拘束されて動けない黒須を狙って外すような腕前でもメンタルでもないので。
尊敬・信頼していた乃木に裏切られて冷静さを欠いている。

【5】10話/乃木は黒須を認めている
乃木はベキらの前でテント潜入が任務だったことを告白するなかで、国防や別班について触れるときに黒須を見ている。
共に国防のため命をかける別班員として、乃木は黒須を信頼している。それ故に任務遂行のためなら手荒なことをしても許してくれるだろうと、少し傲慢な考えも持っていたかもしれない。

【6】~10話/乃木親子から信用される黒須
「国のためならいつ命を落としたって構わない」と覚悟を決めている黒須は、乃木に裏切られてもテントに痛めつけられても、決して口を割らなかった。
後のやり取りからして、ここで万が一黒須が屈していたら乃木もベキも黒須を軽蔑したはず。ベキは任務のため命がけでバルカに潜入した憂助にかつての自身を、拷問を受けても情報を漏らさない黒須に明美を重ねたかもしれない。黒須は乃木親子からの信頼を得た。

◆“愛”を知った乃木は

ジャミーンや柚木薫との出会い、父との再会を通じて“愛”を知った乃木憂助。
それまでは自身や周囲の感情を理解できないまま、周囲を利用しつつ任務遂行のため一人で立ちまわる面があったが、拘束を解かれた黒須に壁ドンされたとき、初めて黒須への罪悪感を抱いたのでは。

黒須がショックだったのは、ずっと一緒に任務をこなしてきた自分を信頼してくれなかった(あまつさえ任務の一端を野崎に託した)こと。
人が人へ向ける様々な感情を自覚した乃木は、ようやく黒須の信頼を裏切り傷つけていたことに気付き、だからこそ黒須を抱き締めて「すまなかった」と謝ったように見えた。
薫に対する様子を見ても、乃木は幼少期からこれまでまともに他者と触れ合う経験をしないまま大人になっていそうなので、乃木にとっては踏み込んだ対応だったと思う。

その後ベキの逃亡により日本へ戻ることになったとき、自身のルーツを示す乃木家の守り刀を黒須に託したのは、乃木なりの誠意の現れではないか。
乃木も黒須も逃亡の報を受けた瞬間、乃木が実父を抹殺する展開を予想していただろうから、そのうえで同行を申し出た黒須と守り刀を預けた乃木は、以前より関係が深まっている。
野崎&リュウとの対比にしているのかも。

◆気になる乃木と黒須の今後

  • ベキを信奉する新庄が海外へ逃亡した可能性があるなかで、黒須がテントマークのついた刀を持ってバルカに残っていることが、続編にどう関係してくるのか?

  • 覚悟を決めて身辺整理をしてバルカに向かった乃木と違って、黒須はJKT資源開発を1ヵ月超の無断欠勤状態。
    乃木のテント潜入作戦を把握していた櫻井が裏で手をまわしている可能性はあるものの、乃木によるインサイダー取引疑惑もある。黒須は日本に戻れるの?

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